私がいい大人なので……
天裁光(バベル)であるとか毒魔爪(デ・イズグロード)といった技名はもはや思い浮かばず、うらやましいなと思っています。
天使や悪魔が召喚されて、日本神話と融合する発想もおもしろいです。
漫画のような文字の配置も、テンションが伝わって読みやすいです。
少年ジャンプのような技出ちゃう系の作品はすでに卒業しているお年頃なので、通常、比較的苦手なんですが、この作品は振り切れてて好感が持てます。
お姉さんの復讐の件が、回を追うごとに、だんだん影が薄れているように感じられるのが、重いの好きな私からするとちょっともったいないのかなと思います。
ライトで読みやすくはなっていると思いますが、キャラクターのインパクトある特長だと思うので、今後活かせればいいのかなと期待しています。
「聖書の奴ら」への叛逆を志す主人公・クロムの戦いの物語。
この作品の最大の魅力は、残虐でありながらも美しい描写でしょう。
残酷描写というものは、時に無意味に感情を煽るだけの不快なものになりがちですが、この作品はそうではないと考えます。グロテスクな美しさといいますか、魅せる残酷描写と表現すればいいのか……とにかく、溢れ出る残酷性の中に、病みつきになりそうな美しさがあります。
それだけではありません。
一癖も二癖もある登場人物たちによるコミカルな会話や、迫力ある戦闘シーンなど、魅力ある文体で描かれる物語は、引き込まれるような魅力に溢れています。
残酷で美しい叛逆の物語……虜になること、間違いなしです!
物語を読ませて頂く中、まず驚かされるのは想像以上の残酷さ……なのですが、残酷さの中に描かれた感情の渦や足掻き……そして美しさすら感じる怒りと殺意。
冒頭からしばらくは(私自身が残酷すぎる描写や映像が苦手なこともあり)、どんな恐怖が待っているのか、恐る恐る読み進めていったのですが、予想を裏切る意外性の連続とWeb小説ならではの見せ方の工夫など、残酷さを凌駕する世界が広がっていきます。
想像力や構想し、物語を紡いでいく中の作者様の向上心の強さが、文章や物語の展開に込められているように思います。
天使や神……美しく神々しい存在すら血色に染められていくダークファンタジー。
レビューを書かせて頂いている7月12現在、今後どのような展開が待っているのか……予想中ではありますが、確実に予想を裏切る展開が待っていることでしょう。
「ひぐらしが鳴く頃に」をご存知だろうか?
この作品の一番の魅力は、やはり落差だと感じました。日常パート、のほほんとした雰囲気から一転、天国から地獄へ突き落とすかのように、絶望へ。
狂気、血が舞い、ハッピーなエンドロールは決して流れることを知らずに走り続ける光の速さで物語が進んでいきます。
ここまでの落差、そして狂気を書けるのは、純粋に同じ作者としては、心が強い人だと感じましたね。
同じ作品を書けるかと言えば、書ける書けないの問題ではなく、持たないが正しいでしょう。
それほどまでに、描写や血の濃さが激しいものなので、読者を選んでいる分、とても深く、険しい道を進んでいますね。
読み続けると、狂気に慣れ、血の濃さや味にもなれ、いつの前にか夢中になっていることでしょう!
素晴らしい作品です、是非ご覧あれ!
この物語独特の狂気を孕んだダークネスな雰囲気が好きな方なら、まず面白く読み進めていけると思います。
好みが分かれるかもしれませんが、天使と悪魔、善悪や、正義というものの基準はどこにあるのかなど、そんな色々考えさせられる話が出てきて、それらのテーマが肌に合う方は、すぐこの物語が奏でる旋律の中へのめり込んでいくことができるでしょう。
またこの作品の特徴として、話における一つひとつの単語の選択や、文字の配置と、ルビの振り方がすごく精微を尽くした感じで、趣向を凝らした印象を受けました。
物語を視覚的にも楽しめるような工夫(行間を空けたり、文字を散らばめたりと)が凄いことになっています。
そして度々、こういうふうになるのではと思ったところを、読み手の予想を裏切って別の方向へと話が向かっていくという……飽きさせない話の展開もまた魅力の一つで、これからの話がどこへ進んでいくのか期待感が膨らみます!
プロローグにて僕は思った、ヤバイところに来てしまった……この世界に置いていかれないか、ついていけるのか?
圧倒的な憎悪と勢い、謎をふんだんに含んだ言葉に呆然としたものです。
2、3章と読み進めるうちに主人公「クロム」の優しさを感じられ、ハラハラの逃亡劇を楽しめます。相変わらず口は悪いですがそれもまた魅力。
敵である天使がクロムを狙う理由、クロム自身の秘密とは? この勢いに振り落とされないように必死でしがみつく必要があるこの作品。
作品を選ぶのではなく、選ばれるのもまた良いものだと思います。
余談ですけど、読んでいるうちに悪魔が可愛く感じてきます。いや実際可愛い、そしてヤンデレも意外に可愛いとか思っちゃいますね。本当に余談ですけど。