第91話 うぅ、クロードがまた身も蓋も無いことを…… by レヴィア
なお、全力疾走の状態にある騎体は第一世代の改良型で時速80km以上、第二世代に至っては高機動実験の過程で組まれた試験騎が時速180kmを記録している。
この騎士骨格が剥き出しで武装を持たない
彼の著書では「ウイリアム=テル」が有名なものの… 処刑されるのを承知の上で親友
ともあれ、ゼファルス領の
その間に魔導砲をもう一発喰らわせるべく、リグシア領側の混成騎士隊では遠目だと小さ過ぎて捕捉できなかった
「急げよ、お前らッ! 命が幾つあっても足りねぇ!!」
「… 何で俺達、騎体同士の戦場にいるんでしょう」
「泣言や文句は生きて帰ってから
「と、うちの隊長が申してましたって、本人に伝えておきますね!!」
半場やけになりつつも、彼らは二班構成で
先制の長距離射撃で使用済みとは
「よし、次の持ってこいッ、二番騎の連中より先に終わらせるぞ!」
「あ、向こうの分隊より早かったら、何か奢ってください」
「いいっすね、それ」
手を止めずに軽口を叩いている整備兵らに感心しつつも、リグシアの騎士長ヴァルフは進撃してくる相手方の騎体群を
乗り手の意思は人工筋肉の神経節を通じて騎体と連動しているため、グラディウスMr-Ⅱの疑似眼球も焦点を絞らせた。
「僅差であと一撃って感じかしら?」
「あぁ、そうだな」
専属の魔導士として同乗している従妹の問いに短く応え、彼は戦闘時の常時共有回線で各騎に呼び掛ける。
『砲撃後に前面へ出る。魔導士達は術式の構築を始めておけよ』
『『『了解ッ!!』』』
威勢の良い返事から数十秒…… 互いの魔法射程が重なる間際となり、再び二体の砲撃騎が紫電を走らせようとするも、森林側の死角より飛来した軽硬化錬金製の巨矢が片方の砲身に刺さり、
『ぐッ!?』
『だ、駄目ッ、暴発… きゃああッ!!』
騎体付き魔導士らの切羽詰まった声が漏れ聞こえた直後、魔導砲を
無事な二番騎がゼファルス領軍の指揮官らしき騎体を砲撃する最中、大半のリグシア騎士達が自騎を振り向かせた先、迷彩柄の外套を
『北西1.6~2kmの地点、敵騎多数を確認!』
『魔獣の森を抜けてきたかッ!!』
『ちッ、正面に気を取られ過ぎたな… エイドス領の部隊は新手を、
騎体の外部拡声機を通したヴォルフの声に従い、第一世代の改修騎グラディウスや、強襲型ナイトシェードを合わせた
指揮系統の異なる援軍の騎体も連携して動き始め、迷彩外套を脱ぎ捨てた伏兵の騎体群と正対しながら、慎重な足取りで徐々に距離を潰していった。
その様子を眺め、やや放心していた射手たるリゼルの弓騎士がぼそりと呟く。
『… 敵騎、派手に爆散したけど死んでないよね、
『余計なことは考えるな、琴乃。迷いは自身と仲間を殺すぞ』
『うぅ、クロードがまた身も蓋も無いことを……』
『この場合は適切ではないと思われます、陛下』
若干の非難が籠められたレヴィアとフィーネの言葉を受け、どうやら対応を間違えたのは理解したが、
戦場で集中を欠くのは危険極まりないため、
『覚悟が定まらないなら、後方支援に徹するだけで構わない。ダーヴィ、面倒を見てやってくれ』
『了解です、任せてください』
兵装の弓を掲げさせたスヴェルS型二番騎の姿を
直線的な軌道だと敵騎の魔法射撃を喰らう事もあり、ある程度の間隔を開けた各騎と同様、緩やかな蛇行をしつつ剣戟の間合いとなるまで接近していく。
実戦経験が浅そうな皇統派の騎士達は
絶妙な角度を付けたスヴェルF型の腕盾でレインやザックスに受け流され、あるいは銀髪碧眼の
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