第12話 過去

 やっぱり、見つからないのか。ずっと探し続けたが、見つからない。

ふと、足を止めた。気になる場所があった。月沢と言う表札。しかし家は黒く焦げていた。かろうじて原型を留めている。

「……?」

どうして、家が黒く焦げているんだろう。火事でもあったんだろうか。なら、何で撤去しないんだろう。

不意にポケットの中で、何かが動いた。取り出してみると、くれはちゃんからもらったあめ玉だった。包紙を開けてみると、あめ玉がころん、と地面に落ちた。拾おうとすると、あめ玉が勝手に動き出した。

「動いた!?」

あめ玉を追うと、家の前で止まった。そして、どこからか声が聞こえた。

『ねえ、この家、誰の家か知ってる?』

「え、この家?月沢さんの……」

『ふふふ。ヒントをあげるよ。ここは、三年前に火事があった場所。その火事で、ここの住人は全員亡くなった。ただ一人を除いて』

「火事……?」

『まだ分からないかあ。じゃあ、答えを教えてあげる。ここは月沢冷青くん、キミの家だよ』

「僕の、家?ここが?」

身体から力が抜けていく。ここは、本当に僕の家なのか。だとしたら、僕の家族は。

『そうだよ。キミの家。キミには、お姉さんと両親がいた。みんな仲良く、いい家族だった。でも、キミの家族は、もういない。みんーな火事でいなくなっちゃった。しかも、火事は自然におきたんじゃない。計画的におこされた』

「そんな……僕の家族は亡くなったって事……なのか」

『残酷な事だけど、キミの家族は殺されたんだよ。周りの大人に』

「何で、どう、して……」

僕の家族は、殺された、のか。

『ある男性が、キミ達をとても憎んでいた。そして、キミの家に火を放った』

「どうして……みんな、助けてくれなかったんですか……」

『みんな、キミ達を嫌っていたんだ。特に大人はね。死んで清々したよ、って』

「……」

『そんな大人達に、復讐しないかい?』

下を見ると、あめ玉の代わりに白い猫がいた。真っ直ぐ僕を見ている。

「復讐……」

『いや、家族の敵討ちって言った方がいいかな。どう?協力するよ』

家族の敵討ち。僕ができる事。

「……僕は、ボクは、」


“殺してやる。家族の幸せを奪った奴ら全員”


僕の中で、何かが壊れた。もうボクは、守神なんかじゃない。

殺してやる。絶対に、許さない。


『さぁ、復讐を始めようか』

「……その男がいる場所って、分かるか?」

『勿論分かるよ。案内しようか』

「頼む」

ボクの家族探しは、家族の敵討ちに変わった。

その男を殺しただけじゃ、足りない。もっと、沢山殺してやる。家族が苦しんだ分、同じ思いをさせてやる。

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守神と怪異の月 如月雪人 @Kisaragiyukito

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