第400話 ハーレムの第二段階を見据えます
とにもかくにも、過激派のエルフ残党―――エルドリウス一派について僕に出来ることは、今のところ多くない。
「ぁ~、だ~ぅ~、ま~、ぅっう~」
まるでお歌を歌うようなリズムで言葉にならない声を発しながら、玩具で遊ぶ
とはいえ、まったくやる事がないわけじゃない。
「メイトリムにいる二人から報告が来ました。ほぼ予定していた整備は終わり、管理・維持のための人員配備も済んだようです」
シェスクルーナとリジュムアータは静養も兼ねていたので、体調面についても書かれており、二人とも普通に出歩くことが出来るところまで回復したとのこと。
特にリジュムアータは、専用のリハビリメニューは卒業し、日常生活がそのままリハビリという段階まで来た―――ほぼ回復したと言っていい状態みたいだ。
「じゃあ、お二人もこちらに合流されるのです?」
エイミーがお茶うけのクッキーを一つ食してから聞いてくる。
さすがに彼女も、お嫁さんになってからそれなりに経過してるから、ドレス姿でお茶を
初めてエイミーを見た人は、まさか元メイドだっただなんて、もう分からないだろう。
「それはもう少し後になります。まだメイトリムの代官を選定中ですからね」
一応は村規模、ということだから村長という形になるんだろうけど、ともあれメイトリムを切り盛りする
「決まり、そして実際に赴任するまで、シェスカとリジュには僕の代理としてメイトリムに留まってもらう事になります。……僕達も一度、あちらに行くことになりますし」
するとエイミーの隣でやや大きめのクッキーを小動物みたいにポリポリ食べてたアイリーンが、小首をかしげた。
「? 何かご用があるんですか?」
「ええ。アイリーンが先日、王都をでた東にて突き止めていただいた、王国に潜伏していた魔物達の中継拠点―――隠れ家のようになっていた場所を切り開き、整備することになったのですが……」
その際、メイトリムの整備を担ってくれた工務の人たちを継続して起用する案が、宰相の兄上様から出た。
「―――なるほど、さすがは閣下ですね。よく考えられた差配です」
セレナがそうしみじみと理解を示すその隣で、クララも理解至っている様子で頷いていた。
「?? えーと……つまりどういう事ですか??」
はい、アイリーンとエイミーは分かっていませんよね、もちろん。
「工務に
王家御用達―――実はこれまでは、そういう特別扱いの職人や商人というものは、明確には存在してなかった。
世情にて有名どころなんかが、その名声にかけてよい仕事をするだろうと言う事で、必要に応じて都度、召し上げてきたのが実情だ。
だけど東の魔物達に加えて北の過激派エルフ達の存在、さらにはそれらに付随して敵の潜入・潜伏の事実や王都内での爆発騒ぎなどなど……
「要するに、信頼のおける王家お抱えの職人さんを育てよう、という狙いがあるのですわ、アイリーン様」
クララが説明を締めくくると、アイリーンとエイミーはほわー、と分かったのか分からなかったのか分からない呆けた声をあげた。
「これからは、どこに妙な者を差し込まれないとも限りませんからね……クララがドルシモンを見破ってくれましたように、使用人の見分けや身元の厳選および管理なども徹底していきませんと―――」
そう言いながら僕が、床にお座りして玩具で遊んでいるレイアに視線を向けると、お嫁さん達も全員、レイアを見た。
「……そうですわね。守らなくてなりませんもの、絶対に」
「お任せください殿下、私達が決して、不埒者を許しはいたしません」
「そうなのです、私も普段から周りをしっかりと注意し続けるのですよ」
「怪しい気配がありましたら、見つけ次第真っ二つにしちゃいますから!」
頼もしいお嫁さん達の言葉に、僕はちょっと感動した。
思えばハーレムで身の回りを固めて、不安ある将来に備えようと思ってお嫁さんを増やしてきたわけだけど、その当初の目的は完璧化と言われたらまだまだだけど、現実に果たされつつあるって実感できる。
―――なら、次だ。ハーレムに守ってもらうだけじゃあなくって、ハーレムの皆にも幸せになってもらうように、このハーレムを次のステップへと押し上げていかないとね。
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