第875話 同族統率の強化について


 手早く報告を済ませるつもりだったけど、ヨッシさんが活用出来そうな同族統率の情報をレナさんが仕入れてきた。これを聞いたら、とりあえず情報収集は一旦終了だね。


 リス    : それじゃわたしが仕入れてきた情報を伝えていくよー!

 ハチ    : よし来た!

 ネズミ   : 待ってました! 内容次第では、スキルLvを上げてくぜ!

 バッタ   : お、興味深い内容だな。

 ネズミ2  : 少し期待。

 イルカ   : 興味はあるけど、試してなかった人が多かったみたい?

 草花    : あはは、そうみたいだねー。

 キツネ   : まぁ主力や、サブの戦力になるスキルが優先にはなるもんな。


 うんうん、確かにスキルのLv上げの為の熟練度稼ぎはどうしても時間が必要になるもんね。俺は次の進化に必要なスキルLvまでは上げきったけど、それでもロブスターの方はまだ上げる余地はありそうだしさ。

 そういう意味で考えると、どうしても優先度が下がってしまうスキルが出てきてしまうのは仕方ない。それでもそれを育てている人がいたのと、その人から情報を得てきてくれたレナさんには感謝だね。


 リス    : まず先に結論から言っておくと、2種類あるね。まず1つ目が昇華とかに相当する強化用のスキル『同族増加Ⅰ』だね。これは生成する統率個体を1体増やすのと、統率個体が倒された場合に再生成する時間が短縮されるスキルだって。


 ハチ    : という事は、ボスはそのスキルを持っていて4体まで統率個体を生成してた訳か。

 木     : なるほどな。生成数が増えて、再生成までの時間が短縮されるなら、多少は使い勝手は良くなりそうだ。

 ネズミ   : でも、これだけじゃまだ物足りない気はするが……リスの人、昇華に相当って事は同族統率がLv6になれば良いのか?

 リス    : うん、そうだよー! 同族統率がLv6になれば称号『威厳ある統率をするモノ』と一緒に手に入るってさー。 そして、ここからが重要。元々統率の特性を持ってなければ同族統率は使えないんだけど、未成体になっていれば4体同時に生成したタイミングで上位互換の応用スキルが取得になるそうだよー!


 ハチ    : そこの応用スキルについて詳しく!

 ネズミ   : まさか、同族統率の応用スキル版があったのか!?

 バッタ   : 特性で統率が持ってるけど、ポイント取得でそんなのは見た事ないぞ!?


 木     : なるほど、ポイントでは取れない応用スキルもあるのか。

 草花    : これだと、他にもあんまり検証出来てないスキルに似たようなのもあるかもねー!


 サル    : まぁその辺は追々考えようぜ。とりあえず今はリスの人の情報を聞こう。

 木2    : だな。リスの人、続きを頼む。


 こりゃ、思った以上に興味深い情報になってきた。でも、今のヨッシさんに昇華相当のスキルの熟練度稼ぎを追加は厳しい気がする。まだ電気の昇華には至ってないしさ。

 うーん、これは具体的な内容を確認してからにはなるけど、ヨッシさんに電気の昇華を取るか、同族統率の昇華相当の強化を取るか、選んでもらう必要があるかもなー。


 リス    : それじゃ続きねー! その上位互換の応用スキルの名前は『強化統率』ってなってて、スキルLvの10倍のLvの本体と同じ進化階位の統率個体を生成出来るようになるってさ。


 バッタ   : え、それって未成体ならスキルLv1でも未成体Lv10の統率個体を誕生させられる……?

 ハチ    : その仕様だとLv2になれば、今の状況なら凄い戦力になるんじゃ?

 ヘビ    : でも、それだと強力過ぎねぇ? どっかにデメリットがありそうな気がするんだけど。


 イノシシ  : 確かにそうだな。スキル強化の種を使えば、1人でLv20の未成体を4体生成出来る事になる。……消費行動値はどうなっている?


 リス    : あはは、そこはご明察! 1体生成するのにLv1でも行動値が10必要で、1体増やす毎に更に10ずつ消費していくってさ。Lv2ならその倍だね。それと一応未成体にはなるけど、本体のステータスの7割程度の強さだってさ。


 なるほど、行動値の消費を多くする事でバランスを取ってきているんだな。数を増やせば手数は増えるけども、今度はそれ以外のスキルに回せる行動値が一気に減ってしまう訳だ

 そして生成された統率個体は、Lvが上がっても本体よりも質は落ちる。……このバランスの感じだと、Lv1からLv2には中々上がらない設定になってそうな気がする。

 うーむ、絶妙に使い所はありそうだけど、制限もそれなりにあるか。この辺は戦闘の状況によって使い分けをしろって感じだな。


 コケ    : 同時に最大数の生成をしようとしたら行動値の半分が無くなるなら、1体ずつ使うのが良さそうだね。ちなみにそれって操作精度は?

