未亡人をスカウトしましょう
「セレスティア北米ナーキッド領域管理官のお言葉ですから、心してお聞き致しますわ」
「もう、切れ者の上杉忍さんの冗談には、怯んでしまいそうになるわ」
「それでお話とは?」
「私のような名誉刀自って結構いるのよね、皆未亡人、はっきり言うけど夜は持て余しているわね、ミコ様って後家殺しよね……」
「後家殺しというより女たらしでしょうね、しかも神の領域に近い方ですから……後の方のお名前は推察出来ます、綺麗な方が多いですから」
「大体のお考えはわかりますが、パシフィック地域は誰に割り当てるお考えなのですか?」
「長谷川司令官の奥様」
「あの方は……いわば武士の妻、おいそれとは……」
「甘いわね、官能を知っているのに久しく閨が空いている、しかも今やマルス世界も、ミコ様の寵を得る事は名誉との風潮があるのよ」
「夫の名誉の為と言う建前には誰もあらがえないし、ミコ様の前に出ればどうなるか」
「私も貴女も想像できるでしょう……後はミコ様の強固な倫理観だけど、相手が未亡人なら、私が良い例でしょう?」
「確かに祝福を受けての閨となるのですから、おのずとね……相手の意志は決まっている、誰もが望んでいる事……」
「倫子さんも望んでいる、『しかたない』との状況を作ればいいだけよ」
セレスティアは断言します。
「『しかたない』状況ね……まぁそちらは後で考えるとして適任ですか?」
「あの方は、おしとやかとしか認識がないのですが?」
「夫を支えていた妻ですからね、実力はあります、それに倫子さんは優しい、パシフィック地域はヒナ――ポリネシア全域の月の女神――を求めているはずです」
「そうですね、パシフィック地域はそんなに荒れていないし、いざとなったら食料は海にありますしね」
「各島は独自の統治組織があるようですし……月の女神の恩恵ですか?」
「恣意的ですね、軌道エレベーターのあるキリスィマスィ島から、物資も回せるのですからね……」
「一応いっときますが、倫子さんは拒否しますからね、誰かが悪役を引き受けるわけです」
「それはセレスティアさんと私なのでしょうね、でも今回懲罰はご免したいですね、あの毒薬料理はね……身体に悪いですから」
「毒薬料理ね、でも御蔭でミコ様の寵妃になれたようなもの、三日の間ミコ様が御世話して下さるなら、今一度食べてもよくてよ♪」
「ミコ様に……淫らな想像をしてしまうじゃないですか!」
「私なんかいつでも淫らな想像しているわよ」
忍は意外に顔を赤らめてしまった。
「セレスティアさん、もうすぐ側女から夫人待遇側女に昇格させると内示がありました、私少し用事が出来ました」
「あら、身体がもだえるの?だからオムツをしなさいと勧めたのに」
「もう、セレスティアさん!そうです!今日はこの辺で、後日、続きを煮詰めましょう!」
「私にまかせない、『しかたない』状況を作って、倫子さんを仲間に引き込んでおくから」
「じゃあ、まかせます」
そういうと、忍はそそくさとニライカナイの自分の個室に消えて行きました。
「まだまだ『うぶ』ね、忍さんって可愛いわね、さて倫子さんはそうはいかないわよ」
夜毎の事になると、私よりも淫らなはずよ……
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