第568話 情報収集へ
とりあえずアルも合流した事だし、俺のスキル強化の種の使用をやっていこう。おそらく情報を欲しがっている人も多いだろうから、情報共有板も使いながらだね。
「さてと、やっていきますか!」
「おうよ!」
「ケイ、紅焔さん、その前にちょっと移動だ。人が増えてきだした」
「あ、それもそうだな」
「うお!? いつの間に!?」
アルに言われて気付いたけども、ミズキの元へと次々と他のプレイヤーが転移をしてきている。あー、もう少しで9時半くらいだし、ログインしてきている人も増え始めたか。
「そんじゃちょっと移動しますか」
「おうよ。そういや紅焔さんのとこは良いのか?」
「待ち合わせ、10時なんだよ。だからそこまでは問題ねぇぜ」
「あー、なるほどな」
ほほう、紅焔さんのとこも他のメンバーは10時に集合なんだな。それまでの微妙な空き時間で、こうやって俺に付き合ってくれている訳だ。……って、まだアルに言ってないことがあったよ!?
「アル、伝言があったんだった。サヤとヨッシさんは10時頃にログインだってよ」
「なんでケイが知って……って、単純にハーレさん経由か。おう、了解だ」
「そういやハーレさんとケイさんって、兄妹って言ってたっけか?」
「ま、そういう事。って事で、俺らも10時までは俺とアルだけだな」
「お互い、都合が良いタイミングか。ま、ケイさんが水魔法Lv7を取るのにも丁度いいな」
「だな。って事で、移動開始!」
「「おう!」」
そうしてみんなで飛んで人の少ない場所へと移動開始だね。俺は出しっぱなしで乗っていた水のカーペットで、紅焔さんは翼で飛び上がり、アルは空中を泳いでいく。同じ空中の移動といっても色んな形態があるもんだ。
さて偶然ではあるけども、俺らも紅焔さんも集合までの時間は30分以上ある。邪魔にならない位置へと移動してしまえば、スキル強化の種で水魔法Lv7の取得をしていこうじゃないか。
「あ、そういやアル、『異常回復Ⅰ』とか『凝縮破壊Ⅰ』ってどうなった?」
「あー、それか。『凝縮破壊Ⅰ』なら昨日のあの後に取れたが、『異常回復Ⅰ』はまだだな」
「なるほどね。それじゃ今日のどこかのタイミングで纏瘴をして瘴気魔法を使っとく?」
「やるなら昼飯か晩飯の時にログアウトするタイミングだな」
「確かにそれもそうだなー。んじゃ、忘れてなければそのタイミングでだな」
「おう、そのつもりだ」
ログアウトしている間でもその辺の状態異常が回復する為の時間はカウントされてるみたいだし、デメリットが発生するのが分かりきっているんだから、ログアウトのタイミングは上手く使わないとね。
ま、とりあえずアルも凝縮破壊Ⅰが取得出来ているのは良い事だね。これでアルの突撃攻撃の威力の底上げにも期待出来る。
「ケイさん、アルマースさん、この辺で良いんじゃね?」
「お、適度に拓けたというよりは、開拓した感じの場所か」
「切り株があちこちにあるな」
「確か『モンスターズ・サバイバル』で使ってる薪の原料はここから調達してたはずだぜ。まぁ数日も経てば元に戻るらしいけどな」
「あー、なるほどね」
「そりゃ、薪にする木は何処かから切ってくるしかないか」
適当にミズキの森林を南下してみたけども、昨日の薪の原料となった丸太を切り出した場所が今いるこの場所なんだね。燃やす為の薪が必要なんだから、何処かでこういう事もあるんだろう。
ま、これはゲームだから数日くらいで復活するし、別に問題もないか。……下手すれば俺の検証や戦闘で破壊した森の範囲の方が広そうではあるしね。
「さて、本題の方をやっていこう! えーと、情報共有板で公開しつつでいいよな?」
「あー、ケイはそういう予定か。俺は良いと思うぞ」
「俺としては是非ともやってほしいとこだ」
「ほいよっと。そんじゃ、みんなで情報共有板に行きますか」
「「おう!」」
アルも紅焔さんも、2人共が情報共有板に顔を出すタイプではあるからね。今回は特訓ではなくアイテムでスキルLvを上げるから、情報共有板を見ながらでも支障はない。……流石にベスタじゃないんだからスキルを盛大に使いながら情報共有板に書き込むのは出来ないしね。
タコ : よく分からなくて、マグロの人に誘導されて初書き込みです! えっと、情報の報告ってここで良いんですよね?
