第4話 昼間の三日月 夜空に燦然と輝く

 二次的な貧乏は、いまのご時世、まだ貧乏にはなっていないのである。先代の戦後どさくさに、阿修羅のごとく、弱者となった人の物を奪い取り、貧乏から這い上がり財をなした親たちが健在なのである。政治、実業の世界では、おぼっちゃま達は、親の力が健在である。この人種と遺伝的貧乏はやさしくない。

 おもてなしの国というのは、チップの習慣なく、ただでこき使われそうになるので、お金をくれそうな人に愛想がいいというだけ。

 ご存じの日本人も多いと思いますが、世界調査において、人助け、という観点からでは日本は126カ国中107位、先進国のなかでは最下位。

 金にもならない、話題にもならない、インスタ映えもしない同国人や弱者については、おもてなしなどしない。

 マナーなどはアジアではましな方というだけである。電車の優先席などは、マナーを強要しても分からないから存在する。自然に具合が悪そうな人、大変そうな人に席を譲れれば、優先席、とか書かなくてもよいのだ。我先に、障害のある、杖を突く者、弱者などには目もくれないで、我先に座り込んで、寝たふりをする。弱い奴など押しのけて座る。スマホを必死にみて、イヤホンをして、見えない聞こえないふりをする。自転車とか、軽自動車とか、普通車、原チャリの運転マナーを観察してみると、その界隈の人種の道徳、マナー、学歴が分かる。右折優先とか、歩行者優先とか、、表示されてあって、自分優先!でしかない。

話を戻します。

 美宇は、辛かった。恋した男は、自分のせいで妻を、娘を死なせてしまったと苦しんでいる。他の誰も入っては行けない深い深い闇の底にいる。生きることを苦しんでいる。自分の半分だけでも、入り込んでいきたい。苦しみを半分にできなくても、一緒に分かち合いたい。

 辛い(つらい)、の一歩先は幸い(さいわい)であると、字体をくことがあります。それを、横一本線を足せば幸いになる。その一歩先の漢字の一本線は、一憶円の一か?と言われる方も多いのは確かです。

 辛い過去は変えられない。自分以外の他人を変えようとしても無理である。自分で変えられるのは、自分と、自分の未来だけなのである。あの人が酷いとか、あの失敗をなかったことにしたい。あんな経験さえ無ければ・・・

 過去のことは変えられないし、他の人を変えることはなかなか出来ない。変えられるのは、自分だけ。そして、自分の未来だけである。

 楽しいこと、辛いこと、全てをそのまま受け入れる。ただ、そのままをながめる。自分の人生を、良い、とか、最悪とか考えない。そんなものの評価などしない。過去を忘れられなくても構わないのだ。ただ、今あるがままを生きる。何処の誰がしだ等々、社会的な自分の地位、立場、評価などを気にして自分でない自分の役割を演じるのをやめる。自分は自分で、誰でもないし、何者でも何様でもない。

 人生の生き方などは、星の数ほどある。悪いところをずーと視ない。そして良いところだけをみる。受け入れる。

 あの、日本人の代名詞ともいわれる、男はつらいよ!の寅さんは言いました。自分はメンドクサイことが大嫌いなのに、人が面倒くさがると、説教します。

 幸せっていうのは、メンドクセーの向こうにあるんじゃないのかい?

 そんで、生きててよかった、と思えることが、一度か二度、感じるために、人は生まれてきたんじゃないの?

 世の中、大体のことを覚悟さえしておけば、大概のことが当たり前のことに見えてくるのでしょう。

 美宇は、男に決断させた。過去を背負わない!今を生きる!

 男の仕事は、投資コンサルタントである。パソコンとEメールとインターネットがあれば世界のどこでも仕事は出来るのである。学生時代に旅行した、タイ、バンコクへの移住を進めた。自分達は、この国にいるから、保険だ、年金だ、税金だと二次的貧乏予備軍にむしり取られ、人の幸せなど考えたこともない、出来損ない官僚の生き残るこの国では、自分は貧乏になるし、彼は過去を引きずっているのだ。

美由は即決である。

離婚はしない。パスポートだとか保険証とか面倒になる。いずれすればよい。子供とともに、この男に貧乏から脱出させてもらう。そのかわり、私がこの男を暗い闇の底から引きずり出してあげるのだ。

 タイ、バンコクでは、大きな病院、スーパーから、学校までも日本語が通じるところがある。物価も高くなったとはいえ、まだ安い。思いどおりの生活ができる。物価という面では、人件費とかコストを考慮した産業的には、製造業を始め、多国籍な企業は、中国から、タイ、ベトナム、ミャンマー、バングラディシュと安い労働力と資源を求めて変遷していると聞く、それでもタイは戦前からのヨーロッパの貴族の保養地である。タイは、近代的であり、魅力が多い。ミュージカル、王さまと私のように、素晴らしい生活が待っている。人生の幸せは、この男と半分づつである。今まで隠れるように半分自分を失っていた昼間の三日月は、夜空で神々しく輝くのだ。そう思えば実行、即座に明るい未来が見えてきた!

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昼間の三日月 貧乏の度合い @yokobamart

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