第24話 デパートにて

うげっ。ひと多いな…。

大きなデパート店、シャークスバーズに

俺と、水壁は来ることになった訳だが人の多さに、俺はびっくりしていた。


水壁は、表情を何一つ変えていなかったから

これが、おそらく普通なのだろう。


 最近は、外出が増える様になってきているが、ここ2、3日前までは

家に篭りっぱなしで

ゲーム三昧の日常だったのだ。。

 だから、人の多い場所には全く慣れていない。

   

 「ちょっと。景谷くん!

  そんなにキョドらないでよ。

  今日、美少女達とイチャコラでき

  なくて、ストレス溜まってるのは

  わかるけどさ…。

  怪しいやつにしか見えないから

  自重してよ。」


俺の隣を歩く、水壁がジト目をして

そう言ってきた。


誰が美少女とイチャコラだ…。

こっちの気もしらないで…。


まぁ、でも今日から中間考査までの間

俺が彼女達と深く関わることはそうないだろう。

 現に、今日だって一度も転入生以外とは会話をしていないしな。


遅刻の罰に対しての対策やら何やらを

休憩時間も

俺がずっっっとしていたから、

近寄り辛かったのだろう。。

それに、昨日の帰り道に

あまり学校内で関わらないようにしてくれと

頼んだことも影響しているだろう。


あれは、安藤玲に向けて言った言葉であったが、皆、俺に対して気を使ってくれたのかもしれない。



 「あぁ。気をつけるよ。」


 「うん。そうしてくれると

  助かるよ。後、

  もう、次の階で洋服店つくから

  準備しといて。景谷くん!」


 「分かった…。」


水壁とのやり取りを終え

俺は自分の財布の中身を確認した。


3000円と少しの硬貨。。

まぁ、なんとかなるか。


そう思った俺と水壁は

エスカレーターで3階へと上がっていった。



♦︎♢♦︎


ククッ。

学校での

遅刻のペナルティについては

俺も焦ったが、

ようやく、この時が来た。


3階にあるジュハラムという洋服屋に来て

俺こと水壁忠政は、一人テンションが

爆発しそうなくらい昂っていた。


ポーカーフェイス…。

皆が思う、水壁忠政像が壊れないように

俺は最善の注意を払う。


ニタニタと悪意に満ちた顔をしてしまいそう

になるが、それを堪えて

自分の後ろについてきていた

景谷に、チャラ男がつけてそうな

チェーンがあちらこちらについた

黒主体の服を手に取り景谷に手渡した。


「この服、最近流行なんだ!(嘘だけど)

 カッコいいし、すんごく似合ってるよ

 (全く似合ってないけど)

 ほらほら、これは買わなきゃ損だよ?

 (景谷が買ったら間違いなく損だけど)」


という、嘘のお墨付きの言葉を添えて。


「へ、へぇ。こんなのが流行り…か。

 わかった……。買うよ。」


ククッ。やっぱし根暗だ。。

こんなのが流行ってる訳ないだろ。

ファッション知識は0と見ていいな

こりゃ…。


まぁ、そっちの方が都合が良くて済む。


「その服5500円するけど、お金あるよね?

 景谷くん!」


一応、彼の所持金が気になったので

俺は確認をとった。


「えっ。3000円と少ししか持ってないん

 だけど…。」


ボソボソとした小さな声だったが

はっきりと、俺の耳に聞こえてきた。



3000円と少しって……。

オシャレアイテムを色々買いに行く

程だったのに…

そんなんで、足りるわけないじゃん。

ファッション知識どころか、、

社会常識も彼は欠けているのかも

知れない。


頭を抱え込んだ俺であったが、

やむを得ない。


「そ、そっか。

 なら、この服買えないね。

 うーん。じゃあ

 今日はこのメモに

 買い物リストを

 書いて渡しとくから。

 明日、祝日で学校休みだし。

 また、デパートに来て一人で

 買うようにしてね。」


俺は、景谷に買ってもらう物のリスト

それから経費も書き込んで、今日は解散という形をとることにした。


  少し、惜しい気もしたが、


 景谷のファッション知識が0なのが

分かったことだけでも大きな収穫だった。


 景谷なら、オシャレ、ファッション系なら

俺のいう事を絶対に聞くはずだ。

故に奴はここに書いたものを全部買う。


俺は俺でやるべき事があって忙しい。

ここは景谷一人に任しても問題ないはずだ。


ククッ。あー。2日後が楽しみだぁ。


♦︎♢♦︎



「ちょ、ちょっと、

 あ、あれ?

 なんで…よ。

 確かここに…。

 って、

 水壁君と景谷どこ行ったのよー!!」


あれっ?何か寒気が。

早く帰った方がいい感じの奴だ。

これ…。


「はい。

 景谷君。これが買いものリスト。

 ちょっと急用できたから。

 じゃ、僕はこの辺で〜」


 「ってちょい。」


 ・    ・      ・


お前は嵐の様に去っていくな。水壁…。

にしても、服ってこんなにするんだな。

渡された紙を見つつ、俺は素直に驚いた。


他にも書かれてある項目に目を通していると

「いたー!!!!!!!!!」と

誰かから、ひとさし指をビシッと指されてそう叫ばれた。


思わず声の主の方に振り向くが、

目が合うと

俺は顔を即座に背けた。


なんで、、こんなとこに…

あんたがいんだよ……。


そ、そっか。

だから、水壁の奴走ってったのか…。


俺を置いていくんじゃねぇよ…。


1年3組

クラス委員長にして、貝坂と親友ポジション

に位置する女子…。


里島結女がこちらに近づいてくるのが

わかり、俺は冷や汗が溢れでていた。
















 



 

 



 


 














 


 

 


 















 

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