クジラ : うん、ここで合ってるよー!
カンガルー : ん? その感じだとタコの人は新規さんか?
マグロ : おう、ここで合ってるぞ。そんでもって新規のタコの人が、どうしたら良いのか困惑してたから誘導してきたぜ。
タコ : えっと、マグロの人、ありがとうございます! それで見つけた物はここで報告すれば良いんですよね?
ヘビ : お、新規さんが発見って気になるな。
オオカミ : 内容に制限もないし、強要はしないから、自分のペースで話すといい。
ん? 魔法Lv7の取得実況をしていこうかと思ったけども、どうやら新規のタコの人が何かを見つけたっぽいね。これはタイミング的に少し待った方が良さそうだ。
コケ : もしかして何か新発見あり?
タコ : あ、いえ、多分新発見ではないと思います。もう13個目の物みたいなので……。
ドラゴン : 13個目って事は、さっきのアナウンスの『進化記憶の結晶』絡みか!
タコ : あ、はい! そう、それです! 今日始めたところで、一般生物の魚を倒したら黒い球がポロっと出てきたと思ったら、急に砕け散っちゃって!
オオカミ : なるほど、黒い方の『進化記憶の結晶』か。タコの人、見つけたエリア名は分かるか?
タコ : あ、はい! えーと『始まりの海原・灰の群集エリア5』です!
おおっと、発見場所が初期エリアときたか。てか、今日始めたばっかなら初期エリアでもおかしくはないどころか、初期エリア以外の方が不自然な範囲だよな。……そうなると、この新規のタコの人は間違いなく幼生体か。
木 : へぇ、あれって初期エリアでも普通に出てくるのか。
ドラゴン : 初期エリアでの発見報告って、地味に重要な情報じゃね?
オオカミ : そうなるな。タコの人、よく報告してくれた。感謝する。
タコ : え!? あ、はい! 役に立ったなら何よりです!
マグロ : だから言ったろ? 初心者だからって気負う必要はないってな?
タコ : はい! もっと頑張るぞー!
うん、これは何だかんだでかなり重要な情報なのは間違いない。離れたエリアに『進化記憶の結晶』があるのは確定していたし、あって当然みたいなとこはあった。そこへ今日始めたばかりの新規の人が初期エリアで発見したという情報となると、どの進化階位やLv帯でも手に入れられるチャンスがあるという訳だ。
こりゃ、どこのエリアにもある可能性は非常に高くなってきたね。そして、新規の人でも気兼ねなく情報共有板へ書き込めるようにしたマグロの人はグッジョブだ! このマグロの人は……ソウさんか? いや、他にもマグロの人はいるし、流石にこれだけじゃ何とも言えないな。
オオカミ : 今の情報と他の発見情報と合わせて考えてみたら、『進化記憶の結晶』は全エリアにある可能性は極めて高くなった。無所属からの接触の可能性も含めて、各自の行動範囲で探索を続けてくれ。
ヘビ : おうよ!
カンガルー : ほいよ。……それにしても、オオカミの人が未だに発見していないっていうのは意外だよな。
サル : 確かにそうだよなー。珍しい事もあるもんだ。
オオカミ : あのな、俺だって万能って訳じゃねぇ。その辺を忘れんなよ?
カンガルー : それはそうなんだけど、今までの事を考えるとついね?
ヘビ : うん、それは分かる。
イノシシ : 同意。
あ、ベスタは今回はまだ見つけられてないままで継続中なのか。まー、ベスタ自身が運と偶然の要素が強いとは言ってたけど、みんなが意外だと思う気持ちも分からなくもない。……あれかな、もしかしてベスタって同時に色んな事を並行してやっているから、こういう捜索系のイベントだと精度が落ちてたりするのかも? うん、有り得そうではある。
オオカミ : あー、ともかく俺の事はいい。誰か、他に情報がある奴とかいないか?
ドラゴン : おう、いるぜ! いつものコケの人が、水魔法Lv7をこれから取るってよ!
草花 : なんですと!? え、ほんと!?
サル : コケの人が実行出来る条件を満たしてたか!
カンガルー : うひゃー! こりゃ良いタイミング!
サル2 : ちょっと近場の連中に声かけてくる!
オオカミ2 : 良いタイミングで良い情報を持ってくるじゃねぇか、コケの人!
タコ : え、何かあるんですか!?
マグロ : あー、ちょっと色々と実行可能な条件を満たせられない人が多かった問題があったんだけど、未検証になってた情報の検証が出来る条件を満たした人が現れた。
クジラ : 流石だね、コケの人!
