第1123話 成熟体のフィールドボス討伐戦 その4
正確な理由は分からないけど、今までの戦闘でワニが自己強化を使ってきてないの俺らにとって好都合! とはいえ、思ったほどの長期戦ではないけどキッツいわ!
だから、出来るだけ早く討伐を終えてしまいたい! どう考えてもこのワニは6人で挑むようなもんじゃないわ! 刻印系スキルを複数用意出来て、アブソーブ・アクアがあって、それでようやくこの戦闘だしな。下手すりゃ、ウォーターフォールで何人か死んでるっての!
あー、余計な事を考えてないで、次の準備をしていこう。とりあえず過剰魔力値は次の魔法で使用にしておいて、風音さんの龍の背中から離脱! そしてアルの攻撃が終わるのを見計らって……よし、攻撃が終わった事でサヤの刻んだ黒の刻印が消えた!
<行動値を5消費して『黒の刻印:脆弱』を発動します> 行動値 53/98(上限値使用:17)
これで物理攻撃への耐性を低下させて、この後にハーレさんの拡散投擲を撃ち込めば大ダメージだ! 刻印系スキルの効果は凄まじいけど、これは黒の刻印:消去の重要度が高い気がしてきたぞ。いや、その辺は今はいい!
「ハーレさん、拡散投擲!」
「了解です! 『白の刻印:増加』『拡散投擲』!」
やっぱり拡散投擲との相性が相当いいな、これ! ワニ自体が大きめという事もあって、最大強化になった状態の弾が何発も当たっている。これで残り3割! てか、このLvのフィールドボスのワニじゃなけりゃ、もっと楽勝に倒せてるよなー!?
「アル、少し時間を稼いでかな! 低下を刻むから!」
「おう、もう最後も最後だ! 出し惜しみは無しでいくぞ! 『並列制御』『アクアクリエイト』『アクアクリエイト』!」
あ、そうか! サヤの黒の刻印を再び刻むまでの1分間は待たないといけないけど、そこまでいけば更に弱体化を追加出来る! 頼むぜ、アル! 単独発動でのウォーターフォールだから威力は低めだけど、それでも時間稼ぎにはなるはず!
「ちっ、属性の相性が悪いか! 出てこようとしてきやがる!?」
「……大丈夫。ダメ押しで『ブラックホール』」
「風音さん、魔力値は!?」
「ふっふっふ、そんなのは大急ぎで回復すればいいだけなのさー!」
「あ、そりゃそうだ」
風音さんの背中の上にはハーレさんがいるんだから、それくらいの回復はすぐ出来るか。ウォーターフォールとブラックホールの2重で動きを封じたなら、なんとか時間は保つはず!
「サヤ、もう少しでウォーターフォールが切れるぞ!」
「……間に合って良かったよ。これは、私の竜を倒したお返しかな! 『黒の刻印:低下』!」
ん? あれ、ちょっと待てよ? 低下は魔法への耐性を下げる訳だけど、付与魔法の場合はどう作用するんだ? 効果がより効くようになる訳だから、水属性が更に強化されて、雷属性に更に弱くなる?
あー、今更考えても仕方ないし、ぶっつけ本番でやってしまえ! 失敗したら、失敗した時だ! また逃げて回って、次の攻撃チャンスを作れば済むだけ……って、それもしんどいけどな!
<行動値7と魔力値21消費して『水魔法Lv7:アクアエンチャント』を発動します> 行動値 46/98(上限値使用:17): 魔力値 269/290
<過剰魔力値の使用により『アブソーブ・アクア』は解除され、行動値上限が元に戻ります> 行動値 46/98 → 46/108(上限値使用:7)
これで再びワニに水属性の付与が完了して青い模様が3つ浮かび上がった。サヤの刻んだ黒の刻印の折れた杖と割れた盾のマークも出ている。よし、俺の出番はここまで! 残りは温存していたヨッシさんと、竜を倒されたサヤに任せるのみ!
「いくよ、サヤ! 『エレクトロクリエイト』!」
「分かったかな! 『エレクトロクリエイト』!」
そしてサヤとヨッシさんで発動したサンダーボルトが、ワニのHPを凄まじい勢いで削って……って、ちょっと待った!?
「サヤ、もしかして竜でログインしてるのか!?」
「これを狙ってたから、そうしたかな!」
「ははっ、そうきたか!」
あー、何か違和感を覚えたのは、サヤのスキルの発声がいつもと違ってたからだな。そりゃ竜の方が昇華魔法で消費する魔力値が大幅に増えるんだし、威力を求めるなら良い手段だ! ナイス判断、サヤ!
「はっ!? サヤとヨッシの方に向かってるのさー!」
「「えっ!?」」
「まだやるのか、こいつ!? 『リーフスライサー』! って、躱されただと!?」
もう死にかけなのに、最後の足掻き……って、自己強化に切り替わって空中を走りだした!? ちょ!? サンダーボルトの範囲から抜け出て、白い剣のマークが表示されつつ、銀光を放ちつつ突っ込んできてもいるじゃん!?
「アル、俺が対応するからサヤとヨッシさんのサンダーボルトの発動は守り抜け!」
「任せるぞ、ケイ! 『並列制御』『根の操作』『根の操作』!」
よし、アルがサヤとヨッシさんを守るように根で周囲を覆った。ワニが辿り着く前に俺の飛行鎧に使ってる岩の操作で可能な限りの加速をして、アルのクジラの上のサヤ達を狙いに行ってるワニの前まで移動して急停止! この速度からの急停止の反動はリアルだとヤバい気がするけど、リアルじゃないから問題なし!
こんな最後の最後で、悪足掻きしてんじゃねぇよ! てか、サンダーボルトから脱出されて倒し切れるか微妙なラインになってんじゃん!? あー、もう1手いるのかよ! だったら、これで叩き落とす!
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 45/108(上限値使用:7): 魔力値 266/290
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値2と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 45/108(上限値使用:7): 魔力値 266/290
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
魔法砲撃にして、ワニに狙いを定め……ちっ、回避行動を取ってくるか! だったら、こっちも無茶をするまで! 飛行鎧の形状を変えて先を尖らせて、その上で急加速!
<ダメージ判定が発生した為、『移動操作制御Ⅰ』は解除され、10分間再使用が不可になります>
<『移動操作制御Ⅰ』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 45/108 → 45/114(上限値使用:1)
ワニの口の中に突っ込んで強制解除になったけど、それは想定済み! これでもう回避はさせないっての! ゼロ距離からの魔法砲撃にしたアップリフトをくらいやがれ!
<『昇華魔法:アップリフト』の発動の為に、全魔力値を消費します> 魔力値 0/290
単独発動だから威力はそれほどでもないけど、俺のロブスターのハサミから伸びた土の塊で吹っ飛ばす事には成功! ははっ、サンダーボルトの効果範囲の地面にそのまま叩きつけられたみたいだし、そのままくたばっとけ!
って、落ちる、落ちる!? アップリフトの効果は長くないし、すぐに水のカーペットで――
「……ケイさん、ナイス」
「あ、風音さん。拾ってくれてサンキュー!」
ふぅ、風音さんの龍に鷲掴みにされた状態で、地味に餌として捕まったような光景な気もするけど、実態はそうじゃないからセーフ。というか、普通に助かった。ん? ハーレさんがいない?
あ、そうしてる間にサンダーボルトの効果時間が切れて……くっ、今のでもほんの僅かに倒し切れ――
「これで終わりなのさー! えいや!」
「「ハーレ!?」」
「ちょ、いつの間に地面に降りてんの!?」
「これ、爆散投擲か!」
「……万が一に備えて……拡散投擲の後にすぐに用意してた」
「マジか!?」
まさかハーレさんがそんな用意をしてたとはね! でも、これでワニのHPは全て無くなってポリゴンとなって砕け散っていった。だー! 疲れたー!
