第512話 みんなと合流
ログインしてすぐに昇華魔法の発動に巻き込まれて死ぬとこだったけど……あれ、何もせずに死んでアルの木に設置しているリスポーン位置で復活した方が早かったんじゃ……よし、気付かなかった事にしよう。
それじゃちょっとジェイさんから青の群集の森林エリアについて話を聞いておこう。弥生さんとシュウさんもいるから、その隣の赤の群集の森林深部エリアの事もだな。今日の最終目的地だしね。
「それじゃみんなと合流するとして……。ハーレさん、少し待っててくれ」
「良いけど、なんでー!?」
「ちょっと情報収集。折角、ジェイさんがいるんだしな」
「え、私ですか?」
「了解です! みんなに伝えておくねー!」
「おう、任せた!」
みんなへの連絡はハーレさんに任せておけばいいだろう。……そういや共同体で出来るようになる機能確認がまだ不充分だったね。その辺も後で確認しておこうか。
「ケイさん、私がどうかしましたか?」
「あー、俺らは今日は昨日の殲滅したとこの東側の平原から、赤の群集の森林深部と青の群集の森林のとこに行ってみようかと思ってるんだよ。隣接してないエリアって行った事ないしさ」
「なるほど、そういう事ですか。……灰の群集に比べるとそれ程面白いものではないと思いますよ?」
「いやいや、凄い不動種がいるって聞いてるぞ」
「あぁ、あの方ですか。確かに凄い人ではありますけど、あの方は殆ど喋りませんよ?」
「ま、それならそれで別に良いんだけどね。で、灰の群集の俺らが行っても問題ない?」
「……そうですね。昨日までなら面倒な事になる可能性が否定出来なかったので止めていたかもしれませんが、あの連中については片付いたので今はもう問題はないかと」
「よし、それならいいや」
「……特に見るべきところもないとは思いますが、まぁケイさん達がそれで良いのなら別にいいですか。あ、ちなみに昨日の箇所から行かれるのでしたら、大きめな川がありますのでその川沿いに進めば辿り着きますよ」
「あ、そうなのか。ジェイさん、情報ありがとな!」
「いえいえ、お気になさらずに」
さてと、川沿いに進めば良いというのは良い情報だね。これはロブスターで移動操作制御を取るチャンスかもしれない。ロブスター側の風の操作を使って、川流れ推進力にすれば取れたりしないかな?
「あ、ケイさん」
「ん? 弥生さん、何かあるのか?」
「うん、ちょっとだけ注意事項。そっちの経路は割と長めな事とLv20超えの未成体もそれなりに出てくるから、要注意ねー!」
「お、マジか!」
「ケイさん達なら、そのくらいのLv差はどうにか出来ると思うよ」
「そだね、シュウさん。それじゃケイさん達、頑張ってー!」
「ほいよ!」
Lvを上げたいと言いつつ、思ったほどLvが上がっていない現状としてはありがたい情報だ。自分達よりLvが上の敵なら、強くなって倒しにくくもなるだろうけどその分だけ経験値は良いもんな。
さてと、最終目的地は初期エリアだけども道中もかなり楽しめそうである。色々探索しつつ、群集クエストの他の『???』を探しながら進んでいくのが良さそうだ。
「ハーレさん、もういいぞー!」
「はーい! 情報収集も終わったから、これから向かうねー!」
ハーレさんはフレンドコールで……相手は誰だろ? ヨッシさんかサヤかな? ま、とりあえずこれから行くという事を伝えてくれたようである。
って、あれ? なんか視界の端に見覚えのないアイコンが点滅しだしたぞ。これ、なんだろ? とりあえず選択してみようっと。あ、共同体の管理画面に移動した!?
アルマース : 待ってるから早く来い。
ヨッシ : ケイさん、早めにね。
サヤ : 待ってるから、早めに来てかな。
全然見覚えない機能だと思ったら共同体専用のチャットか、これ! あー、これは意外と便利かもしれない。あ、伝言板ってのもあるけどこれがまとめ機能と連動している対外的にも扱えるページか。ふむふむ、色々と共同体専用の機能があるみたいだね。
ケイ : こんな機能が追加されてるんだな。とりあえず合流については了解!
ハーレ : こんなのあったんだねー!?
