第583話 昼の部、開始
テスト実装された新機能の模擬戦は気にはなるけど、混雑しているみたいだしすぐに行くのもどうなんだろうね。……まぁ中継でどういう風に見れるかというのも気にはなるから、先にそれを見るだけでもいいかな?
「それなら桜花さんがログインするのを待って、もし風雷コンビの対戦が見れそうなら見に行くって感じにするか?」
「まぁ桜花さんがいつログインするかも、風雷コンビのが見れるかも分からないが、それぐらいが無難だろうな」
「風雷コンビに限らないで、見知った人がいたらでも良いんじゃないかな? 私はラーサが出てたら見たいかな」
「サヤに賛成。私も翡翠さんとかがいたら見てみたいしね」
「あー、それもそうだな」
確かに風雷コンビ以外でも対戦をしていたら見てみたい人はいるもんな。紅焔さんの飛翔連隊のメンバーはみんな見てみたいし、翡翠さん繋がりでザックさん達も見てみたい。あ、コケのフーリエさん辺りももし対戦してるのなら見たいとこでもあるね。
「それならいっその事、桜花さんのとこで待機でもしとく?」
「あー、ハーレさんがいるならそれもありではあるんだがな……」
「流石にじっくり観戦のみは時間が勿体ないかな……?」
「それは夜のお楽しみで良いんじゃない?」
「……やっぱり全員揃ってないとこういう時は動きにくいな。ま、そうするか」
みんなも観戦自体は興味があるけども優先順位は最上位ではないみたいである。ま、ハーレさんがいないという理由もあるし、これは仕方ないから夜からのお楽しみといこうじゃないか。ぶっちゃけ誰がどのタイミングで対戦するかとか全く不明だしさ。
……って、あれ? そういやこれってまた赤の群集の森林深部と青の群集の森林の隣接しているエリアに行く予定が遠のいた……? 夜にハーレさんを含めてみんなで行動方針を決めてからにはなるけど、延期になったらジェイさんに連絡を入れておいた方がいいか。
「あー、また宝探しの方が遠のきそうだな……」
「まぁそりゃそうだが、たまにはそういうのも良いんじゃねぇの? いつでも全員の予定が合う訳でもないから、これからもこういう事はあるだろ」
「ま、それもそうだなー。よし、とりあえず模擬戦については混雑を避けてエンのとこには行かず、桜花さんのログイン待ち。それまではスキルの特訓でいい?」
「おう、それで良いぜ」
「うん、賛成かな!」
「それで決定だね」
「んじゃ、特訓をやっていきますか」
「「「おー!」」」
さて、簡単ではあるけども午後からの方針はこれで決定。それじゃ予定していたけど午前中には出来なかった事をやっていこう。
<群集クエスト《各地の記録と調査・灰の群集》の『???』が発見されました> 14/30
お、このタイミングで誰かが進化記憶の結晶を見つけたようである。ふむふむ、この辺の発見は割と時間はかかっているけども、着実に進んではいるんだな。
「今のは光ってるのと黒いの、どっちが見つかったのかな?」
「どっちだろ? その辺はアナウンスされないし分からないもんね。でも破片が降ってくる様子もないし、近場で黒い方ではなさそう」
「流石に何度もは遭遇はしないかな?」
「ま、2回も遭遇してれば充分な気はするけどな。午前中には初期エリアで発見だったみたいだし、今回は遠くのエリアとかだと思うぞ」
黒い破片がどこまで飛んでいくのかは分からないけど、今までミズキの森林で黒い破片が降ってくるのに2回は遭遇しているもんな。流石に3回目はそう簡単には遭遇しないだろうし……って、あれ? なんでサヤとヨッシさんが不思議そうにこっちを見てるんだ?
