第4話 青色のマフラー

「にゃ」

「お腹空いた?じゃあご飯作るから待っててね」

「にゃあ」

結局、猫を飼っていると言うことが秋飛さんにバレてしまった。秋飛さんは自分で責任を持って飼えるのなら飼っても良いと、猫を飼うことを許してくれた。何で隠してたんだ。と、しこたま怒られたが、それは気にしないでおく。

ご飯を作って持っていくと、ノエルちゃんが青色のマフラーを持っていた。いつの間に持ってきたんだろう。でも、何で春にマフラー?しかも青色。

「ねえ、ノエルちゃん。それ、どこで拾ったの?」

「にゃー」

「散歩したら見つけた?持ち主は?」

「にゃ」

「分からない?困ったなあ……どうしよう」

「どうした?」

「わっ!?びっくりした……秋飛さんこそ、どうしたんです?」

「いや、通り掛かっただけだけど」

「実は……」

ノエルちゃんが、いつの間にか青いマフラーを持ってきていたことを秋飛さんに伝えた。すると、秋飛さんが見せて欲しいと言ってきた。落とし主に心当たりがあるのだろうか。

「これです」

「……これは……アイツの……そうか」

マフラーを見つめる秋飛さんは、悲しいような、寂しいような顔をしていた。

「秋飛さん……?」

「いや、何でもない。これ、オレが持ってても良いか?」

「良いですけど……」

「……ありがとう」

秋飛さんに青マフラーを渡した。秋飛さんはしゃがんでノエルちゃんにこう言った。

「お前、ルナか?」

今、秋飛さんはルナって言った?ルナはノエルちゃんの前の飼い主がつけてた名前だ。偶然だろうか。

「……いや、そんなわけないよな」

ノエルちゃんを撫でて、神社に戻って行った。秋飛さんは、僕が知らない何かを知っている。僕と出会う前に、どんな事を見てきたんだろう。

「あ……」

名前の事、伝えたほうがいいだろうか。そのほうがいいかもしれない。

「秋飛さん!」

「……ん?」

「あの、ノエルちゃんは捨てられたそうなんです。飼い主からお前なんかいらないって言われて」

「捨て猫だったのか」

「前の飼い主が、ルナって名前をつけてたそうで……」

「前の飼い主がルナって名前をつけた、……か」

「一応伝えておいたほうがいいかなって」

「…………。冷青。その子の面倒、ちゃんと見てやってくれないか。オレからのお願いだ」

「え……?は、はい。言われなくてもそうするつもりでしたけど……」

「……なら良いんだ」

明らかに秋飛さんの元気が無くなっていた。でも、僕にはどうすることもできなかった。どう声をかけたら良いのか、分からなくて。

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