第37話 期日まで2ヵ月
作戦決行の翌日、3教科の試験を終えて、自宅へと戻って来ると、巷では飛行機で大量に移動していた★国工作員を一斉逮捕したニュースで盛り上がっていた。
しかし、情報統制が行き届いているのか、突如広場に現れた漁船や原潜等の話はまだ流れて居ない。
俺の作った魔道具からの映像には、慌てる★国の兵士や、怒りより、恐怖に顔を歪め、ブルブル震える主席の様子が映し出されていた。
やはり、何を遣られたのかが理解出来ない現象が起きると、怖いらしい。
更に、怒りにまかせ、甲板にぶっ刺して置いた槍が、良い仕事をしてくれたらしい。
まあ、この槍にはメッセージは彫り込んでなかったんだけどね。
だが、既にこの世界で周知されている、独特の形のカサンドラス産の槍なので、槍の意図は正確に伝わったらしい。
これで、★国も数年は大人しいだろう。
期末試験が終わる頃、広場に横たわる原潜等の映像が、世界を賑わした。
世界中の人々の間では、色々な憶測が飛び交って居たが、一部が冗談半分で「『チーム佐野助』の仕業だったりして?」と言っていたが、
「流石に、それは無いだろ。」
と言うのが大半の意見であった。
ちなみに、南京大虐殺の話に戻るが、『チーム佐野助』のサイトで発信する内容を読み、資料を確認し、世界の認識が変わった。
そして、事後法で一方的に捌かれた、東京裁判の異常性が周知され、批判が高まったのだった。
また、一方的な捏造資料が暴かれた★国や、強制の無かった高給売春婦の捏造がバレた△国系の移民等は発狂しつつも沈黙した。
日本国内でも、今までは強制連行された子孫の末裔等、口々にデマカセを公言していた者は、居たたまれずに日本から逃げたのだった。
「ふぅ~。何とか色々間に合ったね。」
と胸を撫で下ろす俺と兄上は、一連の作戦の完了と成功を祝うのであった。
◇◇◇◇
作戦完了から、1週間が過ぎた。
世間は★国の広場に降って湧いた原潜等のオブジェで賑わっているが、未だに★国からの正式な発表も説明も無かった。
しかし、『チーム佐野助』のサイトに、日本に対する作戦行動の全容(……しかも、★国主席が直接指示している様子まで)がアップされると、世界は一斉に沸いた。
流石に★国からは、「捏造資料だ!」との反論があったが、誰も信じなかった。
更に、国連を舞台にした★国の様々な悪行が暴露され、ドンドンと立場を失って行き、そもそも国連を悪用する様な国が、人権を無視して侵略を繰り返す国が、常任理事国で良いのか? や、そもそも常任理事国って制度要らないんじゃないか? と言う流れが起きていた。
日本政府は、腐敗した現在の国連の浄化を提案し、悪用される事が無い様な仕組みを提案した。
「浄化出来ない無駄な組織に資金は出さない」
とまで言い切った。
うん、素晴らしいね!! 筋書き通り。 是非とも頑張って交渉して欲しい。
さて、話は変わり、睡眠不足で挑んだ期末試験だが、俺はいつもの様に最高得点をマークし、学年トップをキープした。
俺がテスト勉強を教えた面々は、ちゃんとこれまでよりも良い点数を取った様で、嬉し気にしていた。
平均点で15点以上上がった、さっちゃんは、
「ねえ、アッ君、お礼に今度遊びに行こうよ! もうすぐ夏休みだし。 ね?
私、今年は水着新調したんだよーー!」
と頻りと誘って来た。
「そうか、もう夏休みか。じゃあ、みんな誘って、訓練も兼ねて、海にでもブートキャンプに行くか?」
と俺が返すと、何故か、さっちゃんからブーイングが出た。
どうやら、2人だけで遊びに行きたかったらしい。
幼稚園からの流れで、子供子供と思っていた、さっちゃんだが、どうやらお年頃に入って居るようだ。マセてるな。
しかし、大神様の予言した期日まで、あと2ヵ月を切って居る現在、出来れば少しでも周囲の人を底上げして遣りたかったのだがなぁ……。
「なあ、徳士、爺ちゃん所に帰るのは、お前頼っちゃって良いんだよな?」
と父上が聞いて来た。
「ああ、大丈夫だよ! もう何回も行ってるから、手慣れたもんだよ。」
「そうか! 良かった。結構交通費ってデカいから、助かるぜ。
本当に、魔法って素晴らしいよな!」
と喜んでいた。
一連の作戦行動で中断していた月ダンジョンの攻略も再開した。
既に大神様とカサンドラ様にお願いし、俺が随行しなくても各々の意思で月ダンジョンに行ける様にして貰ったので、清兄ぃ達は、さらにレベルを上げているらしい。
父上、母上、兄上にもせめてレベル50ぐらいまでは、頑張って上げて貰いたいと思っている。
作戦行動を共にしていた為、月ダンジョンを中断中だった兄上だが、元々が努力家で、自宅待機中でも魔法の訓練等を行っていた。
特に今回の作戦で、時空間魔法の優位性を実感し、元々持ってなかった魔法属性を増やす為の訓練をしていたらしい。
その甲斐あって、適正属性を増やす事に成功した。
我が家2人目の時空間魔法持ちの誕生だ。
とは言っても、まだ初級なので、小さい時空間の淀みを作ったり、時空間の亀裂を作る程度ではあるが、兄上曰く、
「夏休み中に、Ex級まで上げて、旅行してやる!!」
と意気込んでいた。
そして、可愛い妹の双葉だが、実に賢く、そして魔法の素養を持っていた。
母上の教えもあって、何と、身体強化までを使いこなす様に育っている。
本当は月ダンジョンにも連れて行きたい所なのだが、幼い妹に、残虐なシーンを見せる事になるのは……と家族全員で頭を抱えている訳だ。
「でもね、魔物が世界に溢れる様になると、残虐だ、何だって、言ってられなくなるわよね?
やっぱり、最悪の事態になっても、生きてられるだけの最低限度のレベルにはしてあげたい。」
との母上の要望で、結局4歳前にして月ダンジョンに連れて行く事になった。
一応、パーティー登録をしているので、直接手を下さなくても、寄生によるパワーレベリングは可能である。
そして、月ダンジョンの1/6重力の間で、一頻りはしゃいだ双葉を連れて、第1階層へと潜ったのだった。
「しゅらいむさん(スライムさん)、可愛いでしゅ。」
と目をキラキラさせている我が家の天使を前に、ちょっと後ろめたい気持ちを抱きつつ、第1階層のスライムを仕留めて行く。
光の粒子となって消えて行くスライムを見て、双葉は、ちょっと涙目になっていた。
許せ、妹よ!
第2階層では、
「あーー!うしゃぎしゃん(ウサギさん)だーー!!」
とまた目をキラキラさせていたが、ホーンラビットが、角を全面に突っ込んで来て、可愛いのに怖い魔物である事を知り、ショックを受けていた。
「うしゃぎしゃん(ウサギさん)……怖いでしゅ。」
そして、第3階層に行くまでに、双葉はベレル5に上がり、今夜の月ダンジョンは終わりにしたのだった。
パワーレベリングだけだと、見せかけだけの筋肉同様、実力は付かない。
魔法等の熟練度は上がらないので、いくらステータス値が上がっても、魔物との実戦では余り役に立たない。
なので、自宅で少しずつ魔法等を練習させて、ユックリ実戦させて行く予定である。
翌朝の双葉は、朝からテンションが高く、はしゃいで居た。
この後、母上と水魔法の練習をする事になっているからだ。
俺と兄上は、終業式の為、学校へと向かったのだった。
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