第35話 ドラゴンふうふはヤバいでしゅ

 セバスさんに「到着しましたよ」と言われた場所にいるわけだが。


「…………」


 視線の先にあったのは、藁が敷き詰められている、広い場所。

 ……うん、ドラゴンの姿で来たんだから、当然の結果なんだろうけどね? なんだか釈然としない!


「あらあら、目が真ん丸だわ」

「まあ、ここが家ですと言われたら、そうなりますね」


 ドラゴンの夫婦はそんなことを言って笑っている。


「先に土産を渡しておく。いろいろあるぞ?」

「それは楽しみね!」

「そうですね」

「ああ、セバス。ここに家を出してもいいかな」

「構いませんよ」


 呆然としていると、バトラーさんがお土産のことを、テトさんが家を出したいと話している。まあ、キャシーさん以外は人型になっているし、山の中に入ったから外よりは温かいとはいえ、寒いもの。

 そろそろお昼ご飯の時間ということもあり、家を出したみたい。

 お土産に渡した肉はベヒーモスとズー、エンペラーギャーギャー鳥など、数種類。どれも食べたいと言ったセバスさんとセレスさんのために、寝床に置いたバトラーさん。

 その間にテトさんに手を引かれて家の中に入る。すぐさま暖炉に火を入れ、料理を始めたテトさんを手伝った。

 ご飯は数種類のサンドイッチと野菜たっぷりなスープカレー、デザートにキウイ。ドリンクはセバスさんが淹れてくれたミルクティー。

 サンドイッチは卵、きゅうりとハム、ハムチーズ、ギャーギャー鳥のもも肉を使った照り焼き。あとはBLTサンドと、残っていたらしいローストビーフとオニオンスライスを挟んだものだ。

 なかなか豪華なサンドイッチだね!

 そのうちフルーツサンドも作ってみたいなあ。バステト様が魔道具化した電動の泡だて器をくださったから、生クリームを探すだけだ。

 鞄に入ってたっけ? あとでもう一度確認と整理をしないと。

〝欲しい〟と思った道具やら食材が日々バステト様から送られてくるから、把握しきれていないんだよ。キッチン関連の魔道具や調味料、粉末や乾燥ハーブは嬉しいけれど、そろそろ食材はストップしてほしい。

 特に、森で見つけた野菜や果物は。

 種ができているものが結構あったから、定住するところが決まったら、庭に種を蒔くつもりなのだ。もちろんバトラーさんとは相談済み。

 そのうえで決めたことだったりする。

 話が脱線したけれど、夜はギャーギャー鳥の胸肉とヴォーパルラビットを使った、水晶鳥と水晶兎を作るつもりだ。どっちも淡泊な味だから、タレは濃いめにしよう。

 そんなことを考えている間、バトラーさんとテトさん、キャシーさんがこれまでのことをセバスさんとセレスさんに話していたわけですが。


「おや。それは面白そうですね。私も一緒に行きたいですね。セレスはどうしますか?」

「そうね、あたしも行きたいわ。ステラちゃんは可愛いし、ここでの暮らしもそろそろ飽きてきたもの」

「確かに。旅をして、ステラ嬢と一緒に別の場所に定住するのもいいですね」


 にこにこにっこりと見つめ合い、キャッキャウフフとテンションアゲアゲなドラゴン夫婦。恰好や雰囲気は落ち着いているのに、ノリは軽いなー(棒)

 だけど、旅をするならその恰好はダメだと思うんだ。

 そんなセバスさんとセレスさんのステータスもぶっ飛んでいた。



 名前  セバス

 性別  男

 年齢  15242

 種族  エンシェントドラゴン(古代竜)

 レベル 6110/999

 スキル 魔法の心得(Lv:ー)

     武器の心得(Lv:ー)

     武道の心得(Lv:ー)

     暗殺の心得(Lv:ー)

     家令の心得(Lv:ー)

     植物図鑑(Lv:ー)

     魔物図鑑(Lv:ー)

     種族図鑑(Lv:ー)

     魔力循環(Lv:ー)

     魔力操作(Lv:ー)

     地理把握(Lv:ー)

     地形把握(Lv:ー)

     気配察知(Lv:ー)

