第32話 書庫での会話


 次の日、アンセルはトレーニングを終えると、マーティスがいる18階層の書庫へと向かった。茶色の袋を背負って走っていた時に、マーティスが書庫に入っていく姿を見たからだった。


 アンセルが書庫の扉を開けると、真ん中に置かれたテーブルには数冊の本が積まれ、椅子に深く腰掛けて水晶玉を見つめているマーティスの姿が見えた。


 アンセルが書庫の中に入ると、マーティスはアンセルに目を向けた。テーブルに水晶玉を静かに置いてから「どうされましたか?」と口にした。


「いや、その…」

 一体、何から話せばいいのだろう。アンセルの頭の中で、剣とクリスタルが急にグルグルと回り始めた。


(昨日、感じた事は間違いないだろう。

 真実を知りたい。

 でも…真実を知ったところで、一体どうなるというのだろう?)

 何らかの答えを知っているであろうマーティスを目の前にすると、アンセルは急に真実に立ち向かうことが怖くなった。どうしたらいいのか分からなくなり、困った顔をしながら立っていた。


「何か言いたげですよ?どうされたんですか?」

 と、マーティスは言った。


「あの…マーティスが何をしているのか…気になって」

 アンセルの口から出てきた言葉は、真実を確かめようとする言葉ではなかった。自分でも何を言ってるのだろうかと思ったが、マーティスは優しく微笑んだ。


「水晶玉で、勇者と魔法使いを見ているんですよ。

 アンセル様も、一緒にどうですか?」

 マーティスがそう言うと、アンセルも隣の椅子に腰掛けた。水晶玉に映る勇者と魔法使いの姿を見ると、心臓がドクンと音を立てた。

 

「勇者は…何を思いながら、このダンジョンに向かっているのだろう。誰も…何も…疑問に思わないのだろうか?」

 アンセルは聞きたい事はとりあえず後回しにして、勇者の様子を聞くことにした。


「勇者は…そうですね。もう少し見てみないと分かりません。

 今は共に旅をしているとはいえ、もともと敵国同士ですから、そう簡単に心から語り合うことはないでしょう。

 人間という生き物は、僕たちとは違い、非常に複雑です。表面上はいくらでも何者かを演じられるのが人間です。

 ただ言えることは、剣と槍と弓の腕は確かです。恐ろしく強い。そして…3人とも何らかの影を抱えています。特に、剣と槍の勇者の影は色濃い。真っ黒な…そう…闇のようです。

 勇者が歩いてきた道は、茨の道だったのでしょう。多すぎるほどの…血が見えるのです。

 特に、このアーロンという剣の勇者が気になります。

 全く…人間とは、いつの世も変わらない」

 マーティスはそう言うと、ひとりの美しい男の勇者の顔を水晶玉に大きく映した。


 金髪とグレーの瞳をした男は、見る者の心を奪ってしまうほどの美青年だった。羨ましくなるほどの整った顔立ちは、多くの女性を虜にしてきたのだろう。微笑みを浮かべた表情は、忘れ難いほどだった。


(この男が?マーティスと同じくらい…美しいのに)

 アンセルはそう思いながら、横目でマーティスの顔と剣の勇者の顔を見比べた。マーティスはその視線を見逃さなかった。


「今、僕の顔とこの男の顔を見比べましたね?」

 と、マーティスは苦笑しながら言った。


「えっ?まぁ…ははは」

 アンセルは笑って誤魔化そうとした。


「僕の顔は僕自身どうとも思っていませんが、彼は確かに美しい。そう…あまりに美しいのです。この瞳がどうしても引っかかります。何を考えているのか分からない。心の闇が深すぎるのです。何かを酷く憎んでいるようにも思えます。微笑みを浮かべながら、感情を隠している時もある。

 槍の勇者の後ろにも、多すぎるほどの死体の山が見えます。深い憎しみと狂気が、彼を動かしているのでしょう。

 本当に人間とは、複雑な生き物です。

 それに比べればアンセル様は実に分かりやすく、体は逞しくなったのに、まだまだ可愛いところが多いです」


「なんだよ?

 俺のどこが可愛いんだよ!?」

 と、アンセルは赤くなりながら言った。


「そういうところですよ。

 あとは…そうですね…。真面目過ぎるところもです。ダンジョンの皆んなは、あの子は既にアンセル様のものだと思っていますので、どんなに可愛くても声などかけませんけど」


「なんなんだよ?急に、なんの話だよ?」

 アンセルの顔はみるみる真っ赤になっていった。


「分かってるでしょう?顔が、林檎のように赤くなっていますよ。最近、あの子を見るときの顔が、男の顔になっていますよ。上手く隠していると思っているのは本人だけです。

 見てる方は、面白いですが」

 と、マーティスは笑いながら言った。


「男の顔?なんだよ、それ?そんな顔には、なってないよ。

 俺は一つでも堕落すれば、きっとコロコロ転がっていく。本来は怠惰な男だから、全てが崩れて…俺ではなくなってしまう…そうなれば…もう終わりだ…」

 アンセルの声はどんどん小さくなっていった。覚醒した時の感覚を急に思い出し、チラチラと水晶玉に映る勇者の顔を見ていた。


「堕落とは…そんな言葉をご存知でしたか。

 そう思っているうちは、そうはなりませんよ。大丈夫です」

 と、マーティスは明るい声を出した。

 アンセルの頭をクシャクシャと撫でてから、その瞳を覗き込んでニヤリと笑った。


「なんだよ…嬉しそうだな…」


「えぇ、リリィが大切にされているようなので嬉しいんですよ。

 まぁ、いいじゃないですか。

 僕はこの水晶玉を見つめているか、稽古の見学をしているか、別の面白くもない事をするだけなんです。

 何か楽しみがないと、つまらないんですよ。

 最近は、この話をする時のアンセル様の反応が、一番面白いですからね」

 マーティスはそう言い終わらないうちに、声を上げて笑い出した。


(やっぱり俺を揶揄って…楽しんでんのか)

 アンセルは呆れ返りながら、マーティスをジロリと見た。


「なんですか?その呆れたような顔は。

 別に、いいではないですか。

 アンセル様も、稽古以外の大切なことを考える時間が必要です。殺伐とした空気に呑まれることがないように。

 その手で誰を守りたいのか、しっかりと感じて下さい。

 愛とは、きっと…素晴らしいものなのでしょう。僕には…ソレは分かりませんが。僕が女性を愛することはありませんし、絶対にあってはならない。そのような感情は、生涯持ってはならないのです。

 だからアンセル様がそのような感情を抱いているのであれば、もっと大切にして欲しいなと思っているんです」

 マーティスはそう言うと、急に真剣な目になってアンセルの心に語りかけた。アンセルはその言葉を聞くと、自分を支えてくれているリリィの顔が浮かんだ。


「俺は…この気持ちが何なのか…分からない。

 好きなのか、妹の延長線上なのか、それとも…ただ辛いことから逃げようと思っているのか…正直よく分からないんだ。

 リリィを大切に思う気持ちは、日に日に強くなるけれど。もし男としての欲望だけなら、リリィを傷つけたくない。

 ちゃんと愛してると口にしてからでないと…ちゃんと幸せに出来る状況になってからでないと…嫌なんだ」

 アンセルが真面目な顔で言うと、マーティスは微笑みを浮かべながら頷いた。


「ところでマーティスが女性を愛してはならないって、どういうことなんだ?初めて聞いたけど」


「それは僕の罰ですから。今は、どうでもいい事です。

 さぁ、他にも何か聞きたい事はありませんか?僕に答えられる範囲で、お答えしますよ」

 マーティスはそう言うと、ニッコリと微笑んだ。


「そうだな…。

 勇者は…以前のように魔法を使えるのだろうか?」

 アンセルは水晶玉に映る勇者の武器を見ながら言った。今回の勇者が持つ武器には、かつての勇者の武器のように赤い宝石のようなものは全くついていなかった。


「それは、出来ないでしょう。かつての勇者が魔法を使えた理由は…今はまだ…。

 勇者とは、本来、剣と槍と弓を掲げながら魔王に挑まねばなりません」

 マーティスは厳しい声で言った。その顔からは、先程までの柔らかな表情は消えていた。


「今回の勇者は、魔法が使えないのか。

 かつての勇者は、魔法使いの血が流れていたとかかな?父親が魔法使いで、母親が人間とか」

 アンセルがそう聞くと、マーティスは首を横に振った。


「魔法使いと人間が愛し合うことは、外の世界の禁忌であるようです。魔法使いと人間との間に子供が生まれたとしたら、その子は許されざる子ということです。

 魔法使いのように長い時を生きることになりますが、その体では耐えられない魔力をも宿すことになります。禁を犯したのですから体は激痛に苦しみ、心を闇のように蝕んでいく。

 禁を犯した者が背負う苦しみです。

 そのように、人間の世界では、伝わっています」

 と、マーティスは答えた。


「えっ?禁を犯した者って、なんだかよく分からんな。その子が一体何をしたというのだろう?

 なんか…今回の魔物討伐にも繋がるような話だな。勝手に決めてかかるとは…。このダンジョンでも、ミノタウロスとオーガとの間に子供がいるけど、めちゃくちゃ元気だぞ」

 アンセルは不思議そうな顔をしながら言ったが、マーティスは何も答えなかった。


 次にアンセルが魔法使いを見ると、魔法使いは小さな子供のように見えた。


「勇者ばっかり見てたから気付かなかったけど、魔法使いって思ってたより小さいな。同じ馬に乗ってると、よく分かる。勇者がデカいのもあるけど、まだ…子供じゃないか。

 こんな子供にマーティスでも分からない封印を解除することが出来るのだろうか?魔法使いと魔術師は違うのかな?」

 と、アンセルは言った。3人の魔法使いは、勇者に比べたら、とても小さく見えた。


「何もかもが違います。力の根源も、この世界に生まれた理由も、何もかもが違うのです。

 彼等は人間を導く為に生まれた光の魔法使い。ただしき事をした美しき者。

 一方、僕はとある醜悪な魔物から生まれました。とても醜悪で自らの役割さえ果たせなかった者から。

 だから…魔術師は僕しかいません」

 マーティスの表情は曇り、右手がブルブルと震えていた。何かをひどく恥じているようだった。


 アンセルはマーティスが自らを卑下するような言い方をするのを聞いたのは初めてだったので、何と答えたらいいのか分からなくなった。マーティスが醜悪な魔物から生まれたとは、とても思えなかった。


「そうか…。かつての決戦の魔法使いであるユリウスと違って子供だから、少し驚いたよ。

 まぁ、ユリウスのこともよく知らないんだけどさ。

 今回の魔法使いも、ユリウスと同じぐらいのレベルなのかな?ユリウスとマーティスを比べた方が分かりやすいかな?」

 アンセルがそう言うと、マーティスの表情が強張った。


「アンセル様、一つ言っておかねばなりません。

 ユリウス様と同じレベルなどあり得ません」


「えっ?ユリウス様?」

 アンセルは少し大きな声を出していた。マーティスが外の世界の者に様をつけるとは思っていなかった。


「力のレベルが違いすぎるからです。僕など足元にも及びません」


「ならば…『かのお方』はどうだったのだろう?魔法使いとドラゴンでは違うだろうけど」


「かつての魔王の絶大なる力の前では、勇者と共に立ち向かったとしても希望を失えば…絶望となるでしょう」

 マーティスがそう言うと、アンセルは黙り込んだ。マーティスの言葉は何を言っているのかよく分からないことがあった。


「いずれ、分かる時が来るでしょう。

 他には、何かありますか?」

 と、マーティスは言った。


「あとは…そうだな。

 ドラゴンの炎の根源となるものは…憎しみなのかな?