 リス    : 普通の雑魚敵の動きと同程度らしいよー。

 木3    : なるほどな。最大数を使うよりは、数を絞って陽動に使うのが良さそうか。……いや、ケースバイケースか。

 リス    : うん、わたしもケースバイケースだと思うねー!


 この応用スキルの『強化統率』には有用性は間違いなくある。ただ、クセが強いのは間違いないな。

 でも、どうするかを決めるにはヨッシさん次第にはなる。まぁ即座に決めなきゃいけない訳じゃないし、ヨッシさんの場合はウニはそれほど強化してないからハチに集中するって方向性もあるしね。


 ハチ    : よし、その辺の実用性についてはちょっと検証してみるか。

 ネズミ   : ハチの人、その検証は付き合うぜ。

 イカ    : あー、俺も2ndを作って参加してもいいか? 見学になるだけかもしれんが、俄然興味が湧いてきた。


 ハチ    : おっしゃ、それじゃ同族統率の強化の検証をやってくか。希望者はミヤ・マサの森林のミヤビの前に集合な!

 イカ    : ちょ、俺は今から2ndを作るんだが!?

 イノシシ  : それなら俺はちょっと暇してるから、妨害ボスの討伐はしてやるよ。待ってるから、声をかけてくれ。

 イカ    : おっ、それは助かるぜ、イノシシの人!


 どうやら同族統率に関する検証……この場合は再現の検証になるんだろうね。とりあえずそこの検証が動き出すみたいだし、情報の精度は上がっていくだろうな。


 コケ    : さて、報告は終わったし、興味深い内容も聞けたから、そろそろ離脱するわ!

 木3    : それもそうだな。

 ヘビ    : コケの人、木3の人、報告ありがとな! さーて、さっき死に戻って来たとこだが、スクショを撮りに向かいますか!


 リス    : 折角だし、スクショの演出とかやらないー? 新発見の発火草の群生地のスクショ、今日撮りに行かないのは勿体ないよねー。

 リス2   : あー!? 何か面白そうな話をしてるー!? そういう事なら、灰のサファリ同盟から、スクショの撮影会を開催したいんだけど、どう?


 ヘビ    : お、そりゃいいな!

 草花    : どうせなら他の群集も巻き込んで、やっちゃう? 青の群集には既にバレてる可能性は高そうだしさ。


 リス    : んー、それならその辺の探りはわたしがしてくるよ。それで既に知ってるみたいなら、他の群集の部門に混ざる機会を増やすって条件で交渉してきてもいいよ?


 リス2   : うん、それが出来そうならお願い、リスの人。スクショは最終日だし、駄目と言う可能性は低いと思うしね。私は灰のサファリ同盟の方の調整をしてくるねー!


