第10章 共闘イベント、本格攻略開始!

第268話 居ない間の進展


 今日の学校が終わったので、適当に慎也に挨拶をして帰宅。今日は母さんからは特に何もメッセージはないので、買い出しは無しのようだ。まぁやるべき事をさっさと済ませてからゲームをやっていこう。


 あ、今日はみんながログインしたら合流したいから晴香に伝えておくか。えーと、『どっかで何かしてても合流するから声をかけてくれ』っと。お、返事が早かった。『分かったよ!』か、まぁ簡潔で問題もない内容だね。



 ◇ ◇ ◇


 そしてログインすれば、いつものいったんの場所である。今日のいったんの胴体には『共闘イベント開催中! 出遅れた人も進化ポイントを集めて色々なスキルを手に入れよう!』となっている。……ん? ここでも進化ポイントが出てくるんだ。


「なぁ、いったん? 今回の別枠カウントされてる進化ポイントってどんな扱いなんだ?」

「ポイント枯渇している人向けの役割も兼ねているかな〜」

「ほう、兼ねているのか」

「……何か失言したような気がするので忘れてもらって良い〜?」

「そりゃちょっと無理だな」

「だよね〜!?」


 兼ねているという事は、ポイント枯渇の救済策以外の別の役割もあるって訳か。よし、失言からだけど地味に重要情報を手に入れた。まぁあくまで何か用途があるっていう推測の裏付けになった程度のもんだけどな。


「とりあえずスクリーンショットの承諾をお願いね〜」

「ほいよっと」


 もう日課になってきたスクショの一覧を見てみれば、今日は大多数が赤の群集からのものであった。大体が昨日のガストさんとの勝負と共闘の時のものである。んー、これはほぼ撮った人には見られたって事だし、内容的には許可してもいいかな? それほど見られて困るものもないしね。

 水流の操作とか昇華の水とかは写ってるけど、主戦力を隠し続けるなんてのは無理だし今回は許容範囲って事にしておこう。


「いったん、今回は全部許可で」

「全部許可は珍しいね〜?」

「ま、共闘中だしね」

「そっか〜。それじゃそう処理しておきます〜。あ、あと本日分のログインボーナスね〜」

「サンキュ!」


 今日の分のログインボーナスを貰ったので、ゲーム開始だ!



 ◇ ◇ ◇



 ゲーム内へと移動すれば、暗い森の中である。そういや少しエンから離れた所でログアウトしたから、灯りがない場所だったっけ。とりあえず夜目を使おうかな。夜の日はこれが必須。


<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します>  行動値 54/54 → 53/53(上限値使用:1)


 よし、これで問題なし。あ、そういや発光もLv上がってたし、少し試しておこうかな。どのくらいの明るさかまだ試してなかったしね。


<行動値上限を4使用して『発光Lv4』を発動します>  行動値 53/53 → 49/49(上限値使用:5)


 お、結構明るさが変わった気がする。普通の懐中電灯くらいの明るさになったし、ロブスターの背中のコケから照らしているので範囲も割と広い。……これなら夜目が必要ない明るさかもしれないね。

 これ、光源用の小石を用意して光の操作を使えば一方向を確実に照らせる懐中電灯みたいな使い方が出来る気もする。……どこで使うのかという問題はあるけども。ま、いいや。ログインボーナス貰って、行動開始だ。


<ケイが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>

<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>

<ケイ2ndが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>

<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>


 さてとログインボーナスも貰ったし、まずはどうしようかな。……昨日のあの後からの変化の確認とまとめ機能のチェックもしておこうかな。


【共闘イベント『瘴気との邂逅』】


 ワールドクエスト《地の底にいるモノ》の進行状況


 【赤の群集】

  黒の暴走種、半覚醒の解放 183/500

  黒の瘴気強化種の撃破 2312/5000

  ボスの撃破 0/10


 【青の群集】

  黒の暴走種、半覚醒の解放 211/500

  黒の瘴気強化種の撃破 2579/5000

  ボスの撃破 0/10


 【灰の群集】

  黒の暴走種、半覚醒の解放 278/500

  黒の瘴気強化種の撃破 2672/5000

  ボスの撃破 1/10


  ボス戦への参加回数:1


 お、灰の群集でボスの討伐が1体終わってる。それに半覚醒も黒の瘴気強化種も結構倒されているね。これは結構早い段階で終わるんじゃないか? 

 ふむ、ボスの討伐はどうやったのかが気になるね。まとめの方に載ってたりしないかな? お、開催中のイベントって項目に載ってるね。……えーと、『今回のボス討伐の注意点』?



