第970話 今のグラナータ灼熱洞
「おらよ!」
「アル、ナイス!」
グラナータ灼熱洞で戦闘中だけど、今ちょうどアルが最大強化になった連続体当たりでネズミを撃破した。討伐報酬が出ないって事は、このネズミは残滓か。
「ハーレ、今度はスイカにいくよ! 『トキシシティ・ブースト』!」
「了解なのさー! 『魔法弾』!」
「溶解毒の『ポイズンインパクト』!」
「いっくよー! 『連投擲』!」
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
「おぉ、やったのです!」
「ハーレ、ナイス!」
「ヨッシこそ、毒が強くなってるのさー!」
よし、ハーレさんとヨッシさんの連携でスイカも撃破。ウォーターフォールとアルのクジラの攻撃でかなりHPが削れてたとはいえ、ヨッシさんの毒の効果もとんでもないな。
とりあえずこれで残る敵はカンガルーとカタツムリか。思った以上に早く片付きそう。てか、純粋にアルが強くなってるなー。
まぁアルはここの適正Lvは超えちゃったんだろうしね。いや、そもそも未成体でのLv上限になってて、進化しないとLvが上がらないんだから適正も何もない気がする? ……そこは気にしても仕方ないか。
「……これ、私の出番あるのかな?」
「あー、なんか討伐の勢いが早くなってるもんな」
この勢いで倒していたらサヤのチャージの出番はない可能性は否定出来ない。そうなったらそうなったで仕方ない気もするけど、それだとチャージ損だよなー。
でもそろそろウォーターフォールの効果が切れそうだし、まだカンガルーとカタツムリのHPはそれなりには残ってる。これなら出番がないって事もないか。
「あ、チャージが終わったかな」
「サヤ、残り2体は任せたぞ! おらっ!」
「あ、出番はあったかな! 任せて!」
アルがクジラの尾びれでカタツムリを弾き飛ばし、それをサヤが眩い銀光を放つ爪で斬り裂いていく。
おー、アルの弾き飛ばす狙いも、サヤの爪での振り下ろしもピッタリなタイミング! 綺麗に決まって、HPが全て消し飛んでポリゴンとなって砕け散っていった。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
これで残すところは、カンガルーのみ! あ、ウォーターフォールの効果が切れて、マグマの中へと逃げ込もうとしてる!? ここは、アルの木の根の出番!
「アル!」
「分かってるよ! 『根の操作』!」
「これで、終わりかな!」
アルの木の根で逃げるのを止められたカンガルーに、サヤもう1つのチャージで斬り裂いていく。おー、綺麗に爪での斬り傷をつけて、カンガルーのHPが無くなってポリゴンになって砕け散っていったね。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<『特性の実:マグマ適応』を1個獲得しました>
おっと、こいつも瘴気強化種だね。あー、そういや今日は定期メンテ明けだから、残滓が瘴気強化種になって増えてるタイミングかー。全く残滓がいない訳じゃないけど、その方が経験値は多いしありがたい!
そしてこのエリアでの必須アイテムもゲット! さて、とりあえず1戦目は終わりで、経験値はそこそこってとこか。もうちょい奥に行かないと、ここでは効率がちょっと悪そう。
「今更といえば今更なんだけど、爪で使う断刀と重硬爪撃ってどうも見分け方がよく分からないんだけど、分かりやすい違いってあったりする?」
「その違いなら、見た目じゃなくて鋭利さの違いかな。断刀の方が切断性能は高いけど硬い敵には通りにくくて、重硬爪撃はその辺は打撃寄りになるから少しマシだね。まぁどっちも斬撃ではあるから、硬い敵にはあんまり向かないけど……」
「あー、そういう違いなのか」
まぁ硬い敵には根本的に斬撃系統の攻撃は効きにくいよなー。それこそそういう敵は魔法に弱いから、魔法で相手をする方が良いタイプ。
「さてと、移動するぞ。『根脚移動』!」
「ほいよっと」
「途中で敵が出てきたら、私とハーレで対応するかな!」
「そうするのさー! そんなに消耗してないもんねー!」
「サヤ、ハーレ、お願いね」
さて、それじゃどんどん奥へと進んでいくぞー! 目的地は、テスト前には見れなかった間欠泉のグラナータ灼熱洞側の場所!
