第4章 新エリアの冒険
第84話 次は何をする?
翌朝、ぼんやりとしながらも目が覚めた。今日は目覚ましが鳴る前に起きたのか? 今何時だ……?
「……結構ギリギリな時間じゃねぇか……」
時計を見たら、いつもの起床時間よりかなり遅い時間であった。もう少し起きるのが遅かったら完全に遅刻だし、まだ間に合う時間で目が覚めて良かったよ。
流石に昨日の連戦にはちょっと精神的に疲れが出たかな。体力は消耗しないとはいえ、脳は働いていて集中力は使うから昨日みたいに一気に色々やると疲れるんだよな……。
次からはもうちょいペースを考えてプレイしようっと。こんなので遅刻してゲーム没収とかは嫌だしな。
ササッと制服に着替えて、1階へと下りていく。朝飯を食べる時間は微妙だな。えっと母さんは……。今日はもう先に出てるのか。あ、メモがある。えーと「2人ともいくら起こしても起きなかったから、先に行くね。遅刻したら承知しませんよ!」っと……。あー移動しながらでも食べられるように朝食はおにぎりになっててアルミホイルで包まれてる。これはありがたい。俺はこの時間からなら遅刻の心配はないな。だけど……。
「あー!? やばい!? 完全に遅刻だ!?」
「……やっぱりか」
2階の部屋から、晴香の慌てたような声が響いてくる。俺でぎりぎりだから、通学に時間のかかる晴香は完全にアウトだな。ドタバタと動き回る音が聞こえてくるって事は慌てて着替えてるのだろう。あ、走り下りてくる。うん、危ないから階段を走るな。
「兄貴、起きてるじゃん!? なんで起こしてくれないの!?」
「あーすまん、俺も寝坊して今起きたとこ。てか、自分で起きる努力をしろ」
「え、兄貴が寝坊って珍しいね? ってこうしてる場合じゃないよ!」
「ほれ、これ持ってけ!」
「あ、おにぎりだ! ありがと! それじゃ行っていきます!」
おにぎりを受け取って、一気に走り去っていく晴香。まぁ今から急いでも多分遅刻だろう。うん、今週末はゲーム没収かもな。ご愁傷様……。って俺ものんびりしてられんわ!
まぁ遅刻はしなくて済んだ。朝からなんかちょっと気分的に疲れたけど……。
◇ ◇ ◇
授業がもうすぐ始まるというのに、今日は慎也の姿が見当たらない。どうかしたんだろうか?
「おら、さっさと席につけ」
そう考えているうちに教師がやってきた。これは慎也も遅刻か?
「あー佐山だが、今日は病欠だそうだ。んじゃ授業始めるぞ」
遅刻じゃなくて病欠か。……何となく仮病な気がしないでもないけど、ちょっと分からんな……。でも、あいつ仮病でゲームをやってる可能性も否定できない……。何度か仮病でゲームやってるのを聞いたことあったもんな。まぁいいか、それで困るのはあいつ自身な訳だし。
そして何事もなく放課後になる。休み時間を利用して、色々掲示板を覗いてみたけど、やっぱり昨日の話題が多かった。まぁそりゃそうだよな。でも苦手な人が多い生物が初期ランダムからは除外されてたってのが良い情報か。俺の苦手なヘビも除外して欲しかったけど、昨日ヘビのプレイヤーも見かけたし除外対象じゃなかったって訳なんだよな……。まぁそこら辺は仕方ないか。
◇ ◇ ◇
時間は流れ、放課後になった。学校も終わったし特に用事もないので、これから家に帰る。ついさっき遅刻の有無を確認する連絡が母さんから届いていた。うん、ぎりぎりだったけど遅刻はしてないからセーフ。あと、ついでに買い物も頼まれたので、買い出しに行ってきた。材料的に今日はカレーだな。
買い出しから帰ってきたら、リビングで項垂れる晴香の姿があった。完全に落ち込んでいる所を見ると、これは土日にゲームの没収が確定か。
「おーい、晴香。元気出せよ?」
「あ、兄貴おかえり……。今週末の土日はゲーム没収だってさ……」
「やっぱりか……」
「うー! 昨日は楽しくてはしゃぎ過ぎてて、興奮して中々寝れなかったんだよー!」
「まぁご愁傷様って事で」
晴香の気持ちは分からない訳ではない。単なる偶然だろうけど、俺だって昨日は同じようなもんだったしな。ただし家庭内ルールは家庭内ルール。約束を守れなかった以上は仕方ないだろう。
「今日のうちにみんなに土日はログイン出来ないって言っておかないとなぁ……」
「ん? 晴香は今、オンラインでもやってんのか?」
「うん、そうだよ。リアルの友達と、オンラインで知り合った人と一緒にやってるんだ」
「ほう。まぁちゃんと言っとけよ」
オンラインで昨日、はしゃぎ過ぎ……? まさか昨日のあの大人数の中に、実は晴香がいたとかないよな? まぁ別にいても問題ないけどさ。ちょっと晴香が何のゲームしてるのか気になったけど、今それを聞くのは凹んでいる所に追い打ちになりそうだ……。聞くのは没収が終わってからでも良いか。
適当なとこで話題を切り上げつつ、俺も晴香も自室に戻っていく。さてと、ゲームやりますか!
◇ ◇ ◇
そしてログイン場面へとやってくると、いつものようにいったんが待っていた。だいぶ見慣れてきたな、この光景。そしていったんの胴体部分には『問い合わせに関するお知らせが2件あります』と書いてある。お、今日はまともな内容だな。
「こんにちは〜! 今日もログインしてくれてありがとね!」
「なぁいったん、お知らせってなんだ?」
「まず1つ目は『苦手な人が多い生物に関する初期ランダム種族に関して』だね〜」
「あ、それ掲示板で見たぞ?」
「既に見てたんだ〜? それならほぼ内容一緒だから、聞かなくても問題ないけど、聞く?」
「問題ないなら別にいいや」
まぁ俺だってヘビは苦手だし、流石に苦手な生物でのプレイはしたくないからな。掲示板での対応を見る限りでは相当配慮している方だろう。全ての人の苦手な生物を排除とか不可能だろう。俺がヘビが苦手でもヘビが好きで操作したいって人もいるだろうしな。
まぁ俺が苦手なのは苦手生物フィルタでなんとかなる範囲だし、気にせずやって行こう。
「そっか。手間が省けて助かるよ〜。それじゃ、もう2つ目の『特定スキル使用時における発動表記の変更に関して』を伝えるよ〜」
「おう、頼む」
「えっとね、行動値の上限を使用するスキルの発動中において、行動ログの一部が分かりにくいって意見がいくつか来ててね〜。ちょっと表記が変更になったんだよ〜」
行動値の上限を使用するスキルと言えば、俺が持ってるのは夜目か。みんななら根脚移動とか魔力集中とか自己強化もこの系統だったはず。多分こういう上限を使用するスキルは他にもあるんだろうね。
俺は特に気になってなかったけど、人によってはそういう意見もあるんだな。まぁ別に表記が少し変わるだけなら問題ないか。
「別に内容が変わる訳じゃないんだよな?」
「うん、それは大丈夫。上限値を使用するスキルの発動中の表記が少し変わるだけだから〜」
「そっか、ならログインして確認しとくよ」
「分かったよ〜。楽しんできてね〜」
「おう、行ってくる!」
上限値を使用するスキルといえば『夜目』とかだな。さてどんな風に表記が変わるのやら。
◇ ◇ ◇
ログインしてゲーム内へとやってきた。そして今日は、昼の日である。夜目を切らずにログアウトしたから、また眩しさに目が眩む。またやっちまった……。前日のログアウト前にオフにする習慣を身に着けないといけないな。とりあえず夜目を切ろう。
<『夜目』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 27/27 → 27/28
……なんか表示が違ったな。あ、これがいったんが言ってた変更点か? ……サクッと切ったけど発動中の表記が変わるって言ってたし、一応もう1回夜目を発動して確認しておこうか。
<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します> 行動値 27/28 → 27/27(上限値使用:1)
……やっぱり眩しい。さっさと確認してオフにしとかないと……。あーなるほど。減る前の数値の併記と、(−1)が(上限値使用:1)へと変更になったのか。うん、変更点は分かった。眩しいからもう夜目はいらんからオフだオフ!
<『夜目』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 27/27 → 27/28
よし、これで大丈夫っと。それなりに行動値も増えてきたし、そろそろ岩の操作の特訓を始めてみるのも良いかもしれないね。アルが今日はログイン出来ないから、昨日のうちにヒノノコリベンジに行って岩の操作の特訓時間は確保が出来なかったし。あ、でも他にも試したい事も色々あるんだよな……。
暗視が『常闇の洞窟』で通用するのかとか、群体系スキルのLv上げとかさ。あと使い捨てになる『進化の軌跡』は迂闊には使えないけど、『進化の輝石』の方は使い捨てじゃないから試しておきたい。
これは内容的に今日はソロ活動が良いかな? まぁとりあえず氷狼と戦った後、そのすぐ側でログアウトしたから一旦移動しよう。まずはエンのとこに行きますか!
熟練度稼ぎに、近距離で群体化しながら移動しようっと。昨日、移動に一発芸・滑りを使い過ぎてた事も判明したし。
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『群体化Lv2』が『群体化Lv3』になりました>
<群体数の最大値が1900から2500へと上昇しました>
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『群体内移動Lv2』が『群体内移動Lv3』になりました>
<『群体化Lv3』『群体内移動Lv3』により、『群体化』の詳細な範囲指定が可能となりました>
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『群体化解除Lv2』が『群体化解除Lv3』になりました>
<群体化の有効距離が伸びました>
しばらく群体化で移動していたらスキルレベルが上がった。やっぱりセットで使う事が多いから同時に上がるんだな。で、なんか可能になったっぽいけど……詳細な範囲指定ってなんだ? ちょっと使ってみよう。こういう時はまず試すに限る。発動は一応Lv3でいくか。
<行動値を3消費して『群体化Lv3』を発動します> 行動値 25/28
どれどれ、何が変わったのかな? あ、なんか表記が増えてるな。ふむふむ、群体化の範囲の手動指定ときたか。どれ、使ってみようか。
あ、これいいかもしれない。群体化するコケの範囲を細かく指定が出来るのか。今まで石のコケに移る時とか周辺のコケごと群体化してたからね。ある程度の範囲を大雑把には指定できたけど、ここまで細かくは設定出来なかったんだよね。
これを使えばピンポイントで狙った場所だけの群体化も出来るし、視界内全てのコケの群体化も出来るのか。……いや視界内全ては、群体数の空き数次第か。まぁいいか、ピンポイントの方がよく使いそうだし。
そして『視覚延長Ⅰ』の倍率も3倍までになってる。使用するスキルのLv上限が最大倍率だったな。……そういや、これって水魔法のLv2にも適応出来るのか? 何気に水の操作とかにも応用出来る……? 後で試しておこう。
うん、ポイントも大量になってるし、色々行けるとこも増えてきたし、試すことも色々あるな。何から試していこうかね? やっぱり一回エンのとこに行こう。それから『常闇の洞窟』だ。最悪死んでも良いから、あそこで色々と実験しよう。まずは『暗視』で内部確認が最優先だけどな。
って事で、再度出発! 早速覚えたばかりの『群体化Lv3』を使って行こう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます