恋墨桜の娘

作者 るる

138

47人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

上春村には1年中咲き誇る曰く付きの桜がある。
その桜の花は黒く、信じられない事に稀に子どもを産むことがあった。

流れるような情景描写で綴られる世界観は美しく、登場人物は皆いきいきとしています。
見える者の孤独、見えない者の恐怖、遺して逝った者の後悔、置いていかれた者の追想……。
どの登場人物にも確固たる行動理念があり、その根底には誰かへの愛がある。
それは”恋墨桜の娘”陽桜李も例外ではない。
最初はぼんやりとしていた彼女もまた、多くの人に触れていく内にひどく切ない”ある想い”を抱きます。

黒い桜という妖しく美しい伝説を背景に、陽桜李や彼女を取り巻く者達の苦悩や葛藤、後悔、そして狂おしいばかりの愛を巧みに描いた作品です。

皆様是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

上春村の『こずみ桜』と呼ばれる黒い桜の樹の下で、美しい少女が生まれた。

少女は厳しくも不器用な父親と二人の兄によって育てられ、三人の家族と過ごす主人公の様子はとても穏やかなようにも思えます。

だが、彼女の出生にはある事実が……。

最もゾクリとした場面は、和紙に描かれた喪服の女が動きだす瞬間でした。

――絵が生きている……!?

動き出す喪服の女……。

不気味な黒い桜……。

果たしてその正体は……。

怪異、幽霊、見えざる者が見える父親と、人ならざる娘の幻想的な物語。

不穏な空気が漂う中、その結末は……。



(19-2 ある従者の祈り、届かず 拝読後のレビュー)

★★★ Excellent!!!


 先ずこの物語を語る際、私が最初に伝えたいのはその世界観の美しさ。巧みな文章を読んでいると物語の中に居てそれを目の当たりにしているような不思議な感覚に包まれます。

 人を生む黒き桜という設定からホラーにタグが付いていますが、オドロオドロしいということは決してなく非常に読みやすい優しいファンタジー寄りのホラー作品です。

 和の美しい情景と共に綴られる血の繋がらない家族の絆は、それ自体が物語の世界を更に素晴らしいものへと昇華している。不思議ながらも優しく、それでいて切なさが感じられる名作と言えるでしょう。

 そしてこの物語は男女に関係無く入り込むことができる点でもお薦め出来ます。書籍化もある作品だと言っても過言ではないでしょう。

 ともかく……お薦めです!
 

★★★ Excellent!!!

黒い花びらの桜舞う中、その桜から生まれた少女。
この設定だけで、美しくも妖しい雰囲気が匂い立つようです。

その少女、陽桜李ちゃんは、〝父〟と〝義兄〟たちと家族になります。ですが彼女がなぜ黒い桜――恋墨桜から生まれたのか。彼女の〝母〟とは。そして父・八雲さんやお兄さんたちの関係性は。
ぽこぽこと散らばめられた疑問が少しずつ明かされるのを、あやかし達が愉しげに見ている光景が浮かぶ……そんな幻想的な物語です。ぞくっとする感じもあり、ファンタジーのわくわく感もあり。

キャラクターも、しっかりと魅力的に描かれています。
耳塚ファミリー、好きなキャラばかりなのですが、個人的にはお父さまの八雲さん推しです。
和風のあやかし好きさんに、特にオススメ。このなんとも表現し難い、ほのぼの感と仄暗さの同居した物語を、ぜひ読んでみてください!