第17章「罪の罰」その4
彼女はため息をついて本を読み始めたのでそれ以上聞けることはなく、
保冷剤から水滴が垂れた弁当箱を開けて、僕の大嫌いなひじきを口いっぱいにほうばった。
すると案の定気分が悪くなったので、お茶で流し込むと気管に入ったので泣きながら
女心は学校の勉強じゃわからない。
昼食を食べ終わってトイレに行こうと廊下を歩いていると、向かい側で男二人が気だるそうに話していた。
「校則なんて別にいらねーよな」
「それな。大学入れば、全部自由なのにな」
校則なんてものに意味がないのは、大人は知ってる。
しかし、子どもは縛らなければ、何をするか分からないのだ。
もし仮に学校で髪の染色をありにしたとして、着色料が目に入り失明したとしたら?
髪の染色ばかりこだわり、勉強しなくなったら?
それは子どもを管理していた学校の責任となるだろう。
みんな、リスクを負いたくないのだ。
トイレで用を足して教室に入ろうとすると、扉付近で
「羽塚さん、いい加減に部活に入ってください」
文化祭以来、廊下で会うたびに僕は
今日はわざわざ教室の前で張り込んでいたらしい。
「平木さんったら、読書をしているだけで何も教えてくれないのですよ。
それだけならまだしもこっちが話しても『そうね...』とか『それで?』しか言わないのです、もう人権侵害ですよ」
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