第140話 俺、王国へ向けて進撃する
「それは放ってはおけんな」
イクサが唸った。
ユート王国はイクサの故郷。
そして俺がこの世界に召喚され、最初に降り立った地でもあり、ラムハ、ルリア、アミラ、カリナと出会った場所でもあるのだ。
すぐ帝国に行っちゃったけどな。
「革命軍とやらは何を狙っているのだと思う?」
イクサの質問に、俺は首をひねった。
学問的な知識で言うと……歴史だと、革命軍は……。
「俺の世界にフランス革命ってのがあって、革命軍は王様捕まえてギロチンにかけたな」
「ギロチン?」
「首をぶった切る処刑の機械。王妃もギロチンされたな」
「いかん」
イクサが険しい表情になる。
「なあなあオクノ。なんでそんな機械なんか使うんだ? 斧で首を落とせばいいじゃないか」
これはミッタクからの質問。
「ええと、首を落とすのは結構難しいんだって。失敗したら処刑される側も苦しいだろ。だからギロチンで失敗しづらい感じにして、サクサク行けるようにしたんだと思う」
「へえー。てか、そんなもん使うくらいたくさん処刑されたのか? いやな話だな」
ミッタクが顔をしかめた。
バイキングは基本、他の人種とは殺し殺されだが、それは略奪を行う以上仕方ないことだと捉えられている。
彼らは必要がなければ人の命は奪わない。だから、処刑しまくるってのは理解できないようだった。
「オクノ、すぐに旅立つぞ。俺の考えでは、イーヒン辺境伯が危ない……!」
「あっ、そう言えばそうだな!」
俺もハッとした。
イーヒン辺境伯というのは、俺に陣形を教えてくれたユート王国の貴族だ。
俺にこの世界で師匠と呼べる人がいるとすれば、彼だけだろう。
「じゃあ助けに行かなくちゃな」
「うむ、行こう」
「行こう」
そういう事になった。
「いいなあ……。お前ら本当に仲いいよなあ」
ミッタクがとても羨ましそうに俺達のやり取りを見ているのだ。
さて、ホリデー号は物資の補給や、他の情報なども集めるために都市国家に停泊する。
そして、俺とイクサはバギーを使い、先行する事になった。
他に二名ほどメンバーを募ったら、厳正なるじゃんけんが行なわれた。
ルリアが挙手したのだが、彼女が加わると勝ち確になるし、今回はもっと器用なメンバーが欲しかったので除外。
「うえーん!!」
「個人の身体能力とか、器用さとか知識とか見たら……。よし、カリナ、ミッタク、シーマ」
「はい!」
「おうよ!」
「うむ、順当な判断じゃな」
そしてフタマタが同行する。
バギーの運転は俺。
助手席にはミッタクを載せ、後部座席はイクサとシーマ。
並走するフタマタの背中にカリナが乗っている。
「フタマタは乗りながら射撃ができるので便利です!」
乗り手を補助しながら走れるフタマタなので、高速移動と射撃が可能な移動砲台みたいな感じになった。
これは強い。
こちらも、俺が運転しててもミッタクとイクサが射撃攻撃してくれるからな。
隙はない。
それにこのメンツなら、どんな障害物があっても対応ができるのだ。
俺達は砂漠に突入し、猛スピードで駆け抜けていく。
サンドウォームが飛び上がって襲いかかってくるが、
「飛翔斬!」
「トマホーク!」
「連ね撃ち!」
『モガーッ!?』
次々に粉砕だ!
半日で砂漠を走破する。
次に飛び込むのは、女神キシアの森だ。
ここを爆速で走るのはちょっと女神に悪かったので、トロトロと徐行運転した。
「元気そうだねえ」
「お陰様でな。フタマタも絶好調だ」
「わんわん!」
キシアの神官であるおばあちゃんと軽く言葉を交わし、そのままカリカリステップへ。
ステップには、ちょこちょこと王国の人間が出てきていた。
これは前にあった、遊牧民狩りとは違う。
「イクサヴァータ様!?」
「イクサヴァータ様が戻ってこられた!」
王国の人達が、イクサを見てわーっと盛り上がる。
こういうのを見ると、イクサは王子なんだなーと分かる。
「お前達、どうしたのだ? ステップまで逃げてくるほど王国の状況は悪いのか?」
イクサの問いに、人々はさめざめと泣きながら答える。
「ひどいなんてもんじゃないです。王都が火の海になって、王家の方々は城に籠もっておられますが、食料がどれだけ持つか……。革命軍とか言いますが、あいつら人間じゃないやつまで混じってますし、とんでもねえ……!! 軍師のキー・ジョージ様が暗殺されてから、王国は革命軍に負けっぱなしで……」
ほうほう、大変な状況らしい。
「辺境伯領はどうなっている?」
「イーヒン伯がなんとか持ちこたえてますが、時間の問題かと」
イクサがむちゃくちゃ怖い顔になった。
こいつが私情を見せるのは、辺境伯領が関わった時だけである。
「オクノ、頼みがある」
「おう。真っ先に辺境伯領まで突っ走るぞ」
「感謝する!」
「気にすんな。俺とお前の仲だ!」
俺はアクセルを踏み込んだ。
俺達のやり取りを、文字通り指をくわえて見ているミッタク。
「いいなあ……。うちもそういう友情をやってみたいなあ……」
ミッタクは友情やる前に、なんか俺と夫婦的なあれをやることになりそうだが……!
