第10話 ひとつだけ。

わたしには

なんでも1つだった


2つは重くて持てなかった


「恋」と「愛」も


どちらか1つしか持てなくて

いつも持っていたのは

「恋」だった


「愛」って何だか苦しくて

「愛」って何だか合わない靴を履いている感じ


わたしには

なんでも1つだった


「好き」は言えても

「愛してる」は言えない


「愛」って何だか不相応な気がして

「愛」って何だか歪になってしまう


だから、

君の頭を撫でることで

許してくれる?


君を抱きしめることで

許してくれる?


伝えられないことは

温度に任せてしまう

そんなわたしを許してくれるかな?





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