第135話 やっぱりぃ!?
「おお、徳治郎、いや徳士よ、本当に良くやってくれた。ワシもカサンドラちゃんも、ハラハラしながら見ておったぞ。」
と大神様。
「ホント、結構大変だったわね。まさかあんなに堅いとは、予想外だったわ。」
とカサンドラ様。
「どうも。いや本当に結構ギリギリでしたよ。時間はまあ、正攻法で行ってギリギリ稼働か微妙だし、あれレベル90じゃ足り無かったんじゃないですかね?
しかも7名中6名居ても苦戦しましたし。刀はボキボキ折れるし、最悪でしたよ。
最後はもう刀の予備が少なくなったから、半分はヤケですよ。ヤケ。」
と俺はぼやきで応える。
「何か、あれだけやって、刀ボキボキ折っちゃって、大損っすよ。
まあそれは兎も角、何かこうご褒美的な物はあったりしませんか?
そりゃあ、神器の刀とかは言いませんけど、今後こんな事が無いとも限らないですし、頼りになる武器が欲しいので、例えばですが、ドリュー師匠と城島君に神器の刀が打てる程の知識や技を与えるとか、欲しいですね。
それに、俺らももっと力を付けないといけないので、引き続きブレスレットの経験値X倍シリーズを使わせて貰えるとか、何かボーナス的な物が欲しいんですが、ダメですかねぇ?」
と上目遣いでお願いしてみた。
すると、大神様は苦笑いしつつ、
「うぅ……確かにのぉ。今回もかなりギリギリじゃったからな。言わんとする事は判るんじゃが、知識か。 うむぅ。」
と思案している。
「ウフフ、面白いですわねぇ。流石は徳治郎ですねぇ。自分に直接物を強請るのではなく、他の者へそれを作る知識と腕ですか。
面白いわぁ~。良いじゃないですか、大神様。
今回のだって、本当に彼らの機転がなければ、地球は滅んでましたよ?
次回これと同じ様な事が起こらないとも限らないですし、自分らで努力すると言っているのですから、神としてはこんなに嬉しい事は無いじゃないですか?」
と大笑いしながら、カサンドラ様が援護射撃をしてくれた。
「そうじゃの。判ったわい。引き続き、ブレスレットの方は、経験値の増額を認めよう。但し倍率は2倍までじゃ。
あと、ドリューと城島東次には、神話級を超える神器に近い物が作れる素材や製法の知識、それに鍛冶と錬金の技を授けよう。
徳士よ、しかしそなたは、その知識と技、要らんのか?」
と大神様が聞いて来た。
「ありがとうございます。 まあ『知識と技』が欲しく無いと言えば嘘になりますが、多くを望むとバチが当たりそうですし。」
と俺が苦笑いすると、
「フォホッホッホ」
と大神様が笑ってた。
「そうか、じゃあ、少し考えておこうかの。」
と言っていた。 えーー? そんな事言われると、期待しちゃいますよ?
「あ、そうそう、大事な事を聞き忘れる所でした。
聞こうと思ったのは、あの塔の装置の事です。25階層にあったあの装置ですが、下手に解体すると暴走したり、ヤバい事が起きそうで怖いんですが、あれのエネルギー源とかそのままで良いんですかね?
