第599話 模擬戦への参加登録
さてと、とりあえずベスタとの模擬戦では外からの声援は聞こえないようにするのは確定したけど、他の事も決めていかないとね。
「ケイ、これから順番待ちをしてそれからベスタと模擬戦で構わないか?」
「おう、それでいいぞ! あ、そういやその間アル達はどうするんだ? 桜花さんのとこで実況って話だったし、別行動?」
「あー、そういやそうなるのか」
「性質上、仕方ないと思います! あのエンの大きなやつで中継が出来るならいいのにねー!」
「確かにね。ねぇ、ベスタさん、あの群集拠点種の巨大な中継画像を使う手段はあったりするのかな?」
「それについては今の所は無理みたいだな」
「そっか、それは残念だね」
「ま、そりゃ仕方ねぇだろ。それはともかくとして、ケイとベスタ以外は桜花さんのとこに移動だ」
「そういう約束だもんねー!」
まぁ桜花さんとは既にハーレさんが実況をするって事で話はついてるもんな。まぁ実況だから中継を見やすい特等席になるんだろう。
「それ、俺も行っていいか?」
「ダイクさんももちろん歓迎さー!」
「ダイクさんは私とヨッシと一緒に普通に観戦かな?」
「お、そうしてくれると助かるぜ。俺は実況絡みをやる気はないからなー」
「あはは、まぁそうだよね。うん、それで良いと思うよ」
ま、中継については全力でやりたいというリスが2人もいるし、ゲストとしてもうアルが確保されている。ダイクさんまで実況をしなきゃいけないってことも無いだろう。
「ふー、根回しの解除終了ー! 無理に譲るような事はしないようにも言っといたよー!」
「そうか。ならば良い」
「さーて、それじゃわたし達は桜花さんのとこに向かおうかー!」
「……そうだな。よし、ケイとベスタ以外は俺に乗れ」
「はーい!」
「『アースクリエイト』『土の操作』! ほっ、ほいっ、よっと!」
「レナさんは相変わらず身軽かな」
「生成した小石は便利なもんだね」
「ふっふっふ、便利に使わせてもらっているのさー!」
あー、そういやレナさんにこの小石の移動方法を教えたのって俺らだったっけ。元々は弥生さんが使っていた手段だけど、レナさんともかなり相性は良いみたいだね。あ、そうしている内に俺とベスタ以外はアルのクジラの背中の上に移動が終わってた。
「それじゃ、ケイとベスタさんの対戦は桜花さんのとこで見させてもらうわ」
「ケイさん、開始寸前になったら共同体のチャットで連絡お願いします!」
「あー、それもそうか。それについては了解っと」
「お願いねー!」
ふむふむ、気にしてなかったというのはあるけども、確かに開始直前に連絡を入れられるならその方がいいか。……そういやログイン直後の騒動でPTを組み忘れてたけど、まぁ連絡は共同体のチャットでも出来るし、別にいいか。
「それじゃまた後でかな!」
「ケイさん、頑張ってね!」
「ケイさんとベスタさんの対決は楽しみにしてるからな!」
「全力でやってこい、ケイ!」
「ケイさん、頑張れー!」
「おうよ!」
「あらら、ベスタさんへの応援がないねー? メンバー的にその辺は仕方ないかなー?」
「まぁ、レナとダイク以外は同じ共同体だからそうもなるだろうな」
さてと何だかんだでみんな応援してくれているから頑張っていかないとね。……ベスタ相手にどこまで通用するのか、腕試しだ!
「さー、ハーレ、実況の準備をしていくよー!」
「おー!」
相変わらずマイペースなレナさんとハイテンションなハーレさんが楽しそうにしながら、桜花さんの元へと移動していった。流石にこの時間だと桜花さんの所も混雑はしてそうだけど、アルはそれを見越した上でハーレさんの実況を条件に組み込んだんだろうね。
「ケイ、俺らも移動するぞ」
「ほいよっと」
うーん、普通に歩いたベスタの移動速度には追いつけないから、ここは水のカーペットを使ってっと。飛行鎧はまだベスタには見せていないから、これからの模擬戦での伏せた手札にしておこう。
<行動値上限を2使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します> 行動値 73/73 → 71/71(上限値使用:2)
よし、生成した水のカーペットに乗って移動準備は完了! それじゃ崖上からエンの近くまで移動していこうじゃないか!
「では行くぞ。『飛翔疾走』!」
「あ、それってさっきも使ってたやつ!?」
「あぁ、そうなるな。隠しておこうかと思ったが、さっき見られたからもう見せても問題はないだろう」
「あー、そういう理由……」
元々はこの空を駆けるスキルについては伏せておくつもりだったようだけど、俺の目の前で使ってしまっていたから伏せる必要もないんだな。……まぁ風雷コンビも使っていたし、同じスキルをベスタが持ってても不思議ではないか。
そして俺は水のカーペットに乗って飛び、ベスタは空を駆けながらエンの元へと辿り着いた。おー、近くで見るとここの中継画面は大迫力だな。……うん、少し距離を取って群集拠点種の中継画面をずっと見ている人もいるね。
「えーと、模擬戦の受け付けはどこに行けば良いんだ?」
「普段、エンに声をかける以外の手段でアクセスすればいい。この近くにいれば模擬戦の項目が増えているはずだ」
「なるほど、そういう感じか」
それなら今いる辺りでも距離的には問題ないはずだから、メニューを開いてっと……。お、あった、あった。模擬戦の項目を選択してっと……。
ふむふむ、『模擬戦の参加申請』と、『模擬戦の観戦』っていう2つの項目があるね。……でも『模擬戦の観戦』は暗転してて選択は出来なくなっていた。あれ? 中継以外にも観戦機能ってあったっけ?
「ベスタ、この観戦機能って何だ?」
「……いったんから仕様の追加は聞かなかったのか?」
「あー、直接確認すれば良いと思って、合流を優先した」
「……そういう事か。まぁ単純に言えば、それが追加の仕様だ。模擬戦の参加受け付けをしてから実際に模擬戦が開始になるまでの間の待機中に限り、公開設定になっている対戦を任意で見れるってやつだ」
「ほほう? それは良い機能だな」
「ま、これだと自分の視界にしか映らないから気をつけろよ。あくまで待ち時間を潰す為に追加された機能だからな」
「あ、そういう理由なんだ」
ふむふむ、確かに今パッと見た限りでも人は結構いるもんな。でも、誰が模擬戦の待機中なのかはよく分からないね。……何か目印とかないんだろうか?
「あー、色々と疑問はあるんだろうが、一度やれば分かる。……というか、このくらいはヘルプを見ろ」
「あはは、やっぱり見るべきだった……?」
「……はぁ。まぁケイなら見ればすぐに把握するだろうから、それで問題はないか」
なんか思いっきりため息をつかれたけど、やっぱり事前にヘルプを見ておくべきだったかもしれない……。まぁ今更言っても遅いので、実際に使いながら確認していくしかないな!
さて、模擬戦の観戦を使うには先に模擬戦の受け付けをしないといけないんだね。とりあえず『模擬戦の参加申請』を選んでっと……。お、次の画面に移って『相手の指定』と『ランダムマッチング』の2択が出てきた。
「俺から申請してもいいが、今回はケイから申請してみろ。視界内に対戦したい相手がいれば、申請が出来るからな」
「あ、そうなのか。とりあえず了解っと」
よく見ると普通に思いっきり指定の方法も書いてはあったけど、ベスタに言われた通りに『相手の指定』を選択。
お、相手を指定する為のカーソルが現れて、それで指定したい相手を選択出来るみたいだね。とりあえずベスタを選択して……。
<ベスタ様に模擬戦の申し込みをしますか?>
おっと、ちゃんとこういう確認は出るんだね。まぁ間違えて申請したら困るだろうし、この辺は必要な機能だよな。よし、ベスタへ模擬戦の申し込みで確定だ。
<ベスタ様が模擬戦の申請を受諾しました>
<模擬戦の上限数に達している為、整理番号を発行します> 整理番号:12
ん? この整理番号ってなんだ? 模擬戦の上限数に達しているって表示も出てるし、これは順番待ちの為の整理番号かな? ふむ、ちゃんとキャンセルも可能にはなっているのか。
あ、ベスタのカーソルの上に12という数値が表示されているね。……周りをよく見てみると、同じような数値がカーソルの横に表示されている人が結構いたよ。
「ベスタ、この整理番号って要するに順番待ちの数値? ついでに受け付けをしたら他の人の順番も見えるようになるって認識でいい?」
「あぁ、それで間違いない。今は12組が待機状態って事になるな」
「って事は、この数値って徐々に減っていく?」
「まぁそうなるな。ちなみに数値が大きな内やログインしている間なら、この場を多少離れても問題はないが、順番が3以下になった時にこの場にいないと警告が出る。ログアウトすれば無効になるし、0になった時にこの場にいなくても無効になるからな」
「あー、まぁ当たり前な仕様ではあるか」
