第11話 あめ玉

 目を覚ますと、僕は布団に寝かされていた。記憶が無い。僕はどうして寝ているんだろう。

狼に襲われたところまでは覚えている。その後が思い出せない。

「りょーせーにーちゃん……うごかないよ……おきてよ、ねえ、やくそくしたのに」

「ん……」

「オイ、冷青が起きたぞ!」

「りょーせーにーちゃん!」

「ぐえっ」

くれはちゃんが僕に乗っかってきた。失礼だけどくれはちゃん、重い。

「くれはちゃん、重いからストップ、苦しい」

「わー」

「良かった……起きないかと思った……冷青……良かった……」

「秋飛さん、すいません。倒し損ねてしまって」

秋飛さんに謝ると、秋飛さんにぱちん、と平手打ちされた。倒し損ねたからか、と思ったが、違かった。

「馬鹿野郎!!無茶してんじゃねえ!!」

「え」

「みんな心配したんだぞ!」

「ご、ごめんなさい……」

この後1時間くらい怒られた。

「うぅ……」

「おこられたの?げんきだして、りょーせーにーちゃん。これあげるから」

くれはちゃんはあめ玉を僕にくれた。

「いいの?もらっても」

「うん。あげる。そのかわり、くれはとくおにーちゃんとあそんで?」

「あそぶの?僕この後用事あるんだけど……」

「よーじ?」

「用事っていうか、傷を治してもらうんだ。このままだとまずいから」

「きず、いたい?」

「うん、痛い。動くのも辛い」

「なおるの……?」

「多分、ね」

襖が開いて、玖陽くんが入ってきた。心配そうに僕を見ている。

「月沢……」

「ごめんね、心配かけちゃったかな」

「傷、大丈夫なのか」

「……」

「見せろ」

玖陽くんに傷のある部分を見せた。玖陽くんは顔をしかめて僕にこう言った。

「広がるのが早いな。どうするか……」

「本当に、治せるの?」

「ああ」

玖陽くんが僕の傷に手を触れると、みるみるうちに傷が消えていった。

「おお……すごい」

「ぐ、っ……はあ、はあ、これで大丈夫、だろう」

「ありがとう」

「くおにーちゃん、だいじょーぶ?かおいろわるいよ……?」

「力を使うと体調が悪くなるんだ……だからあんまり使いたくない」

「ごめん……」

秋飛さんの言う通りだ。僕は無茶をしてみんなに迷惑をかけてしまった。

「いや、俺があの時助けてれば、こうはならなかった。俺こそすまん」

「玖陽くん……」

玖陽くんは、何も悪くない。なのにどうして謝るんだ。悪いのは、僕の方なのに。

「少し休んでくる」

部屋を出ていった玖陽くんを見つめながら、僕はどうすればよかったんだろう、と考える。

「やっぱり、素手で掴んだのが失敗だったかな……」

こんなのだから、いつまで経っても見習い守神のままなんだな、と思う。

いつの間にかくれはちゃんはいなくなっていた。玖陽くんのとこにでも行ったか。

「眠い……」

取り敢えず寝よう。そう思い再び眠りについた。


『冷青、冷青』

「ん……」

目を覚まして声の方を見ると、女性が立っていた。

「誰……?」

『わからない?そっか……ねえ、一つだけ、お願い聞いてもらいたいんだ』

「お願い?」

『冷青さ、家族探ししてるんだよね。それを、やめてほしいの』

「え、どうして……」

僕が家族探しをしている事、どうして知っているんだろう。それに、やめてほしいだなんて、意味が分からない。

『お願い。冷青に、悲しい思いを二回もしてほしくないから』

「悲しい思い?」

『お願いね。じゃあ』

そう言い残して、彼女は消えた。一体なんだったんだ。僕の名前を知っていた。

彼女のせいで、眠気が覚めてしまった。でも、家族探しをやめるわけにはいかない。

僕は部屋を出て一人で家族探しを始めた。

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