第2話 秋月友火の人に言えない趣味

「あー! いいアイデアが思い浮かばない!」


 私は趣味で書いている小説の最新話を執筆中で、大事なシーンを書いている。でも、さっきから筆が全く進まない。頭の中には色々なシーンが浮かび上がるが、それを文字に起こすのは本当に難しい。


「なんとか夕飯までに最新話を投稿したいな……」


 さっきから文字を打っては消してをパソコンで繰り返している。


 ――あ! そうだ……この前、まとめサイトで見たアレ面白かったな……ちょっとアイデアをパク……お借りしようかな。オマージュよオマージュ。


 私は以前ネットで見つけた面白いネタを思い出した。


 四天王と呼ばれる敵の一人が、主人公の人間に戦いで破れるが、実は四天王の中で最弱である事から 『一番弱い奴を倒したからって調子に乗ってんじゃないよ!』的な使われ方をしている。

 これを続けていけば『四天王を倒したくらいで調子に乗るな。我ら死天王こそ魔王様の直属。四天王など下っ端に過ぎんわ!」という具合に、永遠に話を続けていく事が出来る最高のネタなのだ。


「さっさと書いてアップしようっと。更新間隔が開いちゃうとPV(閲覧数)が減っちゃうからね」



~ 一時間後 ~



『グアアアア!』

『奴がやられたようだな……』

『フフフ……奴は我ら四天王の中でも最弱……』

『人間如きにやられるとは四天王のツラ汚しよ……』


「やっと書き終わった~。誤字、脱字のチェックも済んだし後は投稿すれば更新終了ね」


 連載している小説の最新話を書き終え、ふぅと、ひと息吐きチェアにもたれ掛かったと同時にドアをノックする音が聞こえた。


「はーい」


 右手に持ったお玉を振りながら、お母さんが部屋に入ってきた。


「友火、夕飯の支度が出来たわよ」


「うん、パソコン片付けたらすぐ行く」


「冷めちゃうから早く来なさいよ」


「はーい」


 慌てて最新話を投稿し、ひと息吐く。


「ふぅ……なんとか夕飯までに更新間に合った。感想とかもらえるといいなぁ」


 連載している小説にブックマークが増える事に期待しノートパソコンを閉じる。

 ブックマーク通称ブクマ。これが増えると読んで貰えている実感があり筆者が喜び、執筆のモチベーションになる。

 感想、レビューは読者が小説に何かしら感じるモノが無ければ書かれない。だから感想やレビューをもらえると、その人の為だけにでも連載を続けようとしてしまう甘い果実。

 ファンアート……小説のキャラクター等をイラストにして描いてもらえるプレゼント。絵が描けないと出来ない事なので敷居がかなり高い。


 私も含めて小説を書いてる人は、何かしら読者からリアクションを求めていると思う。感想は貰ったことがあるが、レビュー、ファンアートは無い。


「ファンアート欲しいなぁ……。貰えるように次の話も頑張ろう!」


 私はそんな決意を胸に夕食の待つキッチンに向かった。

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