そりゃ模擬戦で順番を待ってる間にどっか別の場所に行って不在だったら意味がないし、ログアウトしてる場合はもっと論外だもんな。その辺は順番を飛ばされても仕方ない仕様だね。
「ちなみにだが、ランダムマッチングの方は他の奴の順番は見えなくなっている」
「え、なんで?」
「……シンプルな話だぞ。同じ順番の奴が2人いるんだからな?」
「あ、そうか。順番が見えてたら対戦前に相手が分かるから、それの防止か!」
「あぁ、そういう事だ」
うん、これももっともな仕様ではある。せっかくのランダムマッチングで相手が分からないというのが醍醐味なのに、それが対戦前に分かってしまえば台無しだもんな。
さて、これで模擬戦の受け付けは終わったけど、対戦の設定とかはどうしよう? っていうか、樹洞の中でやるって割には全部樹洞の外で完結してる気が……。
「ケイ、ちょっと着いてこい」
「え、ベスタ? どこに行くんだ?」
「エンの樹洞の中だ。別にここでも出来るには出来るんだが、対戦の設定はあの中でやった方が落ち着くからな」
「お、そうなのか?」
「まぁな」
どうやら樹洞の中にも意味はあったようである。……なんか自分で確認するつもりがベスタに案内してもらってる状態になっちゃったなー。
「お、リーダーがまた模擬戦に来てる……って、あー!?」
「おい、いきなりなん……あー!?」
「ちょ、マジか、この組み合わせ!?」
「え、なになに?」
「何事だ?」
「え、リーダーとコケの人の整理番号が同じ……?」
「って事は、対戦すんのか!?」
「え、マジで!?」
「そういえばその対戦をするって話はチラッと聞いたけどホントだったんだ!?」
「おい、中継が出来る不動種連中に声をかけろ!」
「こりゃ見逃せん!」
えーと、何やら周囲の様子が騒がしくなってきたんだけど、この表示されてる整理番号で誰が誰と対戦するのかが丸わかりになるんだね。……あ、整理番号が10に変わった。これ、間違いなく模擬戦をキャンセルした人が出たね。
「ちっ、やっぱりこうなったか。おい、お前ら! 俺らの対戦を見るのは自由だがな、譲ってキャンセルするような真似はすんじゃねぇぞ!」
「あー、リーダーはそういうのは嫌いか」
「リーダー、対戦を見たいから予定を変更してキャンセルってのも駄目?」
「……それに関しては構わん……というか、駄目だという権利は俺にはない。ただ俺だから優先させるというような真似だけはするな」
「うっす、了解っす!」
「レナさんから通達があった通りだねー。うん、手早く自分達の対戦を終わらせてから見物にしようか」
「それもそだね。対戦自体はしたいけど、それ以上に見たいしね」
あはは……。やっぱりみんな、ベスタの対戦ってのは気になるんだな。まぁ気持ちはよく分かるけどね。
「コケの人、激闘を期待してるぞー!」
「リーダーを倒しちゃえー!」
「確かリーダーはコケとの融合種だったよね。地味にコケ対決?」
「あ、そういやそうか」
「今度はどんな情報が出てくるか楽しみだな」
「『ビックリ情報箱』の真髄を見せてやれー!」
「そのあだ名は嫌がってるって話だぞ?」
「え、そうなのか?」
「そういえばコケの人のとこの他のメンバーは?」
「さっき桜花さんのとこにいたぞ。レナさんとかもいた」
「桜花のとこで中継待機か!?」
「桜花さんのとこ、行ってこよ!」
「俺も行くぞー!」
あ、なんか俺を応援してくれている人もいたね。……それにしてもごっそりと人数が減った気がする。いや、気がするじゃないね。間違いなく人が一気に減った。……整理番号が8になったしねー。
「……なんか凄かったな、ベスタ」
「……ある程度は予想はしてたがな。まぁいい、樹洞の中へ行くぞ」
「ほいよっと。で、樹洞の中の方が良い理由は?」
「この中は模擬戦の受け付けをしている奴しか入れないからだ」
「……それって、もうあまり意味なくね?」
「まぁそうなるが、観戦も樹洞の中のみという話だから悪い話でもないだろう」
「あ、そうなんだ」
ふむふむ、目立つのを防ぎたかったのと、待機している間に観戦が出来るという理由から樹洞の中へと入る訳か。まぁ前者の理由は既に無意味だけど、後者の方は多少は意味があるだろう。
模擬戦の受け付けをキャンセルした人が少し出たけど全員がという訳でもないし、多少の待ち時間はあるはず。樹洞の中に入ってサクッと模擬戦の設定を決めてから、現在対戦中の模擬戦を見ていくのも良いだろうね。
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