第188話 共生進化のあれこれ
「とりあえず俺は共生進化状態でロブスターのLv上げするか」
「おー! それじゃサヤの成長体への進化をして、私とヨッシもLv上げだね!」
「うん、それがいいかな」
「私もそれでいいよ」
共生進化とそれとセットで出てきた新たな進化の方向性は決まったけど、とりあえずはLv上げという事になった。まぁ仕様的に今すぐ進化したらステータスが勿体無いから、未成体への進化はまだお預けだな。
「あ、ケイさん! 共生指示と半自動制御は!?」
「あ、そういやそっちがあったな」
「まぁあれだけ次から次へと新情報があれば仕方ないかな?」
共生指示と半自動制御については予めベスタから軽く聞いているのである程度の仕様は把握している。半自動制御は一発芸みたいな登録性のスキルって話だったっけ。
……そういや一発芸はほとんど使わなくなったね。なくてもどうにでもなるようになってきたし、あれっておまけの隠しスキルか何かだったのかな? それは考えても多分わからないから考えるだけ無駄かな。今は共生指示と半自動制御の確認をしていこう。
『共生指示』
行動値消費1で共生相手の『半自動制御』の登録枠の1つを呼び出し、発動が可能。
『半自動制御Lv1』
1枠ごとに行動値の上限までスキルの連続使用の登録が可能。上限値使用のスキルは登録不可。
初期登録枠は3つ、Lv上昇により枠は増加する。
・ログイン時の仕様
行動値10の消費で事前に登録したスキルの連続発動が出来る。使用後、登録したスキルの合計行動値の3倍の秒数の間は再使用不可。どの登録枠の使用したかに関わらず、一律で全枠使用不可。
・共生相手時の仕様
『共生指示』の発動により事前に登録した枠のスキルを発動させる事が可能。
登録枠毎に再使用時間が発生し、その時間は登録したスキルの行動値の2倍になる。また魔法スキルの登録では消費魔力値分が再使用時間に加算される。
うん、予めベスタに聞いていた通りの内容だ。再使用に時間がかかる系統のスキルになるんだな。これは重要なので少し時間を割いて仕様の確認をやるべきかもしれない。それにしても上限値使用のスキルは登録不可なんだ。……魔力集中とかを登録するのに期待してたから、少し残念な仕様。
まぁポイントも何も無しで手に入ったスキルだし、同じ系統のスキルがこれだけとは限らないもんな。慌てても仕方ないし、1つ1つしっかりと確認していこう。
「ちょっと半自動制御の登録とか発動とか色々実験してみるから、みんなはLv上げしててくれていいぞ?」
「見てたいなー!? あ、でも進化もさせたい!?」
「私は気になるけど、進化させれば共生進化は自分で確認出来るから進化してこようかな?」
「サヤ、それなら私は付き合うよ。私もLv上げないとだしね」
「あっ!? 私が取り残される!? やっぱり私もLv上げに行く!」
「おー、いってらっしゃい!」
そしてみんなはLv上げと進化に向かっていった。支配進化はともかくとして、共生進化は無理に俺のを見なくてもいけるだろうしね。アルがログインするまでに全員成長体にしておきたいとこだし、時間は有効に活用しないと。……全員が同じ生活パターンじゃないから仕方ないけど、ログインのタイミングがズレて育成具合が少しズレたしね。
さてロブスター側でログインしてる事だし、ロブスターのスキル登録からサクサク進めていこう。
<『半自動制御Lv1』に登録行動がまだありません。移動に使用するスキルの登録を開始しますか?>
登録系統のスキルだし、このメッセージは見覚えある。まぁここは開始一択のみである。
<『半自動制御Lv1』の登録枠を選択してください。登録枠1〜3>
初期登録枠は3枠あるって事だし、ここでどこの枠に登録するかを選べる訳だ。とりあえずどの枠もまだ未登録だから登録枠1を選ぼう。
<『半自動制御Lv1:登録枠1』を登録モードで発動します。なお行動値の消費はありません>
よし、これで登録開始。行動値が尽きるまで登録は可能だけど、共生進化で使うなら上限まで登録するのは正直あまり良くないだろう。多分、ここは単発程度に抑えておいて再使用時間を短くしておくべきとみた。
<行動値を3消費して『殴打Lv3』を発動します> 行動値 16/19
殴打1つだけで登録終了。これならそんなに再使用までは長くはない。上限まで使って1分近く再使用出来ないのもあれだしね。
<『半自動制御Lv1:登録枠1』のスキルの登録を終了します>
登録内容:『殴打Lv3』
ログイン時、再使用時間:9秒
共生相手時、再使用時間:6秒
よし、ログイン時にはどう考えても行動値の無駄でしかないけど、共生指示で呼び出すにはこっちの方が使い勝手は良いだろう。あとはアルの背中に乗っての移動用に海水の操作と……体当たりと鋏強打とはさむのどれかを登録しようかな……。うーむ、早めに登録枠を増やしたいとこだね。
とりあえず、少し悩んだ末に『体当たりLv2』と『海水の操作Lv3』を登録しておく事にした。後から登録のし直しも出来るから、不都合があれば登録し直せばいい。
『半自動制御Lv1:登録枠2』
登録内容:『体当たりLv2』
ログイン時、再使用時間:6秒
共生相手時、再使用時間:4秒
『半自動制御Lv1:登録枠3』
登録内容:『海水の操作Lv3』
ログイン時、再使用時間:12秒
共生相手時、再使用時間:8秒
さてと半自動制御の登録はこれで良いはず。ロブスターでの作業はこれで終了……でもないな。『魔力制御Ⅰ』だけでも取っておこう。あれは大事! 結構ポイント数は減るけどね!
