第44話 おじいちゃんを改心させよう(残酷描写あり)
とりあえず、反省の意味を籠めて全員正座&石を抱いてもらった。
おじいちゃんも……死んではいなかった、脳にダメージを負ってるかもしれないが。
とりあえず回復薬を無理やり飲ませ、様子見。
「お、やっぱり大したことなかったぞ」
目を覚ました。
「……う……」
ソードはガックリと肩を落としてる。
そんなソードを見て言った。
「正直、お前はすぐダメージを負うからアッチに行っててほしいのだが」
急にソードが元気になってグリグリしてきた。
「確かにお前って無関係の人間は魔物レベルの扱いをする図太い神経の持ち主だな。でも、だからこそ怖くてお前に任せられねーんだよ!」
なんでだ!
おじいちゃん、「ワシにこんなことをしてただで済むと思うなよ⁈」的テンプレを吐いたのですが、股間と爪の間とに針を刺してあげたら大人しくなった。
「大丈夫、こんな怪我、痛いだけで大したことない、抜いたらすぐ治療してやる、また刺すけどな? 何十回刺したらただで済むか数えてみよう」と諭したせいもあるが。
五回くらいでスラスラと目的を言うようになり、追加二回で周りが止め、おじいちゃんは改心した。
石を抱いてる連中は一時間後、平伏した。
足が痺れたせいもあるだろうけど。
「簡単に解決してしまったな。人も殺さずに済んでしまった」
ってつぶやいたら、全員泣き出した。
「……うん、俺、間違ってたよ。お前は強い。もう証明して見せなくてもいい。でも、人が関わる依頼はお前に任せっきりは絶対止めとくことにした」
って、ニッコリ笑いながらソードに言われた。
おじいちゃんたちの目的は、リョーク。
ソードの言った通り壊してどうなってるか調べたかったらしい。
ニッコリ笑って説教した。
「あのな? なぜ安易に他人が作ったものを壊して調べようとするのだ? お前は、魔導師、作り手だろう? それとも魔導師っていうのは壊し屋なのか? 出来上がってるものを壊して喜ぶ変態なのか? その変態が弟子まで取ってるのか? なら、穴を掘って埋める作業でもしていればいいだろう。穴掘り穴埋めが、壊しては元に戻し、壊しては元に戻し、の一番他人に迷惑がかからない最たる方法だ。穴掘り穴埋めしてろ! 特に魔導具なんて、魔導液の作り方さえマスターしていればどうにでもなるだろうに! 自分の手で一から作りあげるからこそ楽しいのに、他人が作ったものを壊して何が楽しいのか⁉ いいか? リョークは、私が作りたいという情熱を籠めて作った作品だ。完成するまでどれだけの苦労があったか知ってるか? 真っ直ぐ立ち上がるまでどれだけ情報を書き込んだと思ってるんだ! ゴーレムを作りたいなら、ゴーレム解体するより生き物を観察しろ! 人間が生まれて、最初はいつくばる事すらできなかったのが、二本足で立って歩く過程を、つぶさに観察しとけ! そこまでいくのがどれだけ大変かがわからないのか? ……わからないんだろうな、もう棺桶に片足突っ込んでいる老人だものな。いや、年齢は関係ないか、お前の性根も才能も昔から変わってないだろうからな。……憐れだな、他人が作ったものを壊して、だが理解出来る脳も持っていないとは。それでも年齢だけを誇示して権力とプライドにすがっているのか。そういうのを〝老害〟と言うのだ。むしろ死んだ方が今後の発展になるだろうにな、それがわからないんだよな、憐れだな」
って言ったらさめざめと泣かれた。
きっと心打たれたんだろうな。
良いこと言った、私。
ウンウンうなずいてたら、ソードの拳固が飛んできた。
「なんでだ⁉ 良いこと言った!」
「なーーーにが、良いこと言っただよ! 煽ってる以上に心折ってるだろうがよ! さすがの俺もかわいそうだって思ったぞ!」
なんでだよ⁉
でも、自分で作る気になったぽいよ?
余計な時間を食ったけど、依頼を片付けよう。
山頂を目指す。
「霧が出てきたな」
急に視界がガスってぼやけてきた。
懐かしいな、そういえば別世界で山登りしたときもこんな感じになったっけ。
「……おい、こいつは……。……インドラ! こっちに来い! リョークも! これは魔術だ! この魔術は……」
ソードの焦った声に振り向くと、ソードが急激に霞む。
ソードが手を伸ばし、それをつかむ一瞬前。
その手が霧と共に消えた。
「…………え?」
霧が晴れた。
そこにソードはいなかった。
「…………ソードーーーーーッ‼」
叫べど、返事はなかった。
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