第5話 不思議な青年

 あれからと言うもの、何をしても秋飛さんは元気にならなかった。大好物のケーキをあげても、食べないから冷青が食べて良いよ、と言われた。

思い切って何があったのか、と聞いてみた。しかし、まだ冷青には関係ないよと言われておしまいだった。どうしたら話してもらえるだろう。

何となくノエルちゃんの所へ向かった。すると、ノエルちゃんがいなくなっていた。僕は焦った。脱走したのだろうか。いや、そんな事をする子には見えない。誰かに連れ去られたか。どうしよう。周辺をくまなく探したが、一向に見つからない。

「……どこに……ん?」

森の中を探していると1人の青年が佇んでいた。ノエルちゃんを抱き抱えている。その青年は、僕と同年代くらいだろうか。整った顔立ちをしている。髪の左側に青いピンを2つ付けているのが特徴的だ。こちらに気づいたのか、その青年が僕を見つめてきた。

「……何か用でもあんの?」

「えっ。あ、その黒猫、僕が飼ってた子なんだけど……」

「あ?」

「……できたら……返して欲しいな……なんて」

「こいつ、お前のだったのか。悪い。迷ってたから拾ったんだ。可愛いなって思って」

青年は僕にノエルちゃんを渡してくれた。良かった。誰かに連れ去られたわけでは無かったようだ。

「ありがとう」

「あー。あと……ここら辺でマフラー見なかったか?青いやつ」

「マフラー?」

青いマフラーって、秋飛さんに渡したやつだろうか。ここら辺に落ちてたマフラーってあれしかない。秋飛さんに貰いに行こう。

「ちょっと取って来るね」

「なあ。俺も行くから」

「え。えっと……」

「あ??」

「うーん……まぁ、良いか。分かった。ついて来て」

「別に道案内はいらねぇよ。道知ってるし」

「えっ?」

何でこの青年は、道を知ってるんだろう。ここは迷いやすいのに。案内した覚えはない。生前に来たことがあるんだろうか。不思議な青年だな、と思った。2人で神社に向かった。道中青年は、ずっと僕を睨みつけていた。出会ったばかりだと言うのに、嫌われてしまったんだろうか。

「……僕の事嫌いなの?」

「……嫌いだ」

「そっかあ。嫌われるような事をした覚えが無いんだよなあ……」

「……お前が、悪い」

「僕?」

「……」

ぷい、とそっぽを向いてさっさと神社に入っていってしまった。本当に道知ってたんだな。後を追うように、僕も神社に入った。

「秋飛さーん?いますかー?」

僕が秋飛さんの名前を読んだ時、青年は悲しそうな顔をした。秋飛さんの事も知っているのか。

「冷青……?……っ」

秋飛さんは青年を見るなり驚いて僕の事を見て来た。秋飛さんも、この青年の事を知っていると言う事か。

「元気そう、だな」

「……ああ。まさかお前が来るなんて思わなかった。玖陽くお

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