第9話 乳神様のおっぱい作戦
ユリア……乳神様にまたここに来るよう言われ5日がたった。
場所は指定されたが日時まで聞いていなかった俺は毎日部室を訪れていた。
しかし来る日も来る日もナタリーしかおらず……
「すみません……今日もユリアちゃんいないんです……」
「そうか、分かった。また来る」
という会話も5回目だ。
ユリアは今日も不在だったので部室を後にする。
はあ~何だか時間を無駄にしているみたいだ。
1年あるといっても……1年なんてあっという間に過ぎてしまうからな。
そんなこと考えながら校舎を出ようとすると急に後ろから声をかけられる。
「おー、いたいたギル・アーデン」
その声に反応し振り返って見る。そこには茶髪でショートカット、俺より頭一つ分小さな女の子がいた。どうやら声をかけたのはこの子のようだ。
俺の名前を呼んでいたが……見覚えがないな。
誤魔化すのも良くないし……素直に聞いてみるか。
「すみません。どなたですか?」
「うぉい! もう忘れたのかよ!」
女の子が声を荒立ててツッコミを入れてくる。
たしかに声は聞き覚えがあるような気がするが……
「すみません。やっぱり分かりません」
「そうか……我は悲しいぞ……」
女の子は悲しそうにしゅんとしてしまった。
何とかフォローしてあげたいが心当たりが無い。
俺に今出来るのは謝ることしかない。
「あの……すみません……」
「……乳神様を忘れるなんて罰当たりにも程があるぞ」
乳神様? もしかして俺が5日間探していた神……
「……ああ! ユリアちゃんか!」
「なっ!……ゆ、ユリアちゃんとはなんだ‼」
おっと、5日ほどナタリーからユリアちゃん、ユリアちゃんって聞いていたからつい呼んでしまった。
なんか怒っているようなので訂正する。
「ああ、すみません、ユリア……さん?」
「それはそれでむず痒いな。乳神様と呼んでくれ」
乳神様、気に入ったのかな。
乳神様って呼ばれる方が普通嫌じゃないかな……まあいいけど。
というかこの人、割と小柄だけど後輩か? それとも同級生?
「あのー、乳神様は何年生ですか?」
「ん? 4年生だが」
まさかの同級生だった。こんな人いたっけかな?
少なくとも同じクラスになったことはないな。さすがに同じクラスになっていれば見覚えはあるはずだ。
そんな俺の考えを見透かしたそうにユリアが補足を入れてくる。
「ちなみに学年は一緒でも先輩になるかな」
そう言ってユリアは学生証を俺に見せる。
―――
4年 卒業過程(2年目)
ユリア・メイジス 20歳
総合ランク ― 位
―――
学年は4年生になっているが……それより他の項目に目が行く。
卒業過程(2年目)で20歳? つまりはそういうことか。
「……留年中なんですか?」
「ああ留年中だ」
あっけらかんと言う乳神様、いやユリア先輩。
じゃあ仲良さそうにしていたナタリーも留年生なのか?
俺は気になりユリア先輩に聞いてみる。
「ナタリーさんも留年してるんですか?」
「ナタリーは……まあそんなことはどうでもいいじゃないか。とりあえず部室に行こう。作戦を考えてきた」
何だか言いにくそうにして話題を逸らされたな。
何か事情がありそうだが……今はいいか。
おっぱいが優先だ。
「はい、そうですね」
返事をして俺達は部室へ向かう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
部室に着いた俺達は机に向かい合って座る。
さっきまでいたナタリーは不在のようだ。何処へ行ったんだろうか?
「さて、ギル・アーデン。乳を揉むためいくつか作戦を考えてきた見てくれ」
そう言ってユリア先輩は机に何か書かれた紙を出す。
俺はその紙を手に取り目を通す。
―
作戦名 見えなければ乳揉んだっていいじゃない
1.【
2.【
3.隙を見ておっぱいを揉む
4.捕まらないように速やかに逃げる
5.ミッションコンプリートおめでとうこれで君もおっぱいマスター
―
次の紙を見る。
―
作戦名 音速の乳揉み~その速さは双丘を捉える
1.【
2.【
3.隙を見ておっぱいを揉む
4.捕まらないように速やかに逃げる
5.ミッションコンプリートおめでとうこれで君もおっぱいマスター
―
……色々ツッコミどころはあるがとりあえず言いたいことは一つ。
「これが作戦なんですか?」
「そうだが?」
純粋な透き通った目でユリア先輩が見つめる。
そんな目で見られてもな……
作戦というか魔法を使った痴漢のようで頭を抱える。
そんな俺を後目にユリア先輩は次々作戦内容の詳細を話してくる。
「まず場所は図書館にする。人間というのは図書館ではあまり騒ぎたくないだろ。異変があっても気のせいで済まされる可能性が高い」
本当かな……図書館といえどおっぱい揉まれたら流石に声を上げるのではないだろうか……
「次にターゲット決めだ。ターゲットはなるべく大人しそうな子にする。出来れば新入生がいいな」
続いてターゲットについて話し始めたユリア先輩。
大人しそうな新入生か……なんとなく理由が読めてきたが……
ユリア先輩はさらに続ける。
「大人しそうな新入生ならまだ学園に慣れていないし、騒ぎにならない可能性が高いからな」
何か考えていることがずる賢いな……
そもそも騒ぎになるかならないかで作戦を考えている時点でダメだと思うのだが……
俺は手を挙げユリア先輩に質問する。
「あのー、すいませんちょっといいですか?」
「どうした、ギル・アーデン」
「これって、魔法を使った痴漢じゃないですか?」
「…………」
俺の核心を突く質問にユリア先輩は黙り込んでしまった。
正論すぎて何も言えないみたいだ。考え込んでしまった。
やがて先輩は、考えるの止めたように微笑みながら口を開く。
「痴漢ではない、これは卒業試験だ」
何か開き直ってきたぞ。
確かにそうなんだが……痴漢は痴漢だろ。
俺からお願いしたことだから少し申し訳ないが痴漢で人生棒に振りたくはない。
今回ことはなかったことにしてもらおう。
そう思っているとユリア先輩が勢いよく俺の右腕を掴み引っ張る。
「ど、どうしたんですかユリア先輩!」
「善は急げだ、さあ図書館に行くぞ!」
雲行きが怪しくなっていくのを感じたのかユリア先輩は強制的に作戦を実行しようとする。マズイ、俺は痴漢になりたくない!
「あ、あの先輩。俺、この作戦はできませ……」
「【
作戦を断ろうとする俺に向けてユリア先輩が【
ああ意識が……
そのまま俺は眠りについてしまった。
この作戦が試練の入口になるなど知らずに……
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