第1126話 成熟体のフィールドボスの新情報


 良いタイミングで残滓になった城塞ガメの発見情報が入ってきた。それなら関連してきそうな『瘴気珠』の情報から話していきますか! これはどこかのタイミングで桜花さんに持ち込んでおきたいけど、まぁ存在自体はみんなに教えておくべきだな。

 ベスタはもちろん、レナさんもいるっぽい感じがするから、あの不動種っぽいヤシの木の討伐PTが組まれて倒しに行く可能性もありそうだしね。


 コケ    : えーと、説明する前にオオカミ2の人に確認したい事があるんだけど、いい?

 オオカミ2 : ん? それは問題ないが、どういう内容だ?

 コケ    : 重要ってほどでもないんだけど、残滓の城塞ガメってどんな状態? 甲羅の中にハチもいたりする?

 オオカミ2 : あー、そういう内容か! 『旗頭』の特性が無くなって、サイズは元よりはかなり小さくなってるな。まぁそれでもデカいが。ハチについては、残滓のハチと共生進化はしてるぜ!

 ヘビ2   : 小さくなってるだけで、構成自体は大して変わってないのか。

 草花4   : おっしゃ! なんとか脱出成功!

 サメ2   : 脱出が早いな、草花4の人!?

 草花4   : ふっはっはっ! ランダムリスポーンでエリア切り替えの近くに出ただけの事! だが、これこそ普段の行いの成果! まぁ出た先は赤の群集の森林深部だけどなー!

 トカゲ2  : それじゃダメじゃん!?

 リス    : ううん、そうでもないよー。占有エリアを抜けたなら帰還の実が使えるからね。

 草花4   : という事だ! それでは俺は帰還する! 話題の途中で邪魔したな!


 おー、なんとかザックさんは占有エリアからの脱出には成功したみたいで良かったよ。青の群集にとっては嫌な状況だろうけど、この手のスパイは他の群集から来てたりするしお互い様って事で。

 ザックさんみたいに死亡前提で突っ込んで偵察をする人も少ないだろうけどさ。まぁ話を戻そうか。


 コケ    : 早めに報告を終わらせてログアウトして休憩したいから、本題に戻すぞー。

 オオカミ  : あぁ、そうしてくれ。

 キツネ   : 夜からの動きがまだ読めないから、戦力になる人には休憩しておいてもらいたいとこだしね。

 クジラ   : どんな情報なんだろ?

 コケ    : とりあえず1つ目の情報! 成熟体のフィールドボスを倒した時に、まだ見た事がなかった『瘴気珠』というアイテムが手に入った。PTメンバー全員が手に入れてたから、おそらく確定入手だと思う。

 オオカミ  : ほう? 『瘴気珠』……なるほど、だから城塞ガメの残滓の捜索か。

 オオカミ2 : それって瘴気石の上位版じゃねぇの? あ、城塞ガメの再戦が可能になるかどうか、その確認の為なんだな!

 コケ    : そういう事。ただ、今の俺達は自分達で試す気力がない……。

 リス    : 2体目のフィールドボスが存在してるのも分かってるんだし、その辺はこっちでメンバーを集めて入手からやってみるよ。オオカミの人、いいよね?

 オオカミ  : あぁ、それで構わん。後で希望者を募るから、その辺は適当に通達しといてくれ。

 リス    : 了解ー! あ、でもその前に情報を最後まで確認しとかなきゃだね。

 サメ2   : 確かにそりゃそうだ。


 このリスの人が多分レナさんだよな? ラックさんという可能性もあるにはあるけど、フィールドボス戦をやってみるというのならレナさんっぽい気がする。

 まだ成熟体のフィールドボスの誕生方法は不明だけど、不動種のヤシの木が存在してたのが都合が良かったかも? 疲れてるところを強襲されて逃げるのが大変だったけど、それだけの価値はあって良かったよ。あれは決して無駄じゃなかった……。


 ドラゴン  : 『瘴気珠』が『瘴気石』の上位版だと仮定するとして、なんで名称が変わった? コケの人、見た目に変化はあったりもするのか?

 コケ    : 見た目なら、瘴気の色合いの真珠って感じ。俺は地味に見たことないんだけど、干潟の緊急クエストで手に入る限定版の瘴気石に近いんじゃないかって話題にはなった。

 カンガルー : あー、あれか。確かに見た目の特徴は似ている気はするが……。

 草花4   : それ、デザインの流用じゃね?

 クジラ   : それはあるかも!?

 海藻    : 可能性はありそうだー!


 あー、同じデザインを使っているって可能性はあるのか。そもそも緊急クエスト用の方は限定アイテムなんだし、俺らが瘴気珠を手に入れてきたのは全体の進行としては早い気もするしね。それこそ、入れ替わりくらいのタイミングで入手し始めるものなのかも。

 でもまぁあのワニは仕様の範囲で倒したんだし、入手が早かったとしてもそれは知らん! 全然楽勝なんかじゃなかったんだから、これくらいの特典はあっても良いだろ!


