第804話 Lv上げの為の討伐
さて、ちょうどいい感じに現れたアンコウを実験台にやっていこうじゃないか。てか、アンコウ相手は地味に辛酸を舐めさせられてるから容赦はしない! 確実にこのアンコウは常闇の洞窟にいたのとは別個体だけどな!
でもあのアンコウって倒したような気もしないでもない……? あれ、どっちだっけ? あー、どっちでも良いか。実験台も経験値も必要なんだし、このアンコウの役割はそれで充分!
「みんな、ちょっと試したいから先にやらせてくれ!」
「おう、行ってこい!」
「万が一の時はフォローするのさー!」
「ケイ、ファイトかな!」
「上手くいくといいね」
さて、コケの核が敵に触れないと養分吸収は効果がないから、飛行鎧で近付きつつその対策もしていこうか。
<行動値を4消費して『増殖Lv4』を発動します> 行動値 57/71(上限値使用:8)
行動値はまだ全快はしてないけど、みんなもそれなりに回復してるだろうからこれだけあれば試すには充分! まず、増殖でロブスターのハサミの表面を覆っていこう。
うーん、コケで覆ったのはハサミの上側だけだけど、とりあえずこれでいいか。下手に全体を覆えば、コケで打撃が滑る可能性もあるからな。おっと、再使用時間も過ぎてるし、こっちも使っとこうか。
<行動値上限を3使用と魔力値6消費して『魔力集中Lv3』を発動します> 行動値 57/68 → 57/68(上限値使用:11): 魔力値 212/218 :効果時間 14分
よし、これで近接での戦闘準備は――
「ケイさん、正面から攻撃です!」
「……はい?」
え、ハーレさんからそんな危機察知の報告を受けたけど、そんな攻撃の様子は……って、周囲の海水がなんか乱れてるぞ!? よく見てみたら……何か見えないものが周囲の海水を押し退けて、俺の方に迫って来ている?
あ、これってもしかして海水魔法……シーウォーターボールか! ちっ、3ヶ所乱れているのに気付いて2つは避けれそうだけど、1つは避け切れそうにない……。あ、方向が同じじゃないから魔法砲撃じゃないだろうし、避けなくてもこれで良いのか。
<行動値を2消費して『魔法吸収Lv1』を発動します> 行動値 55/68(上限値使用:11)
よし、さっき増殖してコケの核をハサミの表面に移動しておいたおかげで魔法を吸収出来た! でも、完全には吸収し切れずにちょっとダメージは負ったね。ま、軽微なもんだけど。
そういやなんでスキルLv1なのに行動値を2も消費……って、そういやLv×2の消費が仕様だったっけ。ふむ、近接をやるならロブスターのスキルだけでなく、コケの近接スキルと色々組み合わせるのもありか。
この際だから、色々試してみますかね。ま、危なくなってもみんなが後ろに控えているし、多少の無茶をしても問題ないだろ。
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 54/68(上限値使用:11): 魔力値 211/218
うへぇ、あんまり魔法吸収じゃ魔力値は回復してない……。まぁまだスキルLv1だからそこは仕方ないかとして、それじゃ反撃といきますか!
「おい、ケイ? 何をするつもりだ?」
「ちょっと魔法と近接攻撃のコンボを試してみる!」
「おーい、養分吸収の実験じゃなかったのか? まぁいいけどよ」
なんかちょっとアルが呆れてるようだけど、そっちはそっちで後で試すのみ。おっと、呑気にしてたら折角生成した岩が無駄になっちゃうな。
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値を19消費して『岩の操作Lv4』は並列発動の待機になります> 行動値 35/68(上限値使用:11)
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値を8消費して『連殴打Lv4』を発動します> 行動値 27/68(上限値使用:11)
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
これで右のハサミの先に少し短めの岩の剣を生成し、左から右へと横に薙ぎ払うように連殴打の勢いを利用してアンコウを切り裂いていく。……ふむ、岩の大剣の部分には魔力集中の効果はかからないけど、連殴打の威力は上がっているからその分で初速の恩恵はありか。
そこからあえて岩の操作での減速はせずに、ロブスターを横に回転させつつ左側のハサミでさっきの斬撃と同じ方向に連殴打の2撃を叩き込んでいく。
邪魔にならないようにロブスターの尻尾は丸めて1周回って、3発目は岩の操作で加速させた岩の大剣での斬撃を再び繰り返し、その後に再び左のハサミで思いっきり殴っていった。ふむ、これは飛行鎧の岩も使って動きの補佐をすれば連撃の速度が上げれるか?
