第275話 お店の説明をしよう!
その他もあーだこーだと案を出し、可能か不可能かも含めて検討、ベン君の店に置く商品の系統も考えて再度設計し、まとめた。
「さて、では作成に入る。材料はベン君が調達してくれ。今回は材料費のみで、あとは私とソードの祝い金として建ててやる。あ、スカーレット嬢も案を出してくれたので、店を訪ねたらお友達価格で売ってやってくれ」
「出来上がりを楽しみに待っておりますわ。あ、インドラ様、そのうち我が家もプロデュースお願いしますわね?」
フフフ~とスカーレット嬢に黒い笑顔で言われた。
私は肩をすくめ、うなずく。
「メンテナンスが出来そうならいいぞ。ただ、設計と魔導具の作成だけにしておく。公爵家ともなれば、優秀な土建屋の伝手があるだろうからな」
と、答えてスカーレット嬢を学校に送り届け、拠点に戻って部材製造。
プラナとサハド君も超やる気だ。
まず、アクリル板の製造だ。
魔素と魔石から作るので、なんちゃってアクリル板だが。
試行錯誤した結果、アクリル板よりも透過率の高い、上にものを置いたら浮遊しているとしか思えないほどの透明な板が出来た。
プラナがはしゃぐ。
「インドラ様、コレ、すごいよ!」
「そこら辺に置いたらどこに置いたかわからなくなりそうです!」
サハド君が感動しつつももっともな事を言った。わかるように布にくるんで置いておく。
他、プラナには部材の切り出しと漆塗りをお願いした。サハド君は石柱を土魔術で細工してもらう。
ソードはベン君が調達出来ない部材を集めに出かけた。使用人たちも楽しそうと思ったのか、いろいろ手伝ってくれる。
イースの職人も手伝ってくれて、部材製造は完了。
せっかく手伝ってくれたので、皆を呼んで、軽く組み立てた。
「うむ! うまい具合に出来たな」
ソードが家を見上げて呆れた口調で言う。
「…………家を気軽に建てるなんざ、お前くらいだな」
「そういうふうに作ったんだ! 昔の人の知恵だぞ? これなら、別の土地に移っても、バラして運んで組み立てればオッケーだ。まぁ、組み立てるだけだと強度が心もとないので、支柱は別に打ち込む予定だけどな。これはお披露目なので、簡単に組み立ててみた。どうだ?」
周りは大絶賛だけれど、使用人たちが私を褒めるのはデフォなので信用ならない。
一緒に作った職人たちだって、自分の作った物に自信はあるだろうから自画自賛大爆発中だし。なので、ソードとアマト氏の意見を参考にする。
「映画やアトラクションに出てきそう! いいと思いますよ!」
とは、アマト氏談。
「いいんじゃねーか? 遊び心があってよ」
ソードも合格を出した。
建物内部は、フワフワと紙提灯が灯りをともしながら浮かんでいる。
〝ドローン〟改め【
ホーブ。
これはかなりの量を造り、拠点の屋敷にも放った。
リョークのAIをコピって、そこに飛ぶことをプログラミングで加え屋敷のメンテナンスを学習させたので、初期から結構出来る子だ。使用人やメイド嬢、メンテナンスを主な業務にしている人間を参考にしているので、リョークと違って落ち着いた性格(現時点では)だ。
外殻の一部を魔石アクリルで作ったのでキラキラしているのも特徴。
建物の地下部分は今回はお披露目が出来ないけれど、地上階は仮建築でお披露目して評判が良かったのでこのまま持っていくことにした。
アマト氏、スカーレット嬢のために建築物の動画を撮って送ってあげている。
やっさしーい!
なのに魔法使いに至る人なんだよねぇ。良い人過ぎるとダメってことなのかな?
スカーレット嬢とアマト氏、年齢差はあるにしろ同じ別世界から来た者同士で恋仲になるのなら応援したいが、スカーレット嬢は何せ公爵令嬢。
貴族の婚姻は恋愛ではなくまず打算なので、勇者であり本来は魔王討伐に行っているであろうアマト氏との婚姻は、王家に仕える貴族としては不可能だろうね。
まぁ、二人とも互いにアンテナ立っていない感じだからね……。
あ、私もそうだった!
部材を載せて王都へ出発。
イースと王都の往来を楽にするため、道を整備した。シャールで数ヶ月かかる道のりが一気に短縮されたのだ!
あ、ちなみにリモンたちお気楽メンバーはずっとくっついてきていて、拠点に帰れば拠点の片隅で屋台を開き、王都に向かえば王都で屋台を開いているよ! 屋台要員だよ!
合流するなり、ベン君が感激してくれた。
「動画見たッスよ! すっげーかっちょ良かったッス!」
うむうむ、と私はうなずく。
「地下で売る酒コーナーも趣が正反対で面白いぞ。これは、出来上がってからのお楽しみとなる。では、これから工事を始めよう」
まずは下地。
従業員の住まいはもう出来上がっていて、簡素な造りらしい。
ベン君の方は、下水処理を施してほしいらしい。
スカーレット嬢も自宅の改築では真っ先にそれを望んでいたので呼んで、工事がてら説明をすることにした。
「うちのかわいいスラリンのようなスライムを捕まえてメンテナンスしてもらえば楽なのだが、無理だろう。ある程度は魔導具で処理するようにはするが、最終的には人力だ。だから、清掃員が見つからない限りは無理だが、ベン君、手配は整ったのか?」
「ギルドの奴隷と契約したッス!」
「「ワーヲ」」
スカーレット嬢と声をそろえてしまった。
ベン君によれば、奴隷は下手な冒険者よりも手を抜かない、いや抜けないので良いそうだ。手抜き掃除をしたりやっていないのにやったと虚偽の報告をしたりした場合、ギルドが全責任を負うことになる。そしてそれは奴隷の身に必ず返ってくることになる。なので、真面目にやってくれるのだそうだ。
「……うちはお父様に相談しますわ。それともお母様の方が伝手があるかしら……」
スカーレット嬢が悩むが、そこをまずクリアしないとたぶん無理。
「とにかくそこが第一関門で、あとは場所だな。従業員施設の裏に作るということなので、そこを汚水プールにする。浄化した後川に流すか流用するか蒸発させるか、拠点は蒸発もさせてるが庭木に散水したりして流用もしている。レストランは蒸発だ。ここは王都に下水の川があるのでそれを使う」
スカーレット嬢がタブレットにメモしている。さすがというか、タイピングが早い。
「建物内部に通した排水管がやられた場合はもうリフォームするしかないな。そのことをちゃんと設計図に残し、業者に頼むしかないだろう。数十年は保つように作るが、何かあったら壊れる。私も素人なので詳しくはわからない。なるようにしかならないな!」
と、最後に無責任なことを言い放った。
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