 木4    : まぁ話を戻そうぜ。名前に関しては、不動種の1人として理由は推測出来る。瘴気石は『瘴気石+29』まで強化出来るが……それ以降の表記をどうするかという点がな?

 木3    : その辺がどういう扱いになるのか気になってたが、アイテム名が別になるのなら納得出来る。これなら成熟体専用として『瘴気珠+10』や『瘴気珠+24』とかで分かりやすくなるからな。

 クジラ   : あ、そういやそっか!

 ヘビ2   : なるほど、強化数のリセットの為に別アイテム化か。

 木7    : そうなると、『瘴気珠』を作れないのは何かスキルが足りてないんじゃないか? 成熟体用の進化の軌跡の上位変換には『刻印石』が必須だったが、瘴気石には混ぜれないしな。

 木6    : その可能性はあり得そうだね。『瘴気石』を『瘴気珠』に上位変換させる為の専用スキルがあるのかも?

 木2    : もしかして、ここでも『魔力制御Ⅱ』が必要? 成熟体からの新スキルは、今のところ全ての前提として必須だぞ!

 木3    : そもそも進化の軌跡の上位変換にも『魔力制御Ⅰ』は必須だったし、その可能性は高いかもしれん。『魔力制御Ⅱ』を所持した上で何かの条件の達成か?

 木6    : とりあえずその方向で試してみよう! あ、でも今は中継してる人も多い? 私も中継しながらだし。

 木2    : まぁ今はどうしてもあちこちでトーナメント戦をやってるからな。大急ぎな案件でもなさそうだし、余裕がある時にやっていこう。

 木3    : サンプルで1個欲しいが……流石に疲れてるコケの人達に提供を求めるのもな。

 リス    : それなら、後でわたし達が討伐に行った時に調達して来ればいいかな。オオカミの人、人数は連結PTのフルメンバー18人でやる?

 オオカミ  : サンプルは多い方がありがたいし、今回は数を手に入れる方を重視するか。募集の際にその辺の条件を伝え忘れるなよ。

 リス    : 了解!

 ネコ    : それにしても、なんか不動種の人が一気に出てきたねー。

 木7    : 不動種は、中継をしながら情報共有板を見てる奴って多いぜ?

 ヘビ2   : 少し前に成熟体用の瘴気石の話題自体は出てたしな。有力情報が出てくりゃ、そりゃ出てくるってもんだ。

 ドラゴン  : なるほど、そういう流れか。俺の疑問も解消したし、不動種の人達の努力にも感謝する。

 木2    : なに、良いって事だ! 戦って新エリアを勝ち取ってくれてる人達を支えねぇとだしな!

 木6    : 私達はそのままじゃ戦えないからねー。2ndで戦える人もいるにいるけど、その辺はお互い様!


 不動種の人達と、俺らみたいにあちこちに行くプレイヤーとは根本的に楽しみ方が別物だしね。こうやって持ちつ持たれつで、お互いに協力してやっていくのが重要なのかも。まぁその辺は他のプレイヤーともだけどさ。


 オオカミ2 : 城塞ガメについてはサンプルの『瘴気珠』が手に入り次第、再戦を試してみる感じで良さそうだな。

 カンガルー : だな。さて、その再戦には参加したいとこだが……どういう形式になるかが気になるとこか。

 イノシシ  : 再戦とは言っても、競争クエストの演出はないだろうしなー。クエスト特有のギミック抜きか?

 キツネ   : 共闘イベントの時のボスがそんな感じで再戦だしな。多分そんなとこだろ。


 あー、そっか。再戦出来るとは言っても、演出やギミック込みでは出来ないよな。その辺は再現クエストってのを開発中って話だった気がする。続報がないけど、あれはどうなってるんだろうね? 


「ケイさん……長いのです……」

「今にも寝落ちしそうだな、ハーレさん!?」


 ハーレさんは眠気満載の声だし、報告は手早く済ませないと! えーと、悪いけど次の話題に強引に変えさせてもらおう!


 コケ    : PTメンバーの1人が疲れて寝落ちしそうだから、悪いけど次の話にさせてもらうぞ!

 リス    : あらら、そんな状態だったんだ? それならサクッと報告を済ませちゃってー!

 川魚    : その状態で報告に来てもらえるのはありがたい。てか、書き込んでないだけでコケの人のPTは見てるんだな。

 アルマジロ : その辺はよくある事だけどね。とりあえずコケの人、次の情報をどうぞ!

 コケ    : ほいよっと。次の情報は討伐した際の称号の情報で、手に入ったのは『河口域の猛者を討ち倒すモノ』だった!

 草花2   : ん? 何が違うんだ……?

 イルカ   : えーと、あれ? 特に何も変わらなくない?

