変わりゆく時代の中で、まさに「今」読むべき作品。

とてもリアリティのある物語だなと思いました。
近年におけるAIやロボットの技術の発展はめざましく、人類がうかうかしていれば実際にこのような未来もあり得ると感じました。

逆に、もしこの物語を十年前に読んでいたら単なる「絵空事」だと感じていたと思います。
また、もし来年にこの物語を読んでも、印象が変わる可能性があると思います。

この作品は、「今」「この時代」だからこそ楽しめるのです。
ぜひ新鮮なうちに読んでみてください。

ラストの展開は奇抜さを感じますが、それを納得させるだけのリアリティがあります。特に「肩がぶつかって舌打ちをする」というような細部の描写が最高にぞっとしました。

物語の展開については、駅のホームで捕まる男の存在が重要だなと感じました。
ここで『刑』についての情報を小出しにしているからこそ、ラストの展開に「そうきたか」と思えるのです。
途中で回想が入って来たり、物語の組み立て方がうまいなと思いました。

また、先を読ませる設定や、ハラハラする展開もあり、とてもバランスの良い作品です。

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