「……ケイがまた無茶苦茶な事をしてるな」
「これこそ、いつものケイさんなのさー!」
「回転しながら、遠心力を使って連撃は面白そうかな」
「あ、サヤが食いついたね」
「あはは、あれは気になるやり方かな。あ、でも私だとケイの岩の操作みたいな事は出来ないよね」
「サヤ、それなら竜だ、竜!」
「あ、竜で引っ張れば代わりになるかな! ケイ、後で試してみるね」
「……普通にこっちの会話に混ざって来るんだな、ケイ」
「いや、今のは思いつきだったけど意外と余裕だったもんでさ」
「……なるほどな」
ぶっちゃけこのゲームで酔いそうな無茶な挙動をしても酔わないようにはなってるから、方向感覚さえしっかりしていればこれくらいの挙動はどうって事はない。
それなりには削ったけど、HPは半分以上残っているから思った程のダメージでは無かったか。最後の方は岩の操作で加速させたけど、通常スキルである連殴打の方の威力がそれほど強力ではなかったし、大半は岩の大剣で斬ったダメージなんだな。
この手段で威力を求めるなら応用スキルの連強衝打を使いつつ、ちゃんと連撃数を稼ぐ為に岩の操作で大剣を作るのではなく加速のみに留めておくべきか。……それにはまず連撃の強化の為に連鎖増強Ⅰがあった方が良いから、目的は結局そこに行くねー。
「てか、ケイ? まだアンコウは……朦朧にはなってるみたいだが、生きてるけど良いのか?」
「養分吸収だけしてくるから、後は任せる!」
「あー、了解だ。それで残りは誰がやる? 残りHP的には全員でなくても良いだろ」
「はい! 今回は私がやりたいです!」
「それならハーレに任せるかな」
「私とサヤは次の敵だね」
「なら、ハーレさんに任せるか。ケイ、それで良いよな?」
「問題なし! ハーレさん、任せるぞー!」
「お任せなのさー!」
さて、ハーレさんがトドメをさすことに決まったし、朦朧になっているアンコウに向けて追撃といこう。えーと、普通にスキルなしでコケを当てて養分吸収をしても良いんだけど、ここはやっぱりコンボを狙おうじゃないか!
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値を4消費して『連殴打Lv4』は並列発動の待機になります> 行動値 23/68(上限値使用:11)
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値を4消費して『養分吸収Lv2』は並列発動の待機になります> 行動値 19/68(上限値使用:11)
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
これでよし! とりあえずこれでロブスターのハサミの上部にあるコケがアンコウに当たるように、下から振り上げて殴る!
って、あれ!? 打撃が当たる瞬間と養分吸収のタイミングが合わなかった……? え、これって絶妙にピンポイントでコケの核を当てる必要があるっぽい? くっ、俺の近接の命中精度はそこまで良くないぞ。
ここは仕方ないか。とりあえず左側のハサミでアンコウをぶん殴り続けながら、右のハサミにあるコケの核をアンコウに触れさせて……よし、さっきは外れたけど、吸収には少しの猶予時間はあるみたいだな。
とりあえずこれで養分吸収の効果が出始めたはず……。ま、効果がかかってすぐには実感はないけどね。よし、俺の出番はここまでで行動値の回復に戻るか。
「ちょっと失敗もあったけど、残りはハーレさんに任せた!」
「了解です! あ、ケイさん、ちょっと試したい事があるからアースインパクトを2発下さい! 『魔力集中』『並列制御』『魔法弾』『魔法弾』!」
「……アースインパクトを2発? あー、なるほど、そういう感じの実験か。それなら了解っと」
魔力値はまだまだあるし、行動値も敵相手に養分吸収を使えば目に見えて回復速度が上がっているから、アースインパクトを2発使っても問題はない。
ハーレさんは並列制御で魔法弾を2つ発動して、リスの両手を広げて待機中。そういう使い方が実際に可能なのか見ておきたいとこだな。いや、それならいっそこっちの方が面白いか?