 クジラ   : あっ!? 『強者を討ち倒すモノ』じゃなくて『猛者を討ち倒すモノ』になってる!

 ヘビ2   : あ、マジだ!?

 カンガルー : なるほど、そういう違いか。

 リス    : そうみたいだねー。これ、打ち間違いじゃなくて、そういう変化があったって認識でいい?

 コケ    : その認識で問題なし! ただ、これが場所の問題なのか、成熟体のフィールドボスだからなのかの条件の切り分けは出来てない。

 キツネ   : そりゃまぁ、サンプルが他にないと比較検証が出来んしな。

 ウマ    : その辺も順番に検証しながらだな。まずは、そのエリアに上限Lvの成長体を連れていってみるか。

 タカ    : 根本的に連れていけるかどうかからだが、まぁやってみるしかないな。

 海藻    : 向こうから未成体は持って来れるって情報はなかったっけ? あ、でもフィールドボスの誕生方法がまだ不明だから、今は意味ないか。

 木     : でも、成長体をあっちに持ち込める可能性はありそうだ。そこは大した難易度でもないし、すぐにでも試そう。

 タヌキ   : だな。やれる事から順番にだ!


 おー、流石はみんなだね。トーナメント戦に参加してたり、開催してたりで人が少ないって事もないっぽい。まぁずっと戦ってばっかだと疲れるだろうし、トーナメント戦の性質上で負ける人の方が圧倒的に多いから意外と手が空いてる人はいるのかも。

 それにある意味、今は絶好の検証チャンス? 赤の群集も青の群集も、決して余力たっぷりな状態ではないはず。疲弊してる間に、新情報を得るのは重要だしね! 俺らは疲弊し切っちゃってるけど、他の案件も伝えておこう!


 コケ    : 残りもう1件の情報! これはアブソーブ系スキルと昇華魔法に関する内容!

 オオカミ  : アブソーブ系のスキルで吸収出来る魔力値に上限がある件なら、既に把握済みだぞ。

 コケ    : なんでもう知ってんの!?


 ちょっと待って、即座にそういう反応が返ってくるとは思わなかった。でも、どこでどうやって試した……? 自身よりも使用魔力値が多い昇華魔法を吸収する手段なんて……あ、普通にあったよ。これなら模擬戦で出来るわ。


 コケ    : えーと、共生指示の並列制御での昇華魔法を利用した感じ? 

 オオカミ  : 戸惑った割に、すぐその発想を思いつく辺りは相変わらずだな。

 ヘビ2   : その方法で正解だぜ!

 ウマ    : 2人発動での昇華魔法を吸収するとどうなるかって方向性で試したんだよな。

 コケ    : あー、なるほど。そういう方向性か!


 俺は2人発動でのデブリスフロウなら吸収した事はあるけど、あれが2人発動でのウォーターフォールだったらどうなるかって内容だよな。うん、今の今までそこは意識してなかった。

 今回、俺が吸収し切れなかったのは……多分、単純にあのワニとのLv差での問題のはず。2人で発動するか、それ相応になる発動方法を使えば……そりゃ吸収出来る最大値はあっさりと超えるよ。


 オオカミ  : そういう内容だから、アブソーブ系のスキルの吸収は過信し過ぎるな。2人で発動された場合だと、威力を削げても1人分での発動相当までだ。

 コケ    : ほいよっと。そりゃ確かに要注意な内容だな。


 アブソーブ系のスキルは強力だけど、それが絶対的な性能ではないって事だね。まぁ昇華魔法に使われる魔力値を半分も吸収出来れば、残りは過剰魔力値を防御魔法に使えば凌げるけどさ。実際にそれはやったし。


 ウマ    : この辺はトーナメント戦で優勝して、氷魔法Lv10になった人が試してくれた案件だな。ほら、瘴気と浄化を併せ持つ事が出来るかどうかをやってくれた人。あれって確かコケの人からの依頼案件だよな?

 イノシシ  : あ、そういやその結果ってもう知ってんの?

 コケ    : それなら聞いたから知ってるぞー! その人がいたら、ありがとうって言っといてくれ!

 ドラゴン  : どういたしましてだな。

 イノシシ  : あ、張本人がいた。

 コケ    : って、いたんかい! まぁぶん投げた形になったけど、ありがとな!

 ドラゴン  : なに、その辺はお互い様だ! いつも情報あんがとよ、コケの人!

 コケ    : こちらこそ、どういたしましてだな! あー、それじゃとりあえずこの辺で!

 オオカミ  : あぁ、しっかり休んでおけ。

 リス    : さーて、それじゃ色々検証していこっか!

 

 もうハーレさんが寝落ち寸前だし、他のみんなも一切書き込んでる様子もないもんな。必要な報告はこれで済ませたから、みんなが強制ログアウトにならないように一旦解散して休憩しよう。てか、ハーレさんはVR機器の方から警告とか出てるんじゃね?

 

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