第29話 【ゴールド】カード開放

 今日は色々と大変な一日だった。


 ホーンラビット狩りの最終日で、60匹のホーンラビットを狩った。

 ニューヨークファミリーのケイン達に、からまれハッタリで回避。

 しかし、その後、ギルドで襲撃をされた。

 Dランク冒険者の特典で、ジョブをシーフにした。

 そして、俺とセレーネは、マジックバッグの中の荷物を担いで、ヒイヒイ言いながら家に帰って来た。


 色々あり過ぎだろう……。

 俺は部屋で一人になって、ボーっと今日起こった事を思い出していた。


 ジュリさんから、地獄経由の転生者の悪口を聞いたのは、かなりショックだったな。

 だが、寿命の伸ばし方を知ったのは、プラス材料と考えよう。


 寿命を延ばす為には、命を奪う……。

 最も効率的なのは、どうやら人間の命を奪う事らしい。


 じゃあ、野盗狩りでもやるか?

 それは正直、気が進まない。

 相手が悪党とは言え、人に手を下すのは抵抗がある。


 ニューヨークファミリーのケインは?

 俺をいきなり殴り、重症を負わせた。

 報復しても咎められないだろう。


 だが、さすがに……。

 ギルドでは怒り爆発で、ケインに殺意を覚えたけれど……。

 ケインの命を躊躇ちゅうちょなく奪えるかと聞かれると、うーん、正直無理そうだ。 


 するとやはり、魔物を倒していくのが、寿命伸ばす方法として俺に一番合っていそうだ。


 師匠からもらったコルセアのブルースチールの剣、ボルツのオーガの鎧と装備は揃って来た。

 スキルもかなり増えた。

 パーティーメンバーもセレーネが入った。


 ルドルのダンジョンを探索する条件はそろって来たぞ。

 よしよし!


「ステータス画面でも見ますか……」


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 ◆基本ステータス◆


 名前:ヒロト

 年齢:12才

 性別:男

 種族:人族

 ジョブ:シーフ new!


 LV: 1

 HP: 12.05/12.05

 MP: -

 パワー:0.77

 持久力:1.12

 素早さ:0.1 (0.13)+30%↑by job

 魔力: -

 知力: 70

 器用: -


 ◆スキル◆

【鑑定(上級)】【マッピング】

【剣術(初級)】【罠作成】

【忍び足】【ドロップ率上昇(小)】

【夜目】【パーティー編成】

【宝箱探知】new!【隠し部屋探知】new!


 ◆装備◆

 なし


 ◆アイテム◆

 なし


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「……。ま、レベルが上がらないのは、気長にやろう。それから、裏画面は……」


 裏スキル【カード】でゲットしたステータスカード3日分は、まだ消化していない。

 移動中1、2階で露払いしながら進んだので、かなりの枚数ステータスカードが貯まっているはずだ。


 ステータス画面の端を、指で軽く押す。

 画面が回転して、裏画面が現れた。


「んん!? 何だこれ!?」


 俺は裏画面を見て驚いた!



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 ◆裏スキル◆

【ゴールド】new! 【カード】


 ◆ステータスカード◆

【パワー上昇(微量)】×35

【持久力上昇(微量)】×40

【素早さ上昇(微量)】×180


 ◆ゴールドガチャ・カード◆


 ◆シルバーガチャカード◆

【前世記憶】【頭脳明晰(中級)】【絶倫(中級)】


 ◆ブロンズガチャ・カード◆

【ややイケメン】【幸運(小)】


 ◆寿命◆

 1年1日 new!


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 裏スキルに【ゴールド】が追加されて、寿命0年だったのが、1年1日になっている。

 何がきっかけかわからないが、ゴールドガチャカード【ゴールド】が解放され、寿命も解放された……、という事だろう。


 しかし、この裏スキルの【ゴールド】は、どんなスキルなんだ?

 今日は、特に自分に変化を感じなかったが……。

 言葉にしてみるか……。


「ゴールド!」


 何も起きない……。

 じゃあ、押してみるか?

 俺は、【ゴールド】表示を押してみた。


 それは目の前に現れた。

 俺はそれを見て、絞り出すようにつぶやいた。


「これかよ……」


 地獄で見たガチャが俺の目の前にあった。

 ゴールド、シルバー、ブロンズ、3つのガチャが並んでいる。


 俺は自分の部屋に現れたガチャを見て、しばらく言葉がなかった。

 ガチャは、自動販売機位のサイズで、上の方は天井を突き抜けていて見えない。


 この大きなガチャが、どうやって一瞬で俺の部屋に現れた?

 これは拡張現実みたいな物だろうか?

 俺の脳に直接働きかけて、俺だけに見えているのか?


 俺はガチャに触ってみた。

 冷たい金属の感触がした。

 どうやらガチャが、ここに存在しているらしい。

 ガチャは、禍々しい雰囲気を醸し出している。


「クフ、クフフフ……」


 突然、部屋の隅の方から、笑い声が聞こえた。

 この声は……。

 俺は記憶に残るその笑い声にハッとした。


 笑い声のする方を向くと、そこには地獄で会った悪魔がいた。

 悪魔の姿は最後に地獄で会った時と同じ、大人の女性だ。

 無駄に胸がデカイ。


 悪魔は俺の側まで来ると、地獄の時と同じ調子で話し始めた。


「クフフフ。【ゴールド】のカードが解放されたね」


「てめぇ……悪魔……」


 どういう事だ?

 なぜ、この悪魔野郎がここにいる?

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