「進化記憶の結晶って初期エリアでも見つかるのかな!?」
「ケイさん、その情報は初耳だよ?」
「……あっ、そっか。この情報、サヤとヨッシさんが合流する前に情報共有板で見た情報だ!?」
「……完全に伝えるのを忘れてたな。すまん、2人とも」
俺とアルは新規のタコの人が報告してくれたその場面を見ていたけども、その辺の情報をサヤとヨッシさんに伝えるのを完全に失念していた……。今気付いて良かったというべきかな、これは。
「Lv7の魔法の件で忘れてただけなのかな?」
「まぁ、そうなるね……」
「あれだけの内容を検証してたらそうもなるよ。それにしても初期エリアでも見つかるんだね」
「ちなみにどこの初期エリアなのかな?」
「場所は海エリアだな」
「あぁ、確かそうだったな。ケイと俺と紅焔さんで検証実況をしようと思って情報共有板に行ったら、ちょうど新規のタコの人が報告してたんだっけか」
「あ、そういう流れだったんだ?」
「始めたばっかりの人でも見つかるようには調整されているのかな?」
「多分、そうだと思うぞ」
そうでなきゃ新規の人が楽しめないイベントになってしまうからね。やっぱりそういう意味では未成体の俺らは初期エリア付近では進化記憶の結晶を探すのは控えておくべきだよな。うん、こういうのは先行している人が独占してしまえば、新規の人がやりにくくなるし気をつけないと。
<群集クエスト《各地の記録と調査・灰の群集》の『???』が発見されました> 15/30
あ、また群集クエストの進行のアナウンスが出た。さっき出てきたばっかなのに、次が見つかるとは順調な事で何より……。
「って、ちょっと待ったー!? え、この短時間で更に見つかるの!?」
「まぁ、そういう事もあるだろ。……確かにびっくりはしたけどな」
「……あはは、確かにびっくりかな」
「見つからない時はとことん見つからないけど、見つかる時は一気に見つかる事もあるんだね」
「……まぁつい驚いたけど、宝探しって内容を考えれば当然ではあるんだよな」
今回の群集クエストについては、かなり偶然と運の要素が強いからこういう事が発生してもおかしくはなかったんだよね。……ふむ、今日の夜の予定はまだどうなるか分からないからあれだけど、ハーレさんが合流して遠出が出来るようになった時は光る方の進化記憶の結晶の発見場所の確認をしておくのも良いかもしれない。
行く場所の近くにあるかどうかとか、再生成に時間はかかるから手に入るかは運次第にはなるけども、経験値増加のアイテムが手に入る可能性もあるもんな。
「まぁいいや。とりあえず今は特訓しよう!」
「それもそうだな。俺は樹木魔法もだが海水の操作も鍛えていく事に決めたぞ」
「私はまず氷魔法と毒魔法をLv6にしてから、電気の昇華狙いに決めたよ。付与魔法はその後にするつもり。サヤとケイさんはどうするの?」
「私は今日は竜の電気魔法と電気の操作の特訓だね。ハーレがログインした時に上達したとこを見せるかな!」
「お、サヤはやる気だな」
「うん、いつまでも苦手なままは嫌だからね。それでケイは土魔法か水の操作辺りかな?」
「あー、それも正直やりたいとこではあるんだけど……」
ぶっちゃけ土魔法をLv6にもしたいし、水の操作をLv7にもしたいところではある。でも今日は今まで育ててなかった光合成やら、コケの固有スキルを上げていきたい気分なんだよな。
「……ケイ?」
「今日はコケの固有スキルとかを鍛えたいんだよな。物理型のコケの『群体塊』ってスキルが地味に気になってるから、それを試してみようかと」
「へぇ、そんなのがあるのかな? あ、フーリエさんに教えてた時のかな?」
「まぁ、そうなるな。同調でどれだけ使えるもんか分からないけど、ちょっと手札増やしておきたくてさ」
「……まだ手札を増やす気か、ケイ?」
「手札は多くても困る事はない!」
まぁ扱いきれなきゃただの器用貧乏ではあるけど、どんな使用感なのかは実際自分で確かめるのが一番だからね。それにまだ1時過ぎで試す時間は沢山あるから、どんどんやっていくぞー!
ぶっちゃけ土魔法や水の操作については実戦の中で使う事も多いから、そっちで鍛えるのもありだしね。
「まぁケイがそれで良いなら別に良いか。で、その場合だとどういう組み合わせでやる?」
「ケイさんがコケの固有スキルを鍛えたいなら、いつもの的当ての組み合わせが微妙になるね。どうしよっか?」
「あ、その点を考えてなかった!?」
しまったな、特訓をするのであればせめて2人1組でやりたいとこだけど、俺の鍛えたいスキルだとそれは出来そうにないか。うーん、そういう事なら予定を変更して――
「アル、ちょっと提案があるんだけどいいかな?」
「内容によるけど、どんな内容だ?」
「えっと、アルは樹木魔法も鍛える予定だったよね。そっちを優先してもらえないかな?」
「そりゃ別に構わないが、どうすんだ?」
「アルのさっきのルートウィップで、私とヨッシの攻撃を凌ぐって形でどう?」