     解体(Lv:ー)

 魔法  風魔法(Lv:ー)

     火魔法(Lv:ー)

     水魔法(Lv:ー)

     土魔法(Lv:ー)

     雷魔法(Lv:ー)

     光魔法(Lv:ー)

     闇魔法(Lv:ー)

     時空間魔法(Lv:ー)

     結界魔法(Lv:ー)

     転移(Lv:ー)

     マップ生成(Lv:ー)

     上級生活魔法

     看破

     変身

     言語理解

 称号  女神バステトの神獣

     超越者

     賢者

     世界を踏破せし者

     世界に君臨せし者

     不老不死

     優しき魔物

     バトラーの友人

     テトの友人

     スティーブの友人

     セレスティナの夫

     ステラの保護者NEW



 ……セバスさーん! さすが最凶で最強!

 しかも、出会ってまだ数十分なのに、私の保護者の称号がついているんだが!

 あとね? 物騒な心得があるのはナンデカナー? なんでそんなものを持ってるんだ!

 最古のドラゴン、こえぇぇっ!

 …………よし、次いってみよー! どうせ似たようなステータスだろうけど!

 てなわけで、セレスさんのステータス。



 名前  セレスティナ

 性別  女

 年齢  14987

 種族  エンシェントドラゴン(黄龍)

 レベル 5823/999

 スキル 魔法の心得(Lv:ー)

     武器の心得(Lv:ー)

     武道の心得(Lv:ー)

     諜報活動の心得(Lv:ー)

     侍女の心得(Lv:ー)

     植物図鑑(Lv:ー)

     魔物図鑑(Lv:ー)

     魔力循環(Lv:ー)

     種族図鑑(Lv:ー)

     魔力操作(Lv:ー)

     地理把握(Lv:ー)

     地形把握(Lv:ー)

     気配察知(Lv:ー)

     解体(Lv:ー)

 魔法  風魔法(Lv:ー)

     火魔法(Lv:ー)

     水魔法(Lv:ー)

     土魔法(Lv:ー)

     雷魔法(Lv:ー)

     光魔法(Lv:ー)

     闇魔法(Lv:ー)

     時空間魔法(Lv:ー)

     結界魔法(Lv:ー)

     転移(Lv:ー)

     マップ生成(Lv:ー)

     上級生活魔法

     看破

     変身

     言語理解

 称号  女神バステトの神獣

     超越者

     賢者

     世界を踏破せし者

     世界に君臨せし者

     不老不死

     優しき魔物

     バトラーの友人

     テトの友人

     スティーブの友人

     セバスの妻

     ステラの保護者NEW



 ……さすが夫婦や……! スキル欄が物騒極まりない。

 家令と侍女はわかる。なんで暗殺だの諜報活動だのがあるんだよ!

 もし私にもそんな称号ものがついていたらどうしようとステータスを見てみれば、セバスさんとステラさんのこわーいスキルも、家令や侍女のスキルもついていなかった。……正直いって、ホッとした。

 二人に聞いたところ、これらは訓練やそういった経験がないとつかないのと、物騒なスキルは神獣自ら与えるかどうか選択できるんだって。なので、幼児である私には不必要なスキルだから、与えなかったという。

 当然といえば当然か。そういう家に生まれたわけじゃないしね。

 そんな私のステータスは、ベヒーモスを倒した段階のものとほとんど変わらず。変わったのはレベルと称号、スキルレベルくらいだった。その部分を抜粋。



 レベル 261/999

 スキル 魔力循環(Lv:ー)

     魔力操作(Lv:ー)

     気配察知(Lv:4)

 称号  神獣セバスの愛し子NEW

     神獣セレスティナの愛し子NEW



 こんな感じ。

 レベルは、もう一度ベヒーモスとズーのとどめを刺した影響。魔力操作と循環はカンストしたみたい。どうやらカンストレベルは10っぽい。

 ただ、バトラーさんによると、スキルや魔法のカンストレベルは全部同じではないそうで、難しいものや習得し難いもの、レア度が高いものほど、カンストレベルが高いと言っていた。

 なので、その数字を鵜呑みにしないほうがいいらしい。

 それを思い出しつつ、ステータス画面を閉じた。


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