タコ : へぇー、よく分からないけどなんか凄そう!
草花2 : コケの人が水魔法Lv7を取るんだって!?
カンガルー2 : くっ、俺だって取りたかったけど、スキル強化の種が1つじゃ足りなかった!?
木2 : なになに、風雷コンビ以外にLv7の魔法の情報が出てくる可能性が出てきたって!?
ラクダ : おー、いつものコケの人か。こりゃ期待。
サボテン : 当分は不明なままかと思ったら、こりゃいいや。
草花3 : ……内容が知りたい。内容次第なら、私も取る。
クジラ2 : 風雷コンビが情報開示してくれれば良かったんだけど、無理強いは駄目だしねー。これはコケの人の決断に期待。
ネズミ : あー!? 土魔法Lv6になったらやろうと思ってたのに先を越されたー!?
ウニ : まー、そういう事もあるさ。
ネズミ2 : そうだよなー。まぁありがたいのは間違いないしね。
ちょ、ちょっと待って!? まだ俺は書き込んでないのに急激に書き込んでる人が増えてきたけど、どんだけLv7の魔法の情報に飢えてたの!? ……一応紅焔さんから事情は聞いていたけども、予想以上に情報自体は望まれていたようだね。これはびっくりだな……。
オオカミ : ……流石に選択肢も色々あって条件的に厳しいとこがあったからな。ここでその検証は助かるぞ、コケの人。
コケ : 思った以上の反響で、ちょっとびっくりしてるよ。……聞いてはいたけど、ほんとに条件的な問題があったんだな。
草花2 : みんな、昇華の取得とか、応用スキルの連撃やチャージに使ってたもんね。
ラクダ : 後は並列制御に使ったってやつもいたよな。
ヘビ : 並列制御は俺の事だけど、3つ同時発動だと切実に行動値が足りなくなって絶賛後悔中……。
ドラゴン : どんまい、ヘビの人。
コケ : 並列制御は俺も考えたけど、やめといて良かった……。
ヘビ : ふっふっふ、その代わりと言ってはなんだが、コケの人の情報は活用させてもらうぜ! ま、すぐには無理だからその内だけど。
リス : おー、なんか面白い事になってるねー?
何だかそろそろ脱線しそうになってきた気もするし、ここは脱線する前に本筋に戻していこう。本筋……すなわち、水魔法Lv7の取得! みんなも情報に期待してくれているしね。
コケ : ま、長々と話してても仕方ないから、実際にやってみる。
オオカミ : あぁ、分かった。報告を待っていよう。
草花 : 期待してるよー!
ヘビ : これで風雷コンビは割に合わないって言った理由も判明するか。
マグロ : そうなって欲しいもんだな。
さて、それじゃやっていくとしますかね。まずはインベントリからスキル強化の種を取り出し……いや、出さずにインベントリからの使用で良いか? あんまり面白い演出でもなかったしなー。
「アル、紅焔さん、スキル強化の種の演出は見たい?」
「あー、そういや演出があるんだっけか。俺は昨日の夜に他の人ので見たからどっちでもいいけど、紅焔さんはどうだ?」
「俺も別の機会に見たし、自分でもやったから別にいい。……あんまり綺麗な演出でもないからな」
「まー、確かにあれはね。んじゃ、演出なしって事で」
アルも紅焔さんも既に見ていて、興味がないというのであれば別に演出は無くてもいいだろう。紅焔さんの言うように、あんまり綺麗な演出でもなく面白みがある訳じゃないしね。という事で、インベントリからスキル強化の種の使用を開始だ!
<『スキル強化の種』を使用します。対象となる任意のスキルを選択してください>
そのメッセージと共に所持しているスキルの一覧のウィンドウが表示されていく。あ、違う。これって所持しているスキル全てではなくて、スキル強化の種が使えるスキルの一覧になっているんだな。表示されているのは『◯◯Lv〜』のような仕様のスキルだけだね。
さて、こうやって一覧で見てみると上げたらどうなるのか気になるスキルがない訳でもないけど、もう水魔法Lv7にするのは決定済みなので、水魔法を選択して決定っと。
<『スキル強化の種』の効果により、スキル『水魔法Lv6』が『水魔法Lv7』になりました>
よし、これでとりあえず水魔法Lv7の取得は完了。これから試しに発動してみてから、その性質と使用感を情報共有板に書き込んでいかないとね。さー、水魔法Lv7は一体どんな魔法なんだろうか。
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