<増強進化ポイント15、融合進化ポイント15、生存進化ポイント15を消費して、スキル『魔力制御Ⅰ』を取得しました>
<『海水の操作』『魔力制御Ⅰ』により、『海水魔法』を取得しました>
よし、これで問題なし。今度こそロブスターでの作業は終了のはず。またログアウトして、コケでログインし直してこようっと。
◇ ◇ ◇
ササッとログインし直して、再びコケでログインしてきた。とりあえずこれ以上は頻繁にログインとログアウトを繰り返す必要は無いはず! という事で、改めて夜の日に必須の夜目発動だ!
<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します> 行動値 45/45 → 44/44(上限値使用:1)
さてと移動に関してはどっちでも自由に切り替えが可能って事だから、試しにロブスターに切り替えてみよう。……お、特に切り替えのメッセージとかはないけど、ロブスターでログインした時と同じような操作感! そして視界だけはコケのままで背後すら見える! もしかして……?
<行動値を1消費して『共生指示:登録枠2』を発動します> 行動値 43/44(上限値使用:1)
<『共生指示』にて『半自動制御Lv1:登録枠2』を発動します>『体当たりLv2』 再使用時間 6秒
お! 登録枠2の体当たりが発動して、ロブスターが背後に突っ込んでいく。そしてコケの視界からは真正面に見えている。ふふふ、これは良いぞ。難点だと思っていた背後への移動の際に見えないという点が見事に解決された! そうか、共生進化ってのはこういう事も出来るのか。
一応手動での跳ねる移動も試してみよう。……よし、問題なくいける。これは視界はコケを優先した方が良さそうだ。他にも普通に通常攻撃としてハサミで殴るのも問題はないようである。これは共生指示の枠が増えれば出来る事が増えるな。
海水の操作もほぼオリジナルで発動した時と遜色はなかった。ただし、海水の操作の時間切れになってから再使用時間のカウントが始まるようではあるね。
さてとロブスター側の動作は大体分かった。今度はコケ側の動作だな。色々と試していこう。……でも群体化系のスキルは周辺にコケがないので無理だから後回しにしよう。まずは増殖いってみるか!
<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します> 行動値 42/44(上限値使用:1)
お、増えていってるね。ロブスターの背中だけだったコケが、ロブスターの全身を覆うように増殖していった。ハサミにもびっしりと、コケが生えている。……これって、スリップで敵の攻撃を滑らせたり、核の位置をハサミに移動して毒をぶつけたり出来る気がする!?
水の操作や土の操作はいつものコケと同じ感覚……というよりはより滑らかに動かせている感じがした。まぁレベルの低い海水の操作を使ってた後だしね。……後は地味にステータスの差もあるような気はするんだけど、影響がありそうなステータスは器用? うーん、明確な違いを把握するには同じ属性の同レベルの操作スキルで比べてみないと分からないか。
そして地味に分かったのが水分吸収で海水が吸収出来た事である。いや、コケ単体の時に試してなかったからやってみたらあっさり吸収出来てインベントリに入っていった。……どこで使うかは未知数だけど。
そういやさっきも気になった事だけど、魔力集中とかの上限値使用のスキルを共生相手に使わせる事の出来るスキルってあったりしないかな? 半自動制御には登録出来ないけど、使いたいスキル自体はあるから欲しいところ。えっと、ポイントでのスキル取得の一覧を開いてっと。
一覧を眺めていれば、それっぽいスキルを発見。『上限発動制御』と『上限発動指示』か。げっ、セット取得って初めての表記になってるけど、各種進化ポイント15必要ってきたか!? コケの方は問題ないけど、ロブスターの方は足りない……。これはすぐには無理か。
必要があるかは微妙だけど、一応コケの方も半自動制御を登録しておこう。あ、でも岩の操作なら行動値の節約にもなりそう。という事で登録していくぜー!