とりあえず移動中に俺とアルはレモンを食べながら、魔力値の回復。アルの魔力値は間違いなく増えてるし、俺の魔力値も初めてグラナータ灼熱洞に来た時よりも少なからず増えてるもんな。これ、成熟体になったらもっと魔力値は増えるだろうし、威力ももっと上がりそう。
そして移動は巣に入っているハーレさん以外は基本的に自力の徒歩移動。ここは飛ぶと危ない……いや、フェニックスはどういう状態なんだろう? 狙われてるのは確実として、それはどこで……?
あー、途中で通る事になる定位置で狙われてたりしそうだな。まぁ移動の最中にルート的に通るし、そこで見ていこうっと。そこにいなければアルに聞けばいいや。
「てか、行動値は余裕ありまくりだし、途中の敵相手なら俺も戦うぞ? 魔力値は空っぽだけど……」
「危なそうならお願いするかな。でもケイは魔力値の回復を最優先かな!」
「ここでウォーターフォールは一番のダメージ源だもんねー!」
「そういう事なら了解っと」
ぶっちゃけその心配はいらない気もするけど、さっきの戦闘じゃウォーターフォールを発動してただけだしね。アルのクジラが強化されて、普通にウォーターフォールから出てきた敵を叩き込むのをやってたから、する事がなかったとも言う。
昇華魔法を使いながらでも、共生相手側ならああいう風に動かせるというのは分かった。……いや、待てよ? あれは共生進化だからなのか?
「アル、ちょっと質問」
「ん? どうした、ケイ?」
「いや、さっきの昇華魔法と応用スキルの同時発動についてなんだけど……もしかして木の根で繋がってる程度なら、共生進化側は自由に動ける?」
「あぁ、その件か。ま、ケイが考えてる通りだな ただし、根下ろしをしてる時限定でだが」
「そうなのかな!?」
「あー、やっぱりか。そうなると、支配進化や同調とかもか?」
「そっちも正解だ。ただ完全に木が無防備になるし、根に攻撃されても昇華魔法はキャンセルされるから対人戦向きじゃないぞ」
「……なるほど」
ふむふむ、この辺は木の固有の優位性ではあるけども、それと同時に弱点でもあるか。確かにこれは普通の敵、良くてもフィールドボス辺りまでが限界だね。対人戦だと、デメリットの方が大きくなりそう。
なんかこれを対人戦で有効活用が出来る手段はないかな? 見方を変えてみれば、根で有線化した遠隔同調みたいなもの? あー、でも遠隔同調みたいに視界は分割はされないだろうから、微妙に違いはありそうか。
「ケイ、何か有用な対人戦での使い方を思いついたかな?」
「……また声に出てた?」
「ううん、今のは出てなかったかな。でも、考えてそうな気はしたけど、当たってたよね?」
「考えてたのは大正解。だけど、何も思いつかない……いや、待てよ?」
このままだと使えないのは間違いないけど、あくまでもこのままならだ。アルは支配進化をするんだし、その先の同調に至るのならば……。
いや、実行するのはアルに限定する必要はないのか。条件を満たせれるのは決してアルだけじゃないはず。
「ケイ、何を思いついた?」
「その前にアルに確認。そのさっきのアルの使い方、他の群集は知ってる?」
「あー、ここで青の群集の人が使ってるのは見た事があるぜ?」
「よし、それならいける可能性がある!」
「お、マジか! どんな内容だ?」
「流石に聞こえたら嫌だから小声でにしよう。サヤ、ハーレさん、他のプレイヤーがいないか見といてくれるか?」
「聞かれないように警戒かな?」
「そういう事なら、任されました!」
サヤとハーレさんに周囲の警戒を任せて、少しだけ足を止めて、小声で素早く話してしまおう。アルの樹洞の中に入るって手段も考えたけど、それは明らかに不自然さがあるからね。共同体のチャットだと流石に周囲への警戒が薄れ過ぎるので無し。
「あ、ちょうど良いタイミングでワニが出てきたかな!」
「これなら足を止めるのも不自然じゃなのです!」
「それじゃ、私も警戒しておくね!」
「おう、頼んだぜ!」
「みんな、よろしく!」
ほんと良いタイミングで通路を移動している時にマグマの中からワニが出てきてくれたもんだ。グッジョブだ、ワニ! とりあえず少しだけ時間稼ぎをして、その後死んでくれ。
これなら小声にさえしておけば、早々他のプレイヤーに怪しまれる事もない。まぁまだそんなに他のプレイヤーは見てないんだけどね。……なんだか情報共有板がどうなってるのかが少し気になってきた。いや、それは今考える事じゃないな。
「で、どういう内容だ?」
「さっきのあれをフェイントに使う」
