第9話 小さな来訪者

 次の日、早速僕達は家族の手掛かりを探しに出掛けた。

「以外と月沢って苗字見つからないな」

「うん、そうだね……」

「落ち込むなって。まだ調べるところあるだろ?何かヒントになるようなの覚えてないのか?景色とか」

「景色……森が見えたような気がする。あと……赤かった」

「赤かった?何が?」

「分からない」

「オイオイ。大丈夫かよ。森か……分かった。それだけでも結構絞られるんじゃないか?」

「うん」

家が見つかって、家族に会えるのならそれで良い。例え僕が家族に見えてなくても。

しばらく探して、月沢と言う表札の家を何軒か見つけた。もう少し探そうと思った時、秋飛さんから帰って来いと連絡が来た。

「何かあったのかな」

「いや、知らん」

「戻ってみようか」

「ああ。家探しは一旦中断だ」

神社に戻ると、見知らぬ女の子がルナちゃんと戯れていた。

「お、2人とも、この子の面倒見てくれないか」

「え?」

「冗談だよ。頼み事があるらしいんだ。オレじゃダメって言われてよ。お前らに頼みたいんだと」

「僕達に?」

「あ、まってたよー!」

そう言って女の子は僕達の所に駆け寄ってきた。僕達の事が見えると言うことは、この子は死んでいるのだろう。こんなに小さいのに亡くなってしまうだなんて、可哀想だ。親は何もしなかったのか。

「きみ、名前は?」

「くれは!」

「くれはって言うのか。可愛いね」

「えへへ。おにーさんたちは?」

「僕は月沢冷青。こっちは霧春玖陽くん」

「えっと、りょーせーにーちゃんと、くおにーちゃん?」

「うん。そう」

「あのね、たのみごとあるの。きいて?」

「良いよ。どうしたんだい?」

「くれはのぱぱとまま、けんかばっかりしててね、くれはのことかまってくれなかったの。くれは、さみしくて、どうしたらいいかわからなくて……」

そこまで言って泣き出してしまった。喧嘩ばかりする親か。くれはちゃんと遊んでやれないのか。こんなに泣いているのに。

「何で、そういう大人がいるんだろう」

僕はたまに、大人に嫌悪感を抱いてしまう。何が嫌なのか、分からない。俗に言う反抗期……と言うヤツなんだろうか。いや、違う気がする。

「くれは、親にどうして欲しいんだ?」

「ぐすっ……なかなおり、してほしいの……」

「分かった。家まで案内、できるか?」

「……うん、できる。たのみごと、きいてくれるの?」

「ああ。だから泣くな。可愛い顔が台無しだぞ?」

「くおにーちゃんたち、やさしいねっ!ありがとっ」

くれはちゃんに案内されて、家に着いた。中には両親がいた。どうやら今も喧嘩しているようだ。

「やっぱりけんかしてるの……もうやだよ……」

部屋の中は散乱していた。物が壊れ、ゴミが散らばっている。

「……酷いな、これは」

「たすけて、おにーちゃんたち」

部屋をよく見ると、黒いモヤのような物が浮いていた。

「ねえ、玖陽くん。あれ」

「ああ。怪異がいるな。多分アイツを倒せばくれはの両親は元に戻る」

僕はモヤを掴んで外へ投げた。中で戦うのは武が悪すぎる。外で戦った方が有利だろう。そんな僕の行動に、玖陽くんは目を丸くした。

「お前……!!何やってんだ!素手で掴んだら……」

「大丈夫、くれはちゃんのためだから」

「何が大丈夫だよ!!」

「痛いとか、気にしてられない。くれはちゃんを救いたい」

少しでも、くれはちゃんに幸せになってほしいから。

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