第17章「罪の罰」その2


ここで少し不可解なことがある。


それはなぜサッカー部の三人を除く僕らまでこの状況に耐えなければならないのかだ。


もちろん決まりを破った彼らは悪いが、僕たちまで巻き込むのはおかしい。


ただでさえ山寺の授業は一切寝てはならないというプレッシャーに耐えなければならないのに、


こんな気まずい沈黙にも耐えなければならないのは不条理と言わざるを得ない。


普通は指導室にでも連れていくのが妥当だろうに、おそらく見せしめのつもりなんだろうが、授業が延長されるのは本当に迷惑な話だ。


学校じゃ残業代も出ないというのに。


休み時間終了のチャイムが誰も話すことのない固まった沈黙の教室に鳴り響き、


英語の矢崎先生が気まずそうに廊下でスタンバイしている姿を見て、


山寺先生は三人に放課後職員室に来るように言って、さらに黒板の文字を雑ながら早々はやばやと消して、教室を去っていった。


「え~、それじゃあ君たちは席に戻って、授業始めますよ~」


矢崎先生は教室の雰囲気を和らげようとしているのか、いつもよりも声が高いように感じた。


怒られたサッカー部の三人は落ち込んでいるのかそれとも苛立っているのか、どちらとも言えるような顔をして、自分の席に戻った。


授業が始まるとみんなノートを開いて、矢崎先生は問題を黒板に写して、宿題の文法の答え合わせを始めた。


白いチョークの粉で塗れた黒板はどうにも見づらかったが、



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