「ハーレさん、意図は分かったけど、片方はアルのアクアインパクトでもいいか?」
「はっ!? それはそれでありなのです!?」
「確かにそれは面白そうじゃねぇか。よし、乗った! いくぜ、ハーレさん! 『アクアインパクト』!」
「ありがとです! ケイさんもよろしくなのさー!」
「ほいよっと」
アルがハーレさんのリスの左手にアクアインパクトを叩きつけたら、ちゃんと魔法弾へ変換されているから並列制御でも有効なのは確定だな。それじゃ俺は右手の方にアースインパクトを叩きつけて魔法弾を渡しますか。
<行動値6と魔力値18消費して『土魔法Lv6:アースインパクト』を発動します> 行動値 16/68(上限値使用:11): 魔力値 193/218
うん、戦闘中なのに目に見えて行動値が回復してるし、これは近接で戦う時は必須かもしれないな。まぁ今はハーレさんのリスの右手に向かってアースインパクトを叩きつけて……よし、魔法弾へと変化していった。
「ふっふっふ! これで海水に紛れて海水魔法を撃ってきても無駄なのさー! 『並列制御』『連投擲』『連投擲』!」
おぉ、ハーレさんが左右の手で交互に連続投擲をしていけば、魔法弾になって投擲回数分に分割された2属性の衝撃魔法が放たれていった。
ふむ、アースインパクトとアクアインパクトの両方を見ると割と違いが分かる。海の中では土魔法は見えやすく、水魔法は見にくいっぽいな。なるほど、これは独特な特徴の違いだね。
そして次々と2属性の魔法弾を投げてアンコウに当たってはいるけど、アンコウまで届かずに途中で消滅しているのもある。……このアンコウ、地味に面倒な事をしてくるね。
「海水魔法をメインに使ってくるアンコウもいるんだな。サヤ、見分けはつくか?」
「……これはよく見ないと周囲の海水や普通にある海流との区別がかなり付きにくいかな。ハーレが投げてるアクアインパクトはちょっと色合いが違うからまだ分かりやすいけど……」
「サヤでそれかー。アル、見分けつくか?」
「……こういうのがあるって分かってれば何とかってとこだな」
「だよなー」
このアンコウが初手でシーウォーターボールを使ってきたから、そこから海水魔法を使ってくると予測しての対応は出来る。でもそれを知らなきゃこれは見落としかねないな。
ふむ、昨日、今日と海エリアに来て戦ってみているけど、海エリアは海エリアで独特な要素が多いね。サヤも言ってたように水魔法も海中じゃ分かりにくいけど、海水魔法はそれよりも更に分かりにくい。油断すると使ってる本人すら、使い慣れてないと見失いそうだ。
風魔法を地上で使うのは分かりやすく軽くだけど緑色のエフェクトがかかってるのに、海の中での海水魔法にはそういうのは無しか。これはわざと海水魔法の特徴としてそういう仕様にしてるね?
「ハーレ、もしかしてずっと危機察知で見えてたりするの?」
「攻撃が来る方向だけは分かるのさー! でも、位置の特定は自力ー!」
「相変わらず、そういう細かいとこには気付くんだな」
「ふっふっふ、ケイさん、もっと褒めると良いのです!」
「なんか調子に乗りそうだからやめとく」
「えー!? まぁいいや、とりあえずこれでトドメなのさー! 『連速投擲』!」
そうしてハーレさんがアンコウの海水魔法を俺とアルの魔法を使って相殺しつつ、その合間を抜けて直撃して怯んだ隙を狙って、銀光を放ち始めた投擲を次々に叩き込んでいく。
おー、なんかアンコウの手前で失速してるから、海水の防御魔法か? うーん、ホントに分かりにくいけど……でも、ハーレさんの連撃数の強化になり、防御魔法を破壊した上でアンコウのHPを全て消し飛ばしてポリゴンとなって砕け散っていった。
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
お、このアンコウも瘴気強化種で、経験値もそこそこ美味い。さて、この調子でLvが上がるのを目指して狩りまくっていきますか。
ベスタから決勝トーナメントの開催の連絡が来るまでに、Lv1は確実に上げておきたい。今日の最優先目標はそこだ!
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