そりゃあ、素材としては回収したいんですが、素材を採取するにしても、爆発されると困るし、どうした物かと。」
と俺が聞くと、カサンドラ様が苦い顔をして教えてくれた。
「ええ、その通りです。私もあの時は焦っていて、そこまで気が回らなかったんですが、あれはよくよく考えて、慎重にバラす必要がありますね。
更に一応は停止していますが、何かの拍子に再稼働したり、最悪劣化等で暴発したりもあり得ます。
何時爆発するか判らない、時限爆弾みたいな物ですからね。
確か、あそこから、更に10階層程したに、エネルギー源と回収した魔力タンクがあった筈です。
これをまずは安全に切り離した後に、25階層の物を分解しないと、拙い事になります。」
と。
「わぁ。危なっ。思い止まって良かった。」
と思わず冷や汗を拭う俺。
「そのエネルギー源と魔力タンクの安全な切り離しに関しては後日お知らせしますので、それまでは、25階層の装置とエネルギー源と魔力タンクには触れない様にしておいて下さいね。」
と言う事だった。
そして雑談をした後、夢から消えて行ったのだった。
いやぁ、朝から良い土産話が出来たなぁ~ と喜びながら目を覚ましたのだった。
◇◇◇◇
「~と言う事だった。」
と俺は例の塔の25階層で待ち合わせした全員を前に昨夜の内容を説明する。
すると、真っ先に兄上が、
「ナイス! 徳士!! それ良いね!」
と悪い笑みを浮かべながら親指を立てる。
「うむ、悪くない方向よのぉ。」
と清兄ぃも俺の意図を読み取ってニヤリと笑う。
しかし、当の本人の城島君は、納得いかないらしく、
「えーー!? 何で俺なんですか? それならあつしさんが適任じゃないですか? 何でですか!?」
と俺に猛抗議してきた。
「え? だって俺に集中しちゃうと、俺が大変じゃん?」
と俺が澄ました顔で返事すると、ガーンって言う顔で跪いていた。
「まあ、実際の話、確かに俺も欲しいと言えば欲しいんだが、そうすると、完全にオーバーワークになるだろ?
適材適所ってあるじゃないか。前にも言ったが、お前の才能はかなり凄いと思うんだよ。
だから、それなら、少しでも若い方が良いだろ?
俺が制作だけに熱中すると、いざと言う時に、自分で言うのもおこがましいが、最前線が手薄になるんだよ。」
と言うと、まあ渋々納得はしてくれた。
「俺なんかが、そんな凄いご褒美貰うとか、気が引けます。でもありがとうございます。」と。
「ハハハ。まあご褒美ではあると思うけど、お前これから大変だからな? 頑張れよ!」
と肩を叩くと、「はぁ~~」と深く大きなため息をついていた。
「しかし、ブレスレットの経験値倍増を勝ち取ったのは、素晴らしのぉ。」
と嬉し気な清兄ぃと叔父上。
「だろ? 俺もダメ元で言ってみたんだけど、カサンドラ様が後押ししてくれたんで、すんなりと通った。」
と言いながら、約1名を除き、みんなで大笑いしていた。
25階層に残された装置と下層のエネルギー源と魔力タンクについての注意事項は説明してあるので、安心して26階層へと進む。
初めて見る26階層だが、他の階層と特には変化が無いが、比較的部屋数が多かった。
それに、この塔で働いていたと思われる人の死体も多く残っていた。
一応後で埋葬する為、全員回収している。
各部屋では、多くの資料や研究機材、工作道具等があったので、それらも回収している。
しかし、倉庫らしい部屋は見当たらなかった。
5階層下った辺りで、昼食を取り、また探索を再開した。
そして、夕方近くにやっと問題の35階層へと到達したのだった。
「おお、この階層じゃな。」と清兄ぃが呟く。
この階層は作りが他と違い、吹き抜けで円筒状の中央に釣られた廊下と言うか通路があり、その両側に魔力タンクと魔力炉?の様な丸い球状の頑丈そうな物体があった。
「この階は後回しだな。」
と言って、そのままキョロキョロと辺りを見回しつつ通過してた。
通路の左右にある球状の物体には、操作パネルの様な物があり、見てみたい気もしたが、我慢我慢。
35階層は吹き抜けで高さがあるので、36階層へ行く階段は、結構何階も折り返す程に長かった。
そして36階層に辿り着くと、明らかに倉庫っぽい大きなシャッター付きの部屋が沢山あった。
「やっとお宝の部屋に到着かな?」
と俺達は微笑むのだった。
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