第16章