第7話 友達

「それは……辛かったんだね」

「うるせえ。消えろ」

「僕に出来る事、何かないかな」

「……何もねえ」

「玖陽。意地張ってないで、少しは素直になったらどうだ。昔から全然変わってないな」

「意地なんか張ってねえ」

「僕にできることなら、何でもするよ?」

「しつけえ」

「玖陽。ちょっと良いか?」

玖陽くんは秋飛さんに呼ばれて何かを伝えられていた。何を話しているんだろう。僕には聞こえない。話が終わったのか玖陽くんが僕の方に向かってきて

「……俺……月沢と友達に……なりたい」

と言ってきた。恥ずかしいのかマフラーを顔の鼻辺りまで上げて隠している。

「ふふっ。1人が寂しかったんだね?」

「ち、違うっ」

「可愛い」

「良かったな。玖陽。友達出来て。大事にしろよ?」

「……分かってる。なあ、ルナいるか?」

「ルナ?」

「黒猫。俺の助手」

「黒猫……。あ」

もしかして、あの子がルナなのか。でも、捨て猫だったはず。

「にゃー」

鳴き声のする方を見ると、ノエルちゃんがいた。

「あ、ルナ。元気にしてたか」

「元気よ。くおはどうなの?」

「ええ!?猫が喋った!?」

「ん?ああ、こいつは人間の言葉を喋れるんだ。不思議だろ?」

ノエルちゃんはルナちゃんだったのか?

「待って、捨て猫って」

「ああ、それは嘘。ごめんなさいね。騙しちゃって。くおから見張っておけって言われたもんだから」

「……じゃあ、捨て猫じゃ無いって事?」

「ああ。心配かけたな。すまん」

「良かった」

騙されていたのはちょっと悲しいが、とりあえずは良かった。

「くお、友達出来たのね」

「……おう」

「折角だしみんなでどこか出かけようぜ。玖陽と冷青が友達になった記念に」

「それ良いわね。行きましょ。もちろんくおも行くわよね?」

「う……分かったよ、行けばい……」

「行けばいいんだろなんて言ったら引っ掻くわよ」

玖陽くんは出かける事にあんまり乗り気じゃ無いようだ。なら、玖陽くんが好きな事をすればいい。

「ね、玖陽くんがしたい事ってある?」

「俺がしたい事?……景色が綺麗な崖があるから、そこの景色をみんなで見たい」

「じゃあそうしようか」

こうして、僕達は景色の綺麗な崖へと向かった。

玖陽くんが案内してくれた崖から見る景色は、とても綺麗だった。太陽の光を海が反射して、キラキラしている。玖陽くん曰く、夜に見える星空も綺麗なんだそう。夜空も見ようという事になり、雑談などをして時間を潰した。そして、夜になった。玖陽くんの言う通り星空も綺麗だった。玖陽くんは、どうしてこんなところを知っているんだろう。僕の言いたい事が分かったのか

「ここ、生前によく来てたんだ。綺麗だよな。この景色を見てるとさ、辛い事とか忘れられたんだ。明日も頑張ろうって気持ちにさせてくれる」

と言ってきた。

確かにそうだな、と思った。僕達はしばらくこの綺麗な景色を見ていた。

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