<ケイがLv8に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイが成熟体・暴走種を討伐しました>
<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『河口域の猛者を討ち倒すモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『河口域を荒らすモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイ2ndがLv8に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>
<ケイ2ndが成熟体・暴走種を討伐しました>
<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>
<ケイ2ndが規定条件を満たしましたので、称号『河口域の猛者を討ち倒すモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『河口域を荒らすモノ』を取得しました>
<増強進化ポイントを3獲得しました>
<『瘴気珠』を1個獲得しました>
えぇ!? これだけLvが上のフィールドボスを倒しても、Lv3しか上がらないのかよ! あー、でも風音さんはLv11で、他のみんなは俺と同じでLv8にはなったんだな。
とりあえず思いっきり疲れたし、全力で脱力……。えーと、戦闘時間としては15分くらいか。時間としては、ワニの場所まで移動しつつ作戦会議をしてた時間も含めて、16時半を過ぎたくらいか。……思ったよりは短い時間で済んだけど、あれだけ大技使いまくりだったのがなー。
「ともかく一旦休憩! 思ったよりかは早く終わったけど、もう集中力が無理!」
「同じくなのさー。最後は魔力集中が切れてて、焦ったのです……」
「え、そうだったのかな!? でも、ハーレ、ナイス判断だったね!」
「Lv3で発動してたみたいだしね。最後にワニがサンダーボルトから逃げ出した時は焦ったしさ」
「……あれは焦った」
「何発、昇華魔法を使わせる気だってんだよな」
「だよなー。刻印系スキルも盛大に使いまくったしさー」
Lv差が相当あったとはいえ、もう耐久性がヤバいにも程があるわ! バランス型だったみたいだから、明確な弱点らしい弱点も無かったしさ。
そんな感じでみんなそれぞれに色々言いながら、地面へと着地完了。うん、周囲を見てみたら凄い破壊の痕跡だし、降りれるとこはいくらでもあったよ。そりゃ荒らすモノの称号も手に入るか。……凄い勿体ない気がするけどな!
「サヤは俺らとはLv差が出なかったな? というか、Lv10は超えると思ってたんだが……」
「アルもそう思ったか! これ、一度に手に入る経験値に上限があるんじゃね?」
「……なるほど、その可能性はあるか」
「あはは、それなら私は削られても上限以上あったから意味が無かったって感じかな? 竜を戻してきて正解だったかも?」
「それならラッキーなのさー!」
「そうかもね。あ、そうだ。応用魔法スキルの『雷魔法』は無事に手に入ったよ」
「お、ちゃんと取得になってたか!」
出来ればヨッシさんに氷属性の応用魔法スキルを取らせてあげたかったけど、流石にそこまでの余裕は無かったんだよな。まぁ初めに目的として設定したものが取れたのなら、それでよし!
「私は応用連携スキルの『連投擲・拡散』を手に入れたのです!」
「なんかエゲツない性能をしてそうだな、それ。俺の方は応用連携スキルで『連旋・重突撃』が手に入ったぞ」
「みんな、目的のものは手に入ったって事かな!」
「……それなら良かった」
「だなー。でも、荒らすモノの称号は勿体なかった……というか、地味に『強者』じゃなくて『猛者』に変わってたのがびっくりしたぞ!」
「ヨッシが考えてたのが、大当たりだったのさー!」
「あはは、本当にそうなるとは思わなかったけどね。これ、未成体のフィールドボスと成熟体のフィールドボスで変わるって感じ?」
「どうだろうな? その辺は検証してみないと何とも言えん」
「まぁそうなるよね」
その辺は気になるところではあるけど、アルの言う通り検証してみないとはっきりしない部分だもんな。根本的に成長体Lv20の個体をこっちに持ってきて未成体のフィールドボスの誕生が出来るかを試してみないとね。
逆に未成体Lv30の瘴気強化種なら今までのエリアの方まで持っていけるのは確定してるから、そっちで成熟体のフィールドボスの誕生は可能? いや、でもまだ成熟体のフィールドボスの誕生の方法がわかってないよな。まぁ露骨に怪しいアイテムが手に入ってるし、その辺の確認をしていこうか。
【ステータス】
名前:ケイ
種族:同調激魔ゴケ
所属:灰の群集
レベル 5 → 8
進化階位:成熟体・同調激魔種
属性:水、土
特性:複合適応、同調、魔力強化、魔法耐性、属性強化
群体数 462/10400 → 462/11150
魔力値 0/290 → 0/302
行動値 45/115 → 45/121
攻撃 107 → 113
防御 185 → 194
俊敏 134 → 140
知識 308 → 326
器用 356 → 380
魔力 451 → 478
名前:ケイ2nd
種族:同調激強ロブスター
所属:灰の群集
レベル 5 → 8
進化階位:成熟体・同調激強種
属性:なし
特性:打撃、斬撃、強靭、堅牢、同調
HP 6572/13850 → 6572/15200
魔力値 138/138 → 138/144
行動値 105/105 → 105/111
攻撃 448 → 472
防御 408 → 432
俊敏 346 → 367
知識 102 → 108
器用 135 → 144
魔力 70 → 73
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