卵焼きにしたときの、その黄色い部分ってのはさ、白身を含んだ黄色い物体だ。
な? 黄身じゃあねえんだよ。わかるかい?
純粋な黄身を楽しむには目玉焼きしかねえんだよ。
あ? ゆで卵はどうだって?
まあるくなっちゃうだろうがよ。
いいか? あのまあるい状態で、サンドウィッチに挟んだらどうなるか、考えて見ろ。
「え? なにこのポッコリ膨らんだ部分。食べづら。食べづらぁぁあ!」
ってなるだろうが!
はあ!? 切ればいいだって!? 潰せばいいだって!?
じゃあなんのために殻ごと茹でたんだよ!? あのプロポーションを維持するためだろうが!
……っと、話が逸れたな。
つまりさ、なにを言いたいかって言うと、まあ、こういうことさ。
——目玉焼き最高っ!!
それ以上も以下もねえな。
お前レビューでなに言ってんだって顔してんな?
作品の中身を見れば解る。解るんだよ。
僕は火を使える。
私は水を操れる。
そんな華々しい世界だけで、世界は構成されていない。
実生活もかっこいいスターのような矢面で見栄えの良い能力で活躍する人もいれば、それらを支えるような屋台骨のような能力だってある。
皆持つ能力にはもちろん性差かつ千差万別あって間違いない。
生活しているうえで一つの能力だけでは生活できない。
仕事をしながら身についてしまったこと、息をするようにできるようになったこと。
そして。
どうしてできるかはわからないけど使い道に困ること。
自分の能力に自分で嫌気がさすというのはすごく等身大の悩みで。
そしてそれを評価する他人の存在にひどくむずがゆくなって。
そんな空気感、そんな生活の一部、そんな世界を切り取った作品です。
貴方もきっと何かの能力者だと。
読み終わった後考えてみるといいかもしれません。
あ、そうそう。
私は逆さから文字が読めます。
ファミレスで対面に座った同席者に重宝される能力者です。