俺達は勢いのままに、王国に突入した。
既に時間は真夜中。
カリナはフタマタの背中ですやすや寝ている。
俺達の登場に、革命軍とやらがひどく驚いていた。
「裂空斬!!」
「ウグワーッ!!」
「ウグワーッ!!」
前方を邪魔する者は、イクサが片っ端から飛ぶ斬撃で切り伏せる。
バギーに取り付こうとする者は、ミッタクが引っ剥がして地面に叩きつけたり、シーマが邪の呪法で洗脳して尖兵にする。
王都を横目にしながら、そのまま通過だ。
やがて夜が明ける。
さすがにちょっと疲れてきたが、目的地はもうすぐ。
ちなみにバギーの動力源は俺の呪力なので、ガス欠も近い。
決戦をやるならサクサク決めないとな。
「見えてきたぞ!!」
イクサが叫んだ。
岩山に囲まれた、イーヒン辺境伯領。
半ばまで崩れたその城壁に、全身が鋼でできたような巨人が取り付いている。
「オクノ、先行するぞ」
そう言うなり、イクサがバギーから飛び降りた。
おいおい、走ったほうがバギーより遅い……と思ったら、イクサがなんとバギーを追い抜いていった。
人間の速度ではない。
疾走、跳躍、跳躍。
革命軍というか、モンスターの群れみたいになったそいつらの頭を踏み台にして、イクサが走る。
そして高らかに飛翔すると、振り返った鋼の巨人目掛けて白刃を振るう!
「月影の太刀!!」
『モガ!? ウグワーッ!!』
鋼の巨人の首が飛んだ!
これを皮切りに、俺達六人VS革命軍の戦いが始まるのである。
ここで、俺の残りMPも含めたステータスを確認しておこう。
カリナに技の継承も済ませているから、彼女のステータスも一緒にな。
名前:多摩川 奥野
技P :1750/1750
術P :76/589
HP:2205/2205
アイテムボックス →
※カールの剣
※祭具・ローリィポーリィ
※祭具・イーグルストーン
※戦士の銃
※ダミアンG
☆体術
・ジャイアントスイング・ドロップキック・フライングメイヤー
・バックスピンキック・ドラゴンスクリュー・シャイニングウィザード
・フライングクロスチョップ・エアプレーンスピン・ブロッキング
・ラリアット・ブレーンバスター・エルボードロップ
・アクティブ土下座・スライディングキック・パリィ
・ワイドカバー・ドラゴンスープレックス・フランケンシュタイナー
・ムーンサルトプレス・サブミッション・クロスカウンター
・ブリッジ・闘魂注入・ビッグブーツ
・喉輪落とし・ヘッドシザースドロップ・ヘッドバット
☆剣
・ベアクラッシュ・ディフレクト・マルチウェイ
・ブラッディマリー・ファイナルレター
☆槍
・足払い・二段突き・風車
・スウィング・ジャベリン・双龍破
☆鞭
・スラッシュバイパー・二連打ち・グランドバイパー
・カウンターウィップ・ボルカニックバイパー
☆弓
・影縫い・サイドワインダー・アローレイン
・連ね射ち・バードハンティング・影矢
☆斧
・大木断・ヨーヨー・バックスラッシュ
・高速ナブラ
☆杖
・スペルエンハンス・パワーエンハンス・アンチマジック
・スピードマジック
☆銃
・反応射撃・集中射撃・曲射
☆術技
・ミヅチ(槍)・サンダーファイヤーパワーボム(体術)・ナイアガラドライバー(体術)
・トライディザスター土下座(体術)
☆特殊
・カムイ
★幻の呪法
◯幻炎術◯幻獣術◯雷幻術
◯幻影魅了術◯幻氷術◯水幻術
◯幻影戦士術
★時の呪法
◯タイムストック◯タイムブレイク◯クイックタイム
★陣形・陣形技
・マリーナスタンス3
・マリーナスタンス5
・デュエル
・青龍陣/ドラゴンファング
・白虎陣/タイガークロウ
・朱雀陣/フェニックスドライブ
・玄武陣/タートルクラッシュ
・ランスフォーメーション
・シールドフォーメーション
鞭の技は、訓練中に閃いたぞ。
短剣技は、俺の場合剣の技に統合されるっぽい。
名前:カリナ
レベル:60
職業:魔弓の射手
力 :106
身の守り:148
素早さ :263
賢さ :45
運の良さ:37
HP418
MP75
弓50レベル
短剣20レベル
クイックチェンジ
☆弓
・影縫い・サイドワインダー・アローレイン
・連ね射ち・バードハンティング・ビーストスレイヤー
・影矢
☆短剣
・ブラッディマリー・ファイナルレター
カリナも第一線級の強さなのだ。
短剣を磨き、ついに前衛にも立てるように。
独自スキルのクイックチェンジが生えてきたが、これは彼女が訓練の結果、弓と短剣を高速で持ち替えできるようになったものらしい。
元々才能があったものが、弛まぬ鍛錬の末に強くなった感がある。
感無量だなあ。
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