あ、俺がログインした時にサヤとアルが特訓してた時のあれか。ふむ、あれは根の操作で手動操作にしていたみたいだし、扱っていた根の本数も多かった。まだ未熟なサヤの魔法や操作と、ヨッシさんの電気の操作を同時に相手取るのはアルなら可能だろうね。
「あー、そういう形か。確かに魔法型にするのに魔法の強化は必須になるだろうし、あんまり上がってない樹木魔法を鍛えるには良い機会かもしれないな。よし、俺はその案で良いぞ」
「アル、ありがとうかな! ヨッシはどう……?」
「んー、サヤへの助言もしながら出来そうだし、私もそれでいいよ」
「よし、それじゃ俺とサヤとヨッシさんの3人で特訓だな。……ケイ、1人になるがいいか?」
「それについては問題なし! 割と他の事をする余裕もあるから、桜花さんのログインのチェックをしながらやっとくよ」
「お、そうか。それなら、その辺はケイに任せるぞ」
「おう、任せとけ! それじゃ、各自で特訓開始!」
「「「おー!」」」
これでひとまずの特訓内容は決定である。俺の特訓は地味になるけども、アル達の方は派手になるだろうな。
「んじゃ始めるぜ! 『並列制御』『根の操作』『ルートウィップ』!」
「私が基本的に攻めるから、サヤは焦らないようにしっかり狙ってね。『並列制御』『氷の操作』『アイスニードル』!」
「分かったかな! 『並列制御』『略:電気の操作』『略:エレクトロボール』!」
おー、沢山の根を鞭のように操っているアルだけど、あれって根の操作を使わなければどんな感じなんだろう? ただ単調に根を打ち付けるだけとかなんだろうか。覚えてたら後で聞いてみよっと。
「おら、2人でもそんなもんか!」
「……流石にアルさんも操作は上手いね」
「……あはは、これは2人でも結構厳しそうかな? ヨッシ、まだしばらくは足を引っ張りそうだけどよろしくかな」
「苦手を克服する為だし、気にしなくていいよ」
そんな風な会話を交えながら、アル対サヤとヨッシさんの特訓が始まっていた。うん、俺の方が操作は上手いけども、アルも流石のプレイヤースキルだな。ヨッシさんは割と健闘しているけども、操作の苦手なサヤは現状ではさっぱりか。
まぁヨッシさんも言ってるけど、サヤの苦手な操作の克服が目的でもあるから頑張ってくれ!
さて、俺は俺で自分の事をやっていこう。『群体塊』の取得条件は群体化Lv4と群体内移動Lv4になれば派生だったはず。ロブスターの表面のコケの中なら核の移動は群体内移動を使わなくても可能ではあるけど、群体内移動を使っても移動は可能だ。
ぶっちゃけ近距離過ぎて群体内移動を使う意味はほぼないんだけど、熟練度稼ぎならこれで充分だね。遠隔同調の使用が必須でないのはありがたい。
<行動値を4消費して『増殖Lv4』を発動します> 行動値 69/73
とりあえずこれでロブスターの表面にコケを覆わせたから、左右のハサミの表面のコケを移動しながら熟練度を稼いでいこうじゃないか。……いや、ちょっと待った。群体内移動は既にLv4になってるから、この増殖の手順は必要ない!? なぜ間違えた!?
今鍛えるべきはLv3の群体化の方だった。こっちについては視界内にコケがあれば問題ないし、やる事は群体化するコケの指定と、群体数の上限まで行った時に群体化解除をする事だけだからフレンドリストを表示したままでやっていこうっと。桜花さんのログイン状況の確認も必要だしね。
とりあえずフレンドリストを表示してから視界の端の方に移動して準備完了。表示したウィンドウの表示位置の変更が出来るのは知ってたけど、使ったのは地味に初めてだなー。さて、まだ桜花さんはログインしていないようだし、群体化の強化をやっていきますか!
<行動値を3消費して『群体化Lv3』を発動します> 行動値 66/73
視界内にあるコケの群体化は完了っと。ふむ、本格的に群体化を使うのも久しぶりな気はするね。……あ、どうせなら発光のLv上げもしとくか? 多少眩しくなるだろうから、まずはみんなに確認をしておこう。
「おーい、発光のLv上げもしていいか?」
「少し距離を取ってくれるなら構わんぞ!」
「うん、それなら問題ないかな」
「近過ぎると眩しいけど、ある程度離れてれば大丈夫だよね」
「おし、距離を離せば良いんだな。了解っと」
ま、確かに近過ぎれば眩しいという事もあるからそこら辺は気遣っていかないとね。まぁ今日は夜の日ではなく昼の日なので、距離を離せばある程度はマシだろうしね。それじゃ発光も使っていくぞー!
<行動値上限を4使用して『発光Lv4』を発動します> 行動値 66/73 → 66/69(上限値使用:4)
よし、思ったよりかなりマシではあるね。ま、問題がありそうなら飛行鎧を発動して、広げた岩を浮かせて光を遮れば良いかな。
さて、それじゃひたすらスキルの連発で熟練度を稼いでいこうじゃないか! あ、そういやスリップも鍛えておきたいな。ふむ、光合成とスリップのどっちを優先するかは『群体塊』を取得してから考えようっと。
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