 魔術で憎しみの感情を…強く感じるんだ。

 俺も人間を憎めば、炎を操れるようになるのだろうか?かつての魔王である『かのお方』のように。

 かつての魔王は、憎しみの感情が強かったと思うから」

 アンセルがそう言うと、マーティスは首を横に振った。


「かつての魔王とアンセル様とはちがいます。

 何を力の根源にするか、その者の魂によって決まると僕は考えています。アンセル様に人間を憎んで欲しいから魔術を施しているのではありません。

 アンセル様は、人間を殺したいほど憎いですか?憎くなりましたか?」

 マーティスはアンセルの瞳を見つめながら言った。


(俺は、今、どう思っているのだろうか?)

 アンセルは自問自答しながら、水晶玉に映る勇者の顔を見た。かつての勇者には、忌々しいという感情を強く抱いた。

 しかし、それらは本当に自分の感情なのだろうか?

 忌々しいや憎らしいという感情は、かつての魔王が抱いている感情だろう。 


「俺自身は憎くは…思っていないと思う。そもそも話したこともない相手のことなど憎めない。

 そうだ…俺が戦うのは、今の勇者だ。

 どれほど甘い考えだと思われても、俺は人間を憎みたくはないし、殺したくない。殺してはいけない。

 理不尽さで、こんな目にあって困惑はしてるけど、その誤解を解きたい。話し合いでなんとかしたい。

 その思いは、今も変わらない」

 と、アンセルは言った。


「そうですか。アンセル様らしい答えですね。

 憎しみとは、恐ろしい。

 その感情に心を蝕れば、間違いなく人間を殺すでしょう。

 当初の決意とは異なります。

 アンセル様も分かっておられるとは思いますが、1人殺せばあとは簡単です。人間を殺すことを、何とも思わなくなるでしょう。

 その時は、アンセル様はアンセル様ではなくなります」

 マーティスはそう言うと、隣に座っているアンセルの右腕に触れた。


「俺も、そう思った。

 当初の決意を貫きたい。

 人間を殺さずに、仲間を守りたい。仲間を守る為なら強くなれると思って…今まで頑張ってきたんだ。

 自分が弱いのではないかと思ってしまうけど…もっと…力が欲しいと思う時もあるけど…。

 ほんと…自分がよく分からなくなる」

 アンセルはそう言い終わらないうちに下を向いた。彼の目には逞しくなった両腕が映っていた。その力強い腕ならば、絶望を打ち砕くことが出来るというのに。


「弱さがあってもいいではないですか。強いばかりでは、何も分かりませんよ。

 弱さがあるからこそ様々な事を考え、悩み、戦うことが出来る。強さだけでは、捩じ伏せればいいだけです。自分の正義だけを一方的に押し付ける。

 それはそうとして仲間を守る為なら強くなれる…ですか。いい言葉ですよね。どうしてそう思ったんですか?」

 マーティスはそう言ったが、アンセルは答えなかった。


「いいじゃないですか。

 今更、何を隠す必要があるんです?」


「この書庫にある…白と青の表紙の本の影響だよ。

 英雄が世界を救う話。愛しい人たちの為に…世界を救った英雄の話だよ。その英雄の気持ちが今なら分かる気がする。

 正直、憧れてる。ダンジョンを救って…俺も…そうなりたいなって…。皆んなで、いつまでも幸せに暮らしたい」

 アンセルがそう言うと、マーティスは声を上げて笑い始めた。


「魔王が英雄!?魔王が英雄とは、これはまた!

 そんな者に憧れながら、頑張っていたのですか!これほど逞しくなったというのに、まだまだ可愛らしいですね」

 マーティスは目から涙を流しながら、アンセルの逞しくなった体を触った。


「なんだよ!悪いか!?

 だから言いたくなかったんだ、俺は!」


「いいではないですか!

 英雄とは、偉業を成す者をさす言葉。

 このダンジョンを救えば、アンセル様は仲間にとって英雄です」


「全くこれだから、マーティスは困るんだよ」

 アンセルが不貞腐れた顔をすると、マーティスはアンセルの顔を見ながら微笑んだ。


「そうですね。

 アンセル様は立派な魔王になられたので、僕がこのように接するのは失礼ですね。

 食事もしっかり食べれているようですし、体は鍛えられ心もやがて追いついていく。 

 アンセル様は、恐怖に打ち勝てるでしょう。

 僕もさらに魔術書を読んで、多くの知識を身につけるようにしましょう。

 本は、素晴らしい知識を与えてくれます。どれほど生きていようが、知らないことが山ほどあります。

 特に、この閉ざされたダンジョンでは」

 マーティスはそう言うと、テーブルの上に置いていた魔術書に触れた。ページを何枚かめくると、紙のいい香りがした。


 アンセルは魔術書から、壁一面の本棚に目を向けた。

 そこには様々な本があったが、ぐるりと見渡すうちに「ある疑問」が浮かんだのだった。


「なぁ…マーティス。

 この書庫って…どうやって出来てるんだろう。

 俺はずっと…マーティスの魔術で作られているのだと思ってたけど…そうじゃないのかな。

 ずっと同じ本ばかりじゃない。新しい本もあって、本が入れ替わっているような気がする」


「それは、いずれお話しましょう。

 今は、その時ではありません。

 それに僕は18階層主、それを話せるのは、話してもいいのは僕ではないのですから」

 マーティスはそう言うと、急に姿勢を正してアンセルの方に向き直った。


「ここにいらっしゃった理由も、本当は何を聞きたいのかも分かっています。

 しかし、僕には答えられません。

 これは、非常に複雑な問題なのです。時を間違えれば、アンセル様は、その優しさの為にさらに蝕まれます。

 真実は残酷ですから。

 アンセル様に無理をさせているのは、僕たちも分かっています。その時が、来るからです」

 マーティスはそう言うと、険しい瞳で水晶玉を見つめた。


「美しくあれば、このような事にはならずにすんだのでしょう。

 それは、願いでもありました。

 あの時に別の選択をしていれば、このような事は決して起こらなかった。

 けれど、誰にも責められません。

 どうして外の世界は、いつまでも狂った歯車が止められぬほど愚かであり続けるのでしょうか。

 どうして、ここまで苦しめるのか…」

 マーティスは怒りで体をワナワナと震えさせながら言った。


「今日、ミノス様からお話があると思います。

 アンセル様は強くなられたので、もう大丈夫でしょう。

 アンセル様はとても逞しくなられました。本当に、立派になられました。

 アンセル様は立派になられたのに…僕はアンセル様を支えたいのに、結局は見ていることしか出来ない。

 両腕の苦しみも痛みも、少ししか和らげられない。

 僕の魔術では決して届かない。全く敵わない。

 けれど、もしもの時には、この生命を捧げましょう。あの時のように」

 マーティスはそう言うと、アンセルの手を握った。


「誰がアンセル様の苦しみを分かってあげられるのでしょうか。辛い重荷を背負わせてしまいました。

 本当に申し訳ございません。

 アンセル様に乗り越えていただくしかないのです。 

 僕にいえることは…クリスタルの封印は…まだ解かれてはいない。かつての魔王がもたらす絶望は…まだ食い止められる。

 もう、これ以上はお答え出来ません。

 どうかお許し下さい」

 マーティスは沈痛な表情でそう言うと、アンセルに深々と頭を下げた。


「やめてくれ、マーティス!そんな事はしないでくれ!

 いつものマーティスでいてくれ…」

 と、アンセルは言った。

 マーティスのその姿を見ていると、アンセルは心が締め付けられるような思いがしたのだった。




 

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