日曜日「月〜金キャラミックス小話」
第1話「苦悩と幸福……優花×裕美」
「あ、裕美さんお疲れ様です」
昼休み、食堂で昼食をとっていると、珍しい相手に声をかけられる。
「優花さんが社食なんて、珍しい」
別の部署の子なので詳しいことは知らないが、仲が良くそれなりに話す中、食堂で会うことは少ない。隣の席に座らせ、一緒に昼食をとるようにする。
「まあ、弁当を作る暇がなかったので。同居人が寝坊した上に仕事したくないとか駄々こねて……まあ、嫌でもないんですけど」
嫌でもないという言葉に嘘はないだろう。苦労話の割には笑顔が垣間見える。弁当は、二人分作っているのだろうか。
ああ、澪ちゃんに頼んだら作ってくれるだろうか。同じ部署なのになかなか話してくれないし、弁当だから社食でも会わない。そういうことが、少し寂しく思うのだ。
「私も手作り弁当を作って欲しいものだわ」
ついついそんな願望を口に出してしまう。叶えてくれるというか、叶えて欲しい人の前でもなしに、どうしてそういう事をこぼしてしまうのだろうか。反省反省。
「うーん、作るのって結構めんどくさくて、サボりたくなりますからね。作ってあげる所からしてみては?」
案外日常的な優花の一面を知りながら、教訓として生かせる話を聞く。なるほど、欲しがってばかりではダメだということだ。今日の帰りにでも何か買ってみるか。
「ありがとう、優花さん。お仕事頑張って」
感謝とともに、席を立つ。さあ、午後の仕事だ。
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