「……は? いや、フェイントってどういう事だ?」
「んー、そうだな。アルなら、対人戦でさっきのを使われてたらどうする?」
「あー、遠距離から狙いやすい繋がってる根の部分……それも木側の方を狙うな。それで昇華魔法をキャンセルして、一気に攻撃して潰す」
「その間、根の先に繋がってる方……アルの場合なら、クジラの対処はどうする?」
「そんなもん、根で繋がってるんだから、届かない位置まで離れて……あぁ、フェイントってそういう意味か。なるほど、だから他の群集がこの手段を知ってるかの確認か。これ、遠隔同調を思考操作で発動が必須だな」
お、アルも俺の意図した内容に気付いてくれたみたいだね。まぁこの辺は他の群集の人が思いついてる可能性もあるから、俺らが実行に移さなくても、要警戒情報として認識してもらうだけでもかなり違うはず。
俺と同じで未成体から同調になってて、そのまま引き継いで成熟体に進化した場合なら近々始まる競争クエストで使われる可能性も否定出来ないからね。ジェイさん辺りはこういう作戦を考えてくる可能性は充分ある。
「まぁ、そういう事。アルの反応的にこの手段は想定してなかったろ?」
「……まぁな。俺で仮定するなら遠隔同調を思考操作で発動して、木を狙ったプレイヤーの隙をクジラの方で狙おうって内容だよな? 少なくとも灰の群集でその案は、俺の知る限りでは見た事はないぞ」
「よし、それじゃこの手段は警戒情報としてまとめ情報に上げとこう。自分達で使うにしても、どこかに使われるとしても、この辺の可能性が頭の中にあるかどうかで対処が変わってくるしな」
「……だな。それじゃ、今のうちにすぐにまとめに上げておくわ」
「アル、任せた!」
さて、競争クエストが明確に近付いてきているからには、その辺の戦略とかもしっかりと考えておかないとね。
今回は赤の群集も青の群集も、油断出来ない。いやまぁ、青の群集は元々油断出来ないけどさ。……前回の総力戦でアルは斬り落とされそうだったし、俺も毒に殺されかけたしね。
てか、ヨッシさんがトキシシティ・ブーストを使えるようになって思ったけど、植物系の種族の天敵だよ、あれ! ……何か対策を考えとかないとなー。
「これで終わりかな! 『連閃』!」
<『特性の実:マグマ適応』を1個獲得しました>
おっと、サヤがワニを仕留めたらマグマ適応の特性の実が落ちたね。そういや、今のみんなのドロップ数はどうなってるんだろ?
「サヤ、お疲れー! ところで、みんな。マグマ適応の特性の実は拾えた?」
「私は1個拾ったのさー!」
「私は0個かな?」
「サヤと同じく0個だね」
「よし、まとめに情報は上げたぞ。あー、俺は1個だな。そういうケイはどうだ?」
「俺は2個だけど……まだ足りてないか」
もしかしたら全員分が揃ったかと思って期待したけど、そう都合良くはいかなかったかー。俺のロブスターの纏火って、時折ハーレさんがヨダレを垂らして見てくるから早めにそっちに切り替えたいんだけどね。
まぁまだ人数分が揃ってないなら仕方ない。纏火の効果時間にはまだ余裕があるし、その間に人数分が確保出来てからで良いや。
「あぅ……まだ全員分には1個足りないのです……」
「奥で狩る場所を固定してからの方が時間も分かりやすいし、そこまでに手に入れば問題ないんじゃないかな?」
「その方がタイムリミットも分かりやすいもんね」
「はっ!? 確かにそうなのです!」
「ま、誰かがもう1個手に入れた時に申告して、狩場を決めた時に使用でいいだろ」
「だなー。よし、それで決定!」
「それじゃ、移動再開なのさー!」
「「「「おー!」」」」
という事で、内緒話も含めて出てきた残滓のワニの撃破も終わったので移動再開である。さーて、とりあえず更なるグラナータ灼熱洞の地下へと向けて進んでいこう!
その途中にあるフェニックスの定位置にも立ち寄って様子を見ていかないとね。あの成熟体のフェニックス、今どういう状況になっているのかが非常に気になる。
多分、アルに聞けば教えてくれるだろうけど、間欠泉の場所に行くまでにはそこを通る事は確定なんだ。事前にどういう状況かを聞くよりも、実物を見る方が良いだろう。
場合によっては、成熟体に進化したプレイヤーも見れるかもしれない。……安定してきているとは言ってたけど、成熟体のプレイヤー同士の戦闘に巻き込まれないようにだけは気を付けようっと。
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