私、今、めっちゃ落ち込んでます!

 今朝のスマホの占いは久々に一位。ルンルン気分で学校に向かった。


 なのに・・・。


 駅の階段を駆け上ったら靴のかかとがとれた。


 電車に飛び乗ったらドアにカバンが挟まったまま出発。


 動けない私の目の前にはクッサイ息のオッサン。


 二駅で降りるはずの駅のホームは反対側。


 もう二駅乗り過ごしてようやくカバンが外せた。


 大丈夫、今日の占いは一位!これからばん回するはずと気合を入れ直す。


『えーっ、お忙しいところ誠に恐縮ですが列車故障により・・・』


 駅員のアナウンスがホームに響きわたる。


 迂回路線の地下鉄のホームに向かってなだれ込む人々。


 かかとの外れた靴で追いかける。


 満員電車にもみくちゃにされて、綺麗にセットしたはずの髪がグシャグシャ。


 これくらいで、めげるものか。いつもに比べたら全然マシだもん。


 ハトのウンチは眼前で避けたし、女性専用車に乗らなかったのでピンヒールでつま先を踏まれることもなかった。


 スマホはこの間画面が割れたので、これ以上は悪くなりようがない。


 アルバイトを首になったので財布を落としても現金なんてはいっちゃいない。


 完璧だわ。占い通り。どん底なんだから後は上がるだけなのよ。


 ほら見て!いつもは長蛇の列の駅のトイレ。ガラガラじゃない。これならギリギリ遅刻せずに髪を直せる。


 私は急いでトイレに駆け込んだ。鏡を見て絶句する。


 あらやだ。なにこれ!私の自慢の黒髪・・・。真っ白じゃん。


 ・・・。


 鏡の中の私が見知らぬ女子高生の顔に変わる。


『ギャー』


 恐怖に歪む彼女の顔を見て思い出す。


 そうだった。スマホに夢中でホームから転落。滑り込む電車に跳ね飛ばされて呪縛霊。どんなに頑張ってもどう言うわけか改札を抜けられないんです。


 私、今、めっちゃ落ち込んでます!






おしまい。

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