 ふむ、これは灰のサファリ同盟の……多分ラックさんが様子を見に来た事で大掛かりな事になりそうな予感。

 後から他の群集も交えた大人数のスクショの撮影会になって、それに参加するのもありだけど、その前に他にプレイヤーがいない状況でスクショを撮っておきたいな。


「よし、情報収集は完了! アル、この後すぐに上に行くってどう思う?」

「……Lv上げの時間は少し減るが、まぁ悪い選択肢じゃねぇと思うぜ?」

「え、どういう事かな?」

「それは今から説明する。ハーレさん、ヨッシさん、その場で待機しといてくれ。俺らも今からそっちに向かって、合流したら話の内容を伝えるからな」

「了解なのさー!」

「……情報共有板で、ここに関する動きがあったんだね?」

「ま、簡単に言えばそういう事。時間が惜しいから、移動しながらでな!」

「うん、分かった」


 よし、そうと決まれば即座に移動開始だな。……うん、ちょっと強引な移動手段も考えたけど、今は大人しく普通に洞窟を抜けよう。


「アル、クジラで木を引っ張りつつ、サヤにも引っ張って貰うのは可能?」

「あー、多分問題ないぞ。てか、それは久々だな」

「私の出番かな!」

「それじゃサヤの牽引で、一気に洞窟を抜けるぞ!」

「分かったかな! 『略:大型化』『略:魔力集中』『略:ウィンドクリエイト』『略:操作属性付与』! アル、クマの胴体に根を巻きつけてかな!」

「おうよ! ちょっと頑丈にしとくか。『並列制御』『根の操作』『根の操作』!」


 よし、これでクジラの前にサヤの大型化した竜が移動の待機をしている。あ、この状態だと、アルが根で歩くのが大変かもしれないね。それなら、そこも補助していこうか。


「アル、俺が岩の足場を作るから、木はその上に登ってくれ。その方が根脚移動よりは早いだろ?」

「あー、折角の提案だが、却下させてもらうぜ、ケイ」

「え、なんで?」

「最近やってなかったが、前にルストさんに教わった根での高速移動もたまには使わねぇとな?」

「あー、なるほどね」


 そういやアルは前にルストさんの移動のコツを教わってたもんな。今の状況はそれを使うのにうってつけの状況ではあるか。


「そういう事なら、アルとサヤに任せた!」

「任されたかな! アル、行くかな! 『略:突撃・風』!」

「うぉ!? 思った以上の急加速だが、これならいけるぜ!」


 サヤの竜の突撃による加速に合わせて、地面の凸凹部分に根脚移動の根を引っ掛けて跳ねるように移動をしていく。

 確かルストさんが教えてくれたコツは、前方の地面に根を引っ掛けて引っ張っていくのと、後方の部分にデコピンの要領で一気に推進力を得るのを同時に行う事だっけ。うん、アルが地面を走って高速で移動するのは久々だけど、これはこれでありだね。



 そうして少し進めば、あっという間に洞窟の入り口へと辿り着いた。よし、ここからは俺の出番だな。……ヨッシさんもハーレさんも特に問題があるようには言ってなかったけど、不意に当たって解除になっても嫌だから通常発動の水のカーペットにしようっと。


「アル、俺が水のカーペットを用意するから、元のサイズに戻っといてくれ」

「あー、このままでも良い気はするんだが?」

「そこはなんとなく気分の問題! 今の状態だと飛んでる感が薄いじゃん」

「……確かにそりゃそうだ。おし、それなら小型化解除っと」

「私も大型化はもう良いかな。大型化解除で、『略:小型化』!」

「お、サヤは小型化にしたんだ?」

「あはは、まだ小型化の進化の為の推測条件が達成出来てないからかな」

「あー、なるほどな」


 成熟体での小型化の進化には小型化Lv3が必要だという推測だけど、まだサヤはそれを達成出来ていないならそこは優先していくべきではあるよね。

 その割には今日は大型化での突撃も多かったけど、あれはさっきも役立っていたもんな。ま、まだ時間はあるし、そこら辺はじっくりと確実にやっていこうじゃないか。


 とにかく今は俺がやるべき事をやっていこう。まぁぶっちゃけこれはアルにやってもらっても良いんだけど、今はちょっと俺がやりたい気分。


<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 79/80(上限値使用:1): 魔力値 219/222

<行動値を3消費して『水の操作Lv6』を発動します>  行動値 76/80(上限値使用:1)


 よし、手動版の水のカーペットの生成完了! これを大きさを元に戻した浮いているアルのクジラの下に移動させてしまえば準備は終了だ。これで空中浮遊での高さ制限を越えて、上空へと飛んでいける。


「それじゃちょっと寄り道が長くなってるけど、岩山の頂上に向けて出発!」

「……思いっきり脱線してるよな」

「あはは、まぁそうかもしれないけど、これはこれで楽しいから良いんじゃないかな?」

「ま、そりゃそうだな」

「楽しんでなんぼのもんだよな!」


 今日の主目的はLv上げではあるけども、途中で参加出来そうなスクショの撮影会があれば参加するという事にもなっている。

 それと似たようなものだと考えたら、特に問題はないよね。そもそも義務付けらてる訳じゃないんだから、みんなの同意が得られたなら自由に楽しむのみ!


 そうしてサヤと俺はアルのクジラの背の上に乗って、一気に妙に高い岩山の頂上に向かって飛び上がっていく。……それにしても、間欠泉ってこんな高いとこまで噴き上がるもんなのかな?


「ヨッシさん、ハーレさん、そこって高度はどんなもんなんだ?」

「んー、多分そこまで高くはないと思うよ。周りは高い岩壁に囲まれてるしね」

「私が下から登った感じでも、そこまで高くはないのさー!」


 ふむ、なんとも微妙に違和感が拭えない話だね。そんな地形だったなら、いくら岩で塞がれていたとしても気付かないとも思えない。

 んー、何かしら誰かの意図が絡んでいるような気もするなー。可能性としては青の群集が見つけて、岩壁部分を崩したとか? でも、そんな隠し方をするメリットってあるんだろうか?

 うーん、ゲームとしてのゲーム的な地形って可能性も充分あるし、誰かの意図があるというのは考え過ぎなのかもなー。


 さて、そんな事を考えているうちに頂上が見えてきた。とりあえず今は余計な事は考えずに、発火草の群生地を見に行きますか!

 

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