第142話 雪が降り出したので、自国へ帰らせて貰います。
「微妙に気になるから聞くけど何処を触ったの、クロード殿?」
「腕部のアタッチメントを交換して、出先で拾った
話題に喰いついたニーナが興味を示せば得意げな態度で、やや
「なるほどね、扇形に射出される複数のワイヤーは
「ふふっ、まさに雷属性を扱う私と兄様のためにあるような攻防一体の兵装です♪ 蜘蛛の糸が
そうして動きが悪くなった隙を突き、双剣の連撃にて仕留めるとの事で特段の反対意見もなく、多くの小型装置を内蔵した腕盾は
(双子エルフから拾い物の説明を受けた時、獲物を狙う鷹の目になったエレイアが周囲を牽制していたからな)
あれでは誰も反対できない筈だと苦笑している内に話の区切りが付き、御令嬢達の言葉が途切れた頃合いで、幾つかある確認事項の一つをニーナに言及しておく。
「いい加減に帰って来いと、国元の
「無理ね、撃墜された
文句を言われる筋合いはないと
何でも近隣領地や帝都は騎体戦力の全てを失ったリグシア領再建のため、国内随一の工業地帯を
「
「また
都市内部に蔓延った小型異形を駆逐する過程で、抜け目なく貴重な敵性資源を確保した女狐殿に多少の皮肉を投げると、彼女は露骨に表情を曇らせてしまう。
「…… うん、あれね、
「明らかに周辺諸国の軍事バランスを破壊する戦略兵器とか造られてもな」
「余計な火種になる気が致しますね」
“皇統派がゼファルス領を危惧するのも分かります” という、小さなエレイアの呟きを聞かなかった事にして、明後日の方向に転がり出した会話を引き戻す。
ここ数日、ちらほらと雪も降っているので後回しにはできない。
「すまないが… 足並み
「私達のような騎体操縦者だけ、我先にと
素早く近寄った若い兵卒に向け、復路で避けて通れない中立派の各領地へ使者を立てるように
例え、滅びの
「水先案内人に乗騎を失って手持ち無沙汰な騎士達か、中隊長以下の将兵を数名ほど
「承知しました。少しの間、下がらせて頂きます」
それを片手で制して断ると、現地生まれの日系人でもある顔馴染みの相手は可愛らしく小首を傾げた。
「ミルクやレモンを加えて
「いや、友人の妹を立たせたまま
「どう致しまして… こっちも騎体整備に戻りましょうかね」
ひらひらと手を振るニーナに見送られ、リップサービスが過ぎるウルリカ嬢の親書を持て余しつつも自陣の大天幕へと踏み出す。
翌々日の早朝、撤収作業を済ませた騎士国の遠征軍はゼファルスの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます