第11話 神代冬人と愉快な仲間たち

 ライムトークで秋月と連絡先の交換を済ませると、今度は血相を変えた大介が詰め寄ってきた。


「おいおいおいおい、なんだよ冬人、秋月と仲良さそうに何話してたんだよ⁉︎ ライムIDの交換もしてただろ⁉︎ クラスの連中から注目浴びてたぞ」


 大介の奴、よく観察してるな……女子が絡むと本当に面倒臭い奴だな。


「あ、ああ……ライムIDの連絡先を交換したけど、そんなに目立ってた?」


「神代と秋月のやりとりは、確かにクラス中の注目を浴びてた事は間違い無いな」


 大介の後ろで、事の成り行きを見守っていた誠士が大介の代わりに答えた。


「目立ってたというか羨望……嫉妬? そんな感じの眼差し? あーちくしょう! 俺だってまだ交換してないんだぞ! 羨ましいぞ、冬人! それにしても、いつの間に秋月と仲良くなったんだよ?」


 大介の奴、これだけ女好きなのに秋月とは連絡先交換してないんだな。真先に交換してるかと思ってた。


「あー、ちょっとしたキッカケがあってだな……」


「何だよキッカケって⁉︎ ハッキリ教えろ! いや、教えてください!」


 ハッキリと言えないので適当に誤魔化そうと思ったが、大介が食い下がってくるので鬱陶しい事この上ない。


「誠士! 大介をどうにかしてくれ!」


 困った時の誠士頼り。誠士なら上手く収めてくれるだろう。


「ライムIDなら俺も秋月と交換してるぞ。それがどうかしたか?」


 さすが誠士……自分に矛先を向ける事で大介の気を俺から逸らすとは、素晴らしい自己犠牲の精神! 誠士のヘイトを稼ぐ作戦は成功し、大介の標的は誠士へと移った。


「なん……だと……?」


 誠士が友火とライムIDの交換済みである事に大介は衝撃を受けたようだ。往年の国民的人気マンガのネタとなってるセリフを、素で言ってる奴は初めて見たかも。


「誠士……いつの間に……誠実が売りのお前まで、女子とライムIDの交換なんて不埒な事をしてたとは……」


「去年の文化祭で秋月がクラスの実行委員だった時に、クラス委員の俺と連携を取りやすい様に交換したんだが、不埒とは失礼だな」


「はっ⁉︎ その手があったか! だが……もうすぐ春休みで二年になってしまうと、同じクラスになれるかどうか分からんし……失敗した! 俺も委員やればよかった!」

 

 相変わらず女子の事となると熱くなる大介が鬱陶しい事この上ない。


「下心丸出しで不埒なのは大介、お前の方じゃないか。つーか普通に秋月に聞きに行けよ」


「いや……それは恥ずかしいし……ハードルが高い……」


「大介……お前、結構ヘタレだよな。見た目はチャラいのに」

 

 コイツ、本当に見た目だけだなと呆れてると、イケメンメガネ男子こと誠士がフォローしてきた。


「そう言うな神代。柳楽やぎらは純粋なんだよ。見た目は関係無い」


「そうだ、俺は純粋に女子と仲良くしたいだけだ! 特に秋月! クラスの女子の中でも圧倒的なバスト! あれはたまらんよなあ」


 大介も黙ってれば、長身だし雰囲気イケメンくらいにはなれそうなんだが……。


「まあ、柳楽は放っておけ。ああなったら暫くは止まらん。そのうち興奮も収まるだろう」


 誠士が云うように、大介が見た目通りのチャラくて軽薄な奴では無く、良い奴だって事は勿論知ってるし、チャラくしてるのにも理由がある事は知っている。ロクな理由じゃ無い事は本人の今の発言で分かるだろうけど。


 こうして秋月とのライムID交換の件は有耶無耶にして事なきを得た。

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