【今回のボス討伐の注意点】


 海エリアにて赤の群集、青の群集、灰の群集の3群集の共闘により1体のボスのイルカの討伐に成功した。その際に判明した事を記しておく。他のボスも同様の可能性はあるが確実に同じとはまだ判明していない為、要注意のこと。


 今回の群集支援種を元にしたボスの行動パターンは全体のHPを3割程削れば逃亡行動に入り、それに時間をかけ過ぎると周囲の瘴気強化種を倒し始め、最大1割のHPを回復する。

 逃亡行動に移る際は半覚醒、瘴気強化種が共に大量発生し妨害行動に移行する。ボスが逃亡を終えた後は通常の行動パターンへ戻る。


 ここで妨害を振り払い追撃を行えばどうなるかを実行した結果、群集支援種のボスの討伐は可能だと判明。しかし、その次の段階で問題が発生した。

 ボスの討伐後は群集支援種は解放されるがどこかへ消え、新たなボスとして群集支援種を支配していた瘴気強化種の貝が登場する。こちらはHPが非常に多く、周囲の瘴気強化種を取り込み高頻度で回復し続ける為に現時点での討伐は困難と判断した。(昇華魔法や応用スキルによる飽和攻撃も立案したが、人員不足の為に断念)


 黒の瘴気強化種の討伐数をクリアしない限り倒すのは厳しいと思われる為、現時点ではボスの討伐よりも半覚醒と瘴気強化種の討伐を優先する事を推奨する。また、瘴気強化種のボスに取り込まれた瘴気強化種は討伐数にカウントされないので特に注意するように。


 参考までに分かっている範囲でのイルカの群集支援種のボスの特徴も合わせて書いておく。

 特性にある『傀儡(支配度:○)』についてだが、支配度は最大5であり支配度が増加すると纏う瘴気の量が増加する。増加に伴い半覚醒の意識がある時間が減少していく。意識がある際には攻撃頻度と防御行動が低下するので、攻撃を行うのは意識がある時を狙うほうが良い。

 ボスが周囲の瘴気強化種を倒す事でHPが最大で1割回復する。3割削りきれなければ、1割回復した時点で逃亡行動に移る。以下にHP減少による攻撃パターンの変化も記しておく。


 HP7割以上:通常攻撃、通常スキルを軸に、稀に応用スキルでの攻撃(尾による打撃系と体当たり系を確認)を繰り出す。

 HP5〜7割:応用スキルでの攻撃頻度上昇。魔力集中と自己強化を稀に発動。

 HP2〜5割:常時、魔力集中か自己強化を使用。応用スキルでの攻撃頻度が更に上昇。

 HP2割以下:瘴気を使った未知のスキルでの広範囲の高威力攻撃あり。成長体だと1撃で確実に死ぬ威力なので要注意。操作系の応用スキルか、単独発動での昇華魔法に相当すると思われる。




 ほうほう、なるほどね。今の段階であのティラノ自体は倒そうと思えば倒せるけど、それだけじゃ次に出てくるボスを倒すのが難しいって事になるのか。そして数の暴力で押し切るには人が足りなかったと。

 これは昇華持ちや凝縮破壊持ちが多数いて、一気に殲滅しないと無理みたいだな。そしてスキルの性質上、1発で仕留めきれないと無駄足にしかならないって事か。ま、正攻法って訳じゃなさそうだし厳しいのも仕方ないか。

 群集支援種が元になるボスの行動パターンとかは結構分かっているみたいなので良しとしよう。それにしても1日目でよくこれだけ調べたな。


 他に何か情報はないかな? お、『3種類の魔法の複合魔法の実行について』か。どれどれ? これは興味深い内容ではある。あ、大量の組み合わせを試してみたらしいけど、3種類以上では発動はしないんだ。未確定ではあるけれど昇華魔法も同様の可能性が高いんだな。……うーん、昨日昇華持ちが3人揃ってたんだし試せばよかったな。


 『複合魔法同士の同時利用について』ってのもあるね。複合魔法に更に複合魔法を重ねればどうなるかって内容だけど……こっちも不可能か。色々試してる人もいるけどうまく行く場合ばかりじゃないのだろう。

 あ、そうだ。水流の操作とチャージ系の応用スキルの並列制御の使用方法を上げておくか。これはパッと見た感じでは試した人の情報もないからね。……よし、書き込み完了っと。



 さてと、もうちょっとしたらみんなログインしてくるだろうし、森林深部でもぶらついておこうかな。んー、ただぶらつくのもあれだから、何かスキルのLv上げでもしようかな。単独で移動しながらでも出来そうなものとなると……。よし、これでいってみるか。


<行動値上限を1使用と魔力値2消費して『自己強化Lv1』を発動します>  行動値 49/49 → 48/48(上限値使用:6): 魔力値 112/114 :効果時間 10分


 常に使いっぱなしだと効果が切れる度に挙動が変わって色々やりにくいから普段はしないけど、ちょっとは使ってスキルLvを上げとかないとね。あと、こっちもやっておこうっと。


<行動値1と魔力値4消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 47/48(上限値使用:6): 魔力値 108/114

<行動値上限を1使用と魔力値2消費して『操作属性付与Lv1』を発動します>  行動値 47/48 → 47/47(上限値使用:7): 魔力値 106/114


 どうせ発光で光ってる事だし、もう色々と同時発動してしまえ。あ、操作属性付与で生成した土って付与する際に使うから無くなるんだった。それにしても土属性を付与すると少し重くなった感じがするんだよな。ま、これにも慣らしておこうかな。さて、次!


<行動値1と魔力値4消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 46/47(上限値使用:7): 魔力値 102/114

<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 43/47(上限値使用:7)

<行動値を4消費して『土の操作Lv3』を発動します>  行動値 39/47(上限値使用:7)


 よし、小石を3つ生成してそこにコケを増殖させて光源小石の完成。後は適当に自分の周辺で小石を飛ばしながら、熟練度稼ぎだね。ちょっと色々と同時に発動し過ぎな感じはするけど、これくらいやらないと育てるスキルが多いもんな。

 ロブスターの攻撃スキルはみんながいる時と敵を倒すので特訓するとして、移動中に出来るスキルは並行してやっていこう!



 さてと、それじゃこの状態で熟練度を稼ぎながらみんなが来るまでぶらついてこようかな。何かを本格的にやるには中途半端な時間だし、知り合いに会ったら雑談でもして来よう。


「あれ、ケイさんか? なんかすげぇ事になってんな!?」

「ん? あ、桜花さんか。2nd作ったの?」

「あぁ、まぁな。拠点が決まったら、移動できるキャラってのも必要そうでな?」

「あー確かにそうかもな」


 そうか、不動種で纏樹で移動って手段もあるけど、ちゃんと場所さえ決めてしまえば2ndで移動用のキャラを作るのもありなんだな。そして桜花さんが作ったのは小鳥か。うん、桜の木とセットで小鳥は良いんじゃないかな。


「あ、そうだ。ケイさん、少し時間あるか?」

「あー、PTのメンバーとの合流待ちだからそれまでで良ければ」

「よし、んじゃそれでいいや」

「何か用事か?」

「おうともさ! 言ったろ、礼は数倍にして返すってな!」

「そっか、そういう事ならお邪魔させてもらうよ」

「もし可能ならサヤさんやハーレさんも頼むぜ。あの2人にも礼は渡したいからな」

「ほいよ、了解」


 サヤとハーレさんにも何か用意してるんだな。移籍してそれほど経ってないのに、既に結構馴染んでる様子だし行動力はあるんだろうね。そういやよく見れば移籍の印の白い線が少し短くなっている。やっぱりこれは移籍組の移行期間を示しているんだな。


「それじゃ俺の桜のとこまで来てもらって良いか?」

「割と近くだし、問題ないな」

「なら、そういう事で!」


 そして桜花さんの桜の木の元へと移動である。桜花さんは飛んでいっているけども、俺は自己強化を発動中だし、折角なので色々試してみよう。


 地面から跳ねて、少しその先に小石の1個を飛ばし、それを足場に更に跳ねて、その先に他のもう1個の小石を飛ばし、それを延々と繰り返していく。

 おーこれ、地味に跳ねる練習と土の操作の練習になって良いかも。風の足場ほどは瞬発力はないけど、自己強化と組み合わせれば中々の移動速度だ。……水のカーペットの方が速度、安定性の両方が圧倒的に上だけど。まぁ桜花さんの小鳥に移動速度を合わせるのには丁度いいかな。


「ザリガニの移動ともコケの移動とも思えない移動方法だな、ケイさん!」

「この組み合わせは初めてやったけど、中々使えそう。特にスキルの熟練度上げに」

「これだけの事をやっといて、狙いがそこなのか!? あっはっは! こりゃ色々ケイさんの話は聞いたけど、予想以上にとんでもねぇや! やっぱり灰の群集に来て良かったぜ」

「……どんな話を聞いたのか、聞いても良い?」

「何をするか一切予想の出来ない、『ビックリ情報箱』って聞いてるぜ!」

「やっぱりそのあだ名なんだな!?」


 もうそのあだ名からは逃れられないのかもしれないね。ここ数日は荒らさないように気を遣ったんだけどなー。最早手遅れか……。


「あ、でも一部の奴が『なんでコケの人専用の報告欄なんてもんがあるんだよ!』って騒いでたな。みんな揃って『そのうち分かる』って言ってたけど、その意味が俺は分かったぜ」

「……あー、そうなのか」


 その感じだとその人は移籍組の人かな。それにしても、みんな揃って『そのうち分かる』か。まぁ色々やった自覚はあるし、便利に使わせて貰ってるので何とも言えないね。

 そんな雑談をしている内に桜花さんの桜の木に到着した。さて、お礼は何をしてくれるんだろうね?


 

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