『半自動制御Lv1:登録枠1』
登録内容:『岩の操作Lv3』
ログイン時、再使用時間:57秒
共生相手時、再使用時間:38秒
『半自動制御Lv1:登録枠2』
登録内容:『水分吸収Lv3』『水分吸収Lv3』『水分吸収Lv3』『水分吸収Lv3』『水分吸収Lv3』
ログイン時、再使用時間:45秒
共生相手時、再使用時間:30秒
『半自動制御Lv1:登録枠3』
登録内容:『土魔法Lv2』『土魔法Lv2』『土魔法Lv2』『土魔法Lv2』『土魔法Lv2』
ログイン時、再使用時間:30秒 使用魔力値:40
共生相手時、再使用時間:100秒
岩の操作はこっちの方が行動値の節約になるから、こっちで採用。水分吸収は……うん、水集めの簡略化用。土魔法Lv2の連発は弾幕張れないかなっていう期待から登録してみた。コケ側で発動したら魔力値は普通に消費するけど、まぁ問題ない範囲! ……正直手動でも良い気はするけど、良さそうなのが思いつかなかったのでとりあえずこれで埋めておこう。
よし、これで共生進化に関わることは大体片付いたはず。後は実戦で試していけばいいだろう。さてとそれじゃみんなの様子を見に行こうかな。
マップのPTメンバーの位置表示でみんなの位置を確認すれば、そこそこ離れた岩場の付近にいるようだ。っていうか、ここって昨日アルが嵌った岩場地帯だね。その場所に向けてコケでロブスターの背後に視界を固定して、背後に跳ねながら移動していく。うーん、思った以上にこの移動方法は快適だ。何より視認出来るからぶつかるという心配がない。
「やったー! Lv10到達ー!」
「うん、私も到達したね」
「良かったかな。これで2人も進化出来るね」
「あ、ケイさんだ! 検証終わったー!?」
「おうよ! 共生進化は中々便利そうだぞ。そっちはどうなった?」
「サヤの成長体への進化は終わって、私とヨッシがLv10になったとこー!」
「うん、私とハーレはこれから進化だね」
中々良いタイミングでやってきたようである。サヤは進化を済ませ、ハーレさんとヨッシさんは成長体まであと少しか。
「それは順調っぽいね。サヤはどんな成長体になった?」
「名前は言ってた通りに『尾長カゼノオトシゴ』になったよ。属性は風で、特性は浮遊と陸地適応かな。ステータスは聞いてた通りに魔法寄りで攻撃は低めだね。でも風の操作がないから、なんとか手に入れないといけないかな?」
「風の操作か。……称号取得でいけるか?」
「んー手段が思いつかないかな? まぁ進化したら空中浮遊も自動で取得になったから、風の操作は必須でもないけどね。ポイントに余裕が出れば取得するつもりだよ」
「ま、それが無難か」
後々、火の操作の様に取得方法が発見される可能性もあるけどポイントに余裕があればそれに拘る必要もないだろう。それにしても特性が浮遊と陸地適応か。風属性での陸地適応になればこのセットになる? うん、情報が足りないから断定出来ない。
「私は普通の強化の成長体に進化してから、進化の輝石・風を交換してきて合成進化するよー! 先にリスを未成体に進化させたからクラゲも未成体まで育てなきゃ共生進化も無理だしね!」
「私は特性の種:陸地適応で陸地移動の出来るウニにするつもり。ハーレと一緒で未成体までどうやっても無理だしね。ハチとウニが未成体の最大Lvになったら合成進化で混ぜようかと思ってるよ」
「あー、先に未成体に進化したらそうなるよな」
なるほど、ハーレさんとヨッシさんはそういう方針か。それだとそれぞれを個別に育てる事にはなるけど共生進化で経験値が2分割されるよりは成長は早いだろうね。なんとも上手い具合に調整されているものだ。複合進化を使った場合は育成に時間がかかるため大器晩成型になり、使わなければサクサク育っていくので早熟型になるんだろう。まぁどっちを選ぶかはプレイヤー次第って事か。
……ハーレさんに適応進化を試してもらいたかったけど、合成進化から適応させるなら無意味な行為になるし、無理強いも出来ない。まぁこの辺は他のプレイヤーに任せておこうか。数が揃えば傾向も見えてくるだろう。
「さて、6時も近付いてきたしヨッシさんの進化を最優先しながらハーレさんも進化を目指していくか!」
「「「おー!」」」
このペースなら、アルがログインするまでにはみんな成長体までは進化出来そうだ。夜はレベル上げも兼ねて、海エリアの競争クエストに殴り込みに行くか! 参加しておくだけでも経験値は入るんだし、参加しておいても損はないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます