第21話 褒めて伸ばして準備完了

 その夜、帰って来た父上にも大神様から聞いた事を説明し、魔力感知から教える事となったが、これが大変に苦労した。

 流石に日中は仕事をして、疲れて帰って来た父上に無理もさせられないので、1時間で切り上げる事にしたのだが、父上以外が全員習得している事で、父上が拗ねてしまい、母上が慰めていた。


「父上、元々魔力感知は最初だけに、難しいのです。

 まあ、個人差もありますが、一般的には、訓練を始めてから1ヵ月とか掛かる人も居るので、気落ちしないで下さい。

 普段はお仕事もありますから、徐々に進めましょう。」

 と俺が慰めたのだが、


「そ、そうだな……。うん。暇を見てちょくちょくやるよ。」

 と元気無く言っていた。


 魔力感知だが、カサンドラスでも、習得までに掛かる時間は、個人差が大きく、一般的には、元から持つ魔力量が多い人は、習得が早かった。

 更に、大体の場合、鋭敏な感覚がある子供の頃に訓練する。

 大人になってからの習得は、年を取れば取る程、難しくなると言われていた。


 俺の見立てでは、父上の魔力量自体、家族の中では一番少ないのだが、一般的には多い方に分類されると思われる。


「しかし、あれだな。

 その魔物と言うのが出現すると、下手したらこれまで通りの文明的な生活は難しいかもしれないな。」

 と父上が呟いていた。


「確かに。治安も確実に悪くなると思います。

 下手に自暴自棄になった暴徒が、街に出回る可能性もありますね。

 だからこそ、今の内に自衛手段を作っておく必要があるのです。」


「だな。俺も魔力感知が出来る様に頑張ってみるよ。」

 と気合いを入れた顔に変わったので、安心したのだった。



 ◇◇◇◇



 それから、毎晩父上と特訓をした結果、何と2週間で魔力感知を物にした。


「流石です、父上! 流石は佐々木家の血筋!」

 と褒めると、照れていた。

 それからの父上の進歩は早く、その3日後には身体強化までを習得し、4日後には、始めての魔法発動まで出来る様になったのだった。

 母上曰く、父上は『褒めて伸ばすタイプ』だそうだ。

 母上は、俺の知らない所で、日夜褒めまくり、時々くじけそうになる父上を奮い起こさせたらしい。

 流石は、母上である。

 更に、魔力感知の習得時には凄く褒めまくったようだった。


 父上のステータスは、下記の通りである。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:佐々木誠二

 年齢:32歳

 種別:人族  Lv:1

 職業:---

 状態:正常

 HP:42/48

 MP:18/20

 筋力:53

 俊敏:42

 頭脳:81

 運 :55

 武術:佐々木流斬刀術

 魔法:火 初級

    風 ---

    闇 ---

 ギフト:ステータス

 スキル:魔力感知

     魔力操作

     身体強化

 称号:

 加護:

    

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その後、俺は、家族の各適正魔法の習得を指導しつつ、夜中は月ダンジョンでのレベルアップに勤しんだ。

 尤も、階層の進み具合は、それ程無茶をしていないが、11階層まで進み、レベルも2桁台に突入した。


 そして、現在の俺のステータスは、

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:佐々木徳士(佐々木徳治郎)

 年齢:6歳(32歳)

 種別:人族  Lv:12

 職業:---(勇者※)

 状態:正常

 HP:181/181(1261※)

 MP:321/321(2085※)

 筋力:151(1527※)

 俊敏:141(1319※)

 頭脳:305(2368※)

 運 :198(1008※)

 武術:佐々木流斬刀術 アンドレフ体術

 魔法:火 中級(Ex級※)

    水 中級(Ex級※)

    風 中級(Ex級※)

    土 中級(Ex級※)

    光 中級(Ex級※)

    闇 中級(Ex級※)

    聖 中級(Ex級※)

    空 中級(Ex級※)

 ギフト:言語理解

     アイテムボックス

     経験値倍増

     魔力回復倍増

     体力回復倍増

     物理攻撃軽減※

     魔法攻撃軽減※

     ワールドライブラリ※

     マッピング

 スキル:鑑定※

     隠密

     気配感知

     魔力感知

     魔力操作

     身体強化

     並列処理※

     思考加速※

     錬金※

     鍛冶※

     テイム※

 称号:神風の勇者

    異世界の神に愛されし者

    偉業を達成した者

 加護:カサンドラス神の加護※

    大神の加護

    英霊の加護

 備考: ※ 制限中

    ( )隠匿

    

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 とまあ、レベル10を境に、幾つかの制限が解放され、ステータスの各値以上に戦闘が楽になった。

 各属性の魔法は全てが中級となり、更に魔力回復倍増、体力回復倍増が解放された事で、体力の無いこの子供の身体であっても、継続した探索が可能となったのだった。

 また、安全面で言うと、隠密や気配感知が利用可能になった事も大きい。


 これで、そろそろ、家族を月ダンジョンに連れて行く下準備が揃ったと思う。


 まあ、問題があるとしたら、魔物とは言え、生きた物を殺す事になるので、そこら辺の精神面がどうなるか……と言った事もある。

 特に兄上の事は心配である。


 カサンドラスでは、魔物を討伐するのは当たり前で、肉を食うには生物を殺す必要があるのは、子供でも知っていて、そこに躊躇が無かった。

 だが、現代の日本では、直接鶏を絞める事も無く、肉屋やスーパーで買う。

 つまり、生き物を頂くと言うプロセスが簡略化されている為、実際にそれを目の当たりにして、大丈夫なのか?と言う事だ。


 母上は、祖母の家で、普通に鶏を絞めたりして、食べていたらしいので、大丈夫らしい。

 あ、父上? 父上の事は心配していない。

 いや、だって父上は、清兄ぃの孫だもん。

 師範代ではないけど、訓練過程で熊や猪ぐらいとは対戦しているだろうしね。


 と言う事で、今週の週末にでも全員を月ダンジョンにご招待しようと思っている。

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