サヤ : ついさっきアルが見つけてね? 状況にもよるけど、今後はフレンドコールじゃなくてこっちで良いんじゃないかな?
ケイ : 確かにそれが良いかもな。
アルマース : ま、それはそれでいいんだが、とりあえず合流してくれ。時間も勿体無いしな。
ハーレ : はーい!
ケイ : ほいよっと。
それにしても、この共同体専用のチャットは色々と使えそうではあるね。とにかく今はジェイさんや弥生さん達に挨拶をして、さっさとみんなと合流しよう。アルにも急かされてる事だしね。
「それじゃ俺らはそろそろ行くよ」
「みんな、またねー!」
「えぇ、また今度お会いしましょう」
「ケイさん、ハーレさん、またねー!」
「また会える時楽しみにしているよ」
そうしてみんなに挨拶をしたので、これで移動準備は完了っと。さて、転移の種を使っていこうじゃないか。
<『転移の種』を使用しますか?>
インベントリの中にある状態で転移の種の使用を選択すると『転移』『登録』『キャンセル』の3種類の選択肢が出てきた。それじゃ転移を選択して移動開始! お、何か光り始めたような気がするぞ。
「わっ!?」
「あー、インベントリから出すとそうなるのか」
そして今回もインベントリから取り出して使用したハーレさんは、種から急成長した植物のツボミに包まれていく。俺の方は光の膜に何重にも覆われている感じなので、ひょっとすると光で出来たツボミみたいな感じになっているのかもしれない。
「お、これはいいねー! スクショのチャンス!」
<『ハイルング高原』から『名も無き平原』に移動しました>
ツボミっぽい光が花びらが散るように消滅していき、無事に登録した場所への転移が完了した。……転移の直前に弥生さんの声が聞こえてたから、後でスクショの承諾に来てそうだな。さっきの転移の様子を外から見た光景は見てみたいので、その辺は丁度いいかもね。
お、そういや気にしてはなかったけど水のカーペットも一緒に転移されてる。まぁ今までの他の転移手段でも出来ていた事だから驚くほどの事でもないか。
さてとサヤとアルとヨッシさんはすぐ近くにいるはずだけど、どこかな?
「いくぜ、サヤ! 『重突撃』!」
「これでトドメかな! 『爪刃双閃舞』!」
周囲を見てみれば、麻痺しているみたいで動けない大きなゾウに向かってアルが突撃して吹き飛ばし、吹っ飛んできたゾウを待ち構えてそのゾウの勢いに合わせて銀光が強まる連撃で斬りかかっているサヤの姿があった。あー、ちょうど戦闘中だったっぽい? お、ポリゴンとなって砕け散っていったね。
「おー!? ここってゾウがいるんだー!?」
「そうみたいだな」
「お、ケイとハーレさんが来たか」
「丁度いい時間つぶしになったね」
「あはは、Lv7だったから大して強くはなかったけど、それくらいが丁度良かったかな」
どうやら大して強い敵でもなかったらしい。ま、さっきのチャットをしてから転移をしてくる間に倒せるのなら強くはないよな。
「とりあえずお待たせ。ジェイさんと弥生さんとシュウさんがいたから、軽く情報を貰ってきたぞ」
「ハーレさんから聞いてはいたが、随分な顔触れだな。んで、ログインして早々死にかけたって?」
「そうそう、流石にあれは慌てたよ。ログアウト場所はちゃんと考えた方が良いみたいだな」
「ま、言われてみりゃそうだよな。……俺もこれからは気をつけるか」
「そだねー! 私も気をつけます!」
「私も気をつけないとかな。……とりあえず合流した事だし、PTにしようよ」
「あ、そだね。今は私がPTリーダーだっけ。はい、ケイさん、ハーレさん」
「お、ヨッシさん、サンキュ!」
「これで完全に合流完了さー!」
<ヨッシ様のPTに加入しました>
<ハーレ様がPTに加入しました>
ヨッシさんからのPT申請を受け取って、PTへの加入は完了である。一緒に行動するんだからPT組まないと経験値や獲得アイテムも共有出来ないしね。
「それじゃ早速出発するか。ケイ、情報は移動しながら聞かせてくれ」
「ほいよっと。あ、その前に重要な内容だけ先に言っとくぞ」
「どんな内容かな?」
「重要っていうのは気になるね?」
「この辺はまだ大丈夫だと思うけど、進んでいくとLv20超えの未成体も出てくるんだと」
