第48話 ソナタのケイシキ
そんなこんなあって俺たちは、一番初めに見た大きな赤い和風建築の中に案内された。
『――
妙に威厳タップリな声色で言って来たが……アレを見てしまえばもう遅い。
それに当の本人も、崩れてしまった威厳を諦めてるのか分からないが、乱れた髪に身体に合ってないブカブカの着物。見え隠れする中に着ているTシャツ。
(これが少なからず俺も慕っていた
俺は思わず鼻で笑ってしまった。アスタロトに関しては、床で転げまわりながら「アハハッ!! 腹痛い! 腹痛い!」と爆笑している。……気持ちは分かるが、うるさい。
対して
『っ。皆の者!
するとこの空間にいた神々全員がスッといなくなり……アスタロトの爆笑がより響くようになる。それから二十秒ほど立った後、ようやくアスタロトは自分がうるさい事に気付いたようで、
『……ぁ。すみません。どうぞ、始めてください』
(……やっぱコイツ空気に流されるタイプだ)
それを再確認した。
すると
『まずはよくここまで来たな。
……少し
俺は恐る恐る、
「それで……どうなんだ?」
『……今からお主幾つかの質問を投げかける。その返答次第で
(……質問?)
俺は疑問を持つ。確か
(噓をつくかどうかでも見極めるのか?)
よく分からない。だがこれも信用されるためだ。俺は頷く。
そして
『
(……具体的に)
そう言われると自分でも分からなかった。だが、今の俺の憎悪が生まれたその理由は。その原因は。その根源は。
……俺は。
「聖書の奴らだ」
俺は自然と喉にあった存在を言う。
すると
『やはりな。
「どう言う?」
『――
3000年前。つまり約紀元前1000年。
(モーセの十戒によれば、ユダヤ教が成立したのが紀元前1280年。キリスト教が西暦1年とみて……。つまりその間に
今まで見て来た残酷な光景。今まで相手にした感情ない敵たち。今まで抱き続けた憎悪。死んだ仲間たち。殺された仲間たち。
――誰に?
『……おそらくは天使辺りじゃろうか? 奴らになにかされたか? そしてその上の存在である
するとずっと沈黙を貫いていたアスタロトが、気まずそうに、
『あ、あの~。……えっと……質問なんですけど……。なんでクロムをずっと監視してたんですか?』
『それは言わぬ』
対してアスタロトは一瞬「え!?」と言う顔をするが、負けじと、
『ぇ。じゃ、じゃぁ……なんでクロムと直接合わなかったんですか? ……会う機会なら……質問をする機会ならいくらでもあったはず……』
すると
『それはアスタロト、
少し威圧的に言った。
アスタロトはポカンとした顔になる。
『それになんじゃ。ここ数年、我が国で
アスタロトは「え……知らな……」とガチ知らないような声を漏らして、
『……あ。ぇ、ぁ……。すみません』
アスタロトは謝っているがコイツは悪くないと思う。おそらく「とりあえず謝っておこう」と言うアスタロトの戦法。「周りが言うから」ってやつだ。本当に流されやすい奴である。
しかし今の会話中々重要な会話だった。……違和感を覚える箇所が存在する。
「……どういう事だ? ずっと監視していたんだなら、アスタロトと契約する前でも、いくらでも会う機会はあったはずだぞ?」
聞いている感じ、俺たちが
すると
『これは二つ目の質問じゃ。……確かに監視しておった。その左足や気の事も含めてじゃが――』
『――
(…………は?)
どういう意味だ? 今まで頭の中でまとめて来た構想が一気に崩れ、真っ白になる。それは「なぜ?」気持ちだった。
(ずっと、監視……してたんじゃ?)
『……少し話を変えよう。……
質問の意味分かる。だがその本質の意味が分からない。
あのタイミングで契約した理由。……やはり一番はミズチがやられたと思ったらだろう。敵を取りたい。殺したい。逆襲。そんな気持ちで……。
「……逆襲のため」
『逆襲ならあのタイミングではなくても良かろう?
「……分からない」
今思えばそうだ。なぜその今まで、悪魔と契約すると言う手段を取ってこなかったのだろうか? ただあの時は無我夢中でやっていたが……言われてみればおかしい。
『では更に深掘りしよう。
ゆっくり目を開ける。
『――――【
意味の分からない単語。だが
「知らない。確かアスタロトも言っていたな……。なんだよ、それ?」
俺は思った事を素直に話す。
対して
『なるほど……。少しずつじゃが――――』
瞬間、世界ガ割レタようナ。
――――これが
『これが
それと同時に、
――ゾッ
(……この感じ!?)
『何事じゃ!?』
すると後ろから、
『【
『
『報告致します! 現在
『「『なッ!?』」』
俺たちは驚きと焦り……そして絶望の声を上げる。
だが……絶望はまだ……。
『そして
その瞬間、真上で強い霊力がッ。
この感じ、知ってる――【
(【
すると、
『【
高位の力のぶつかり合い。俺が割って入れる状態でもない。
『あやつらの狙いは
――――遥か上空で全てが燃える、終焉を呼び寄せる霊力が――天災の炎【
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます