第69話 しゅじょくとくせいでしゅ 2

 そんな穏やかな種族である神族と魔族だけれど、魔法に関してはほぼ特化しているという。それが光魔法と闇魔法だそうだ。

 光は神族が、闇は魔族が特化してはいるがそれしか使えないわけではなく、あくまでも他の種族よりも覚えられる魔法の種類が多いことらしい。


 だけって……身も蓋もねえ言い方だな、おい。


 あとはどちらも悪意に敏感だったり、神族は穢れに対して勘が鋭かったりなど、とにくかく過去から現在に至るまでに培ってきた経験などが潜在的に反映され、今に至るらしい。

 つまり、DNAにばっちり情報が組み込まれているわけだ。……違うかな? 強ち間違ってない気がする。

 おっと、脱線した。


「ちゅまり、わたちのしぇにゃかがじょくじょくしたのは……」

「ダンジョンかスタンピードを感知したんだろう」

「にゃるほろ」


 そういうことか。

 そもそも、ダンジョンは淀んだ魔力のたまり場にできることが多いそうだ。

 それはなぜか。

 淀んだ魔力は人や魔物が死んだあとの魔力と、生前の恨みつらみ、死に際に味わった恐怖など、マイナスの感情を含んだ魔力が淀んだものとなるという。なので、ダンジョンは穢れていることと、穢れが纏わりついている魔物が外に出て暴走すると、土地が穢れるんだとか。

 その穢れ度合いにもよるけれど、穢れても浄化せずそのままにしておくと、最短で十日間、最長で百年単位は植物が育たず、荒廃していくばかりだそう。


「その穢れを祓うことができるのが光魔法なの」

「一番強力なのは神族が使う光魔法だが、他の種族でも使うことができる。それが、神殿に属するものたちだ」

「神殿では光魔法を教えてくれるけど、習得するには条件があってね。その行いを毎日かかさずすることが絶対条件なのよ」

「ほえ~」


 セバスさんとセレスさんの話に驚く。なんと、覚えることもできるのか。

 その習得条件を聞くと、どうやら善行やボランティアが条件のひとつ、らしい。ひとつってことは他にもあるんだろうね。

 まあ、ぶっちゃけて言ってしまえば、徳を積むことによって光魔法を授かることができるそう。とはいえ、それはあくまでも初級と呼ばれる魔法が使えるだけで、適正がある人の足元にも及ばないらしい。

 もっといえば、いくら適正があって神殿に仕えている神官や巫女といえど、そして魔力がたくさんあろうとも、中級の真ん中くらいから上級の最初までしか使うことはできず、最上級まで憶えられるのは神族と神獣だけらしい。

 ちなみに、上級の最初まで憶えることができるのは、教皇や枢機卿クラスの人間且つ、魔力量が高い者だけだそうな。つまり、教皇や枢機卿クラスの人物といえど、魔力量が少ないと初級止まりの可能性もあるそうだ。

 魔法の等級が上に行くほど使用魔力が上がるために、そんなことも起こり得るらしい。


「そういう意味では、光魔法に限り、ステラは最上級まで憶えることができるわ」

「ほかはどうなんでしゅか?」

「神族故なのか、今の段階でも中級の初歩まで使用できるほどの魔力はあるわね」

「まだ三歳だしね。これからもっと伸びるんじゃないかな」

「そうね。しかも、レベルはカンストしている状態だから、大人になるころには、もしかしたら最上級の初歩魔法も使えるようになるかもしれないわね」

「なんてこったい!」


 キャシーさんとテトさんのお言葉に、頭を抱えてしまった。しかも、種族特性だから仕方ないと言われてしまえば、乾いた笑いしか出ない。

 そんな状態だが、ついでとばかりに魔法やスキルのうしろにあるレベルについて聞いてみたところ、一部の魔法やスキルを除き、レベル10でカンストなんだって。私が持っている魔法やスキルの中にあるものでレベル10を超えるものはないそうだ。

 それはそれでよかったけれど、なんとも複雑というか微妙というか、表現しづらいなあ。

 ちなみに、魔法の使用分類はレベルでわかるそうで、1~3が初級、4~6が中級、7~9が上級、10が最上級あると使えるようになるんだとか。それから、魔力循環や魔力操作のように等級がないものもある。

 このふたつに関しては熟練度になるそうな。

 そしてスキルに関しても同じことが言えるけれど、こっちは熟練度になるそうで、レベルが上がると熟練度が上がっていることになり、その分上達しているという目安になるんだそう。

 なんかごっちゃになりそうだから、あとで紙に書いておこうと思う。


 そんな話をしていると、あっという間に夜が更けてくる。変な時間に寝てしまったとはいえ、幼児の体は正直だ。

 てなわけで、黒虎バトラーさんの腕とお腹に包まれつつ。

 おやすみなさーい!


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