「あー、なるほど。そりゃ重要だな」
この情報だけは先に伝えておかないと、下手すればすぐに遭遇という可能性も否定は出来ないからね。……流石にもうちょっと進んだ所からだとは思うけど、備えあれば憂いなしだ。未知のエリアの探索をするんだから慎重になっても問題はないはず。
「あ、それと移動速度はどうする? 途中で群集クエストの『???』を探しながら行くのもありだと思うんだけど」
「あー、それもそうだな。みんな、どうするよ?」
「はい! 私は明日がバイトで昼間はいないので、今のうちに探索をしたいです!」
「あ、そっか。それならじっくり進みながら、今日中に目的地に辿り着けなくても良い事にする?」
「私はそれに賛成かな。探索はみんなでやりたいもんね」
ふむ、ハーレさんは明日と明後日は昼間はいないからその辺の考慮も必要ありか。……そうなると今日はじっくり進みながらLvを上げつつ探索していって、ハーレさんがいない間にスキルを鍛えるのが良いかもね。
「俺も賛成。やっぱりみんな揃ってじゃないとな」
「だな。あ、明日といえば、午前中は俺もログインは無理だぞ」
「え、そうなのかな!?」
「ま、1人暮らしだからな。ちょっと、溜まってる家事やらを片付けておきたいんだよ」
「あ、そういえばアルさんは1人暮らしだったね」
「……その割には今までそういう話はなかったような気もするぞ?」
「……面倒だと、つい後回しにしちまっててな。あと、ちょっとたのんでる荷物が届くから、時間を空けときたいんだよ」
「あー、なるほど」
俺の家は母さんが時間を見つけて上手く家事を片付けてくれているからあまり気にしてなかったけど、1人暮らしだとそうもいかないよね。それに代わりに誰かが荷物を受け取ってくれる事もないか。……うん、実感がいまいち湧かないけど、そのうち分かる日も来るのかな。
「って事で、明日の午前中は好きにやっててくれな」
「そだねー! 私もバイト、頑張ってきます!」
とりあえず明日の昼間はハーレさんは不在、午前中はアルも不在か。そうなるとますます探索は出来ないな。となればやる事は1つ!
「よし、明日の午前中はスキルの強化をやってくか!」
「うん、それが良さそうかな」
「そだね、そうしよう」
具体的に何をどう鍛えていくかは後で考えるとして、いつまでものんびりしていても仕方ないので出発していこうじゃないか。
現在時刻は8時半。ハーレさんのバイトの事を考えれば、明日が土曜で休みだけど夜更かしは出来ないな。どこまで行けるかは分からないけど、進める範囲で進んでいこうじゃないか。
「それじゃ低速気味で探索しながらだな。ほれ、乗った乗った」
既に浮いている状態のアルのクジラで、速度も高度も必要がないから特に追加のスキル発動は必要なかった。そういやアルマース2ndって表記になってるから、今はクジラでログイン中なんだな。
色々な事情から今日中に青の群集の森林深部に辿り着けるかは怪しくなってきたけども、少し行ってみたいというだけで大急ぎで行かなければならない訳でもない。この辺の目的については、まぁその時々の自分達のペースでやればいい。
そしてみんながアルに乗り終わったので、これで移動開始が出来るね。さっきジェイさんから教えてもらった川沿いに進めば良いという情報もあるけど、じっくり探索なら川沿いに進みつつ周辺の探索も良いかもしれない。
「それじゃ探索とLv上げを目標で、方角は東で移動開始!」
「「「「おー!」」」」
とりあえずここから東に向かって進んでいく事だけは確定である。今日中に辿り着けなくても、行けるところまで行って、転移の種で改めて登録すればいい。
さて、ここから先は全く来たことのない平原エリアの探索である。マップを全て埋めていくのは流石に非効率なので、細かい方針を決めていかないとね。
場合によっては今回の群集クエストでは全部埋めるつもりでの移動も必要かもしれないけど、現時点ではそこまでしなくてもいいだろう。その場合は群集のみんなと探索するエリアが重複しないように割り振ったほうが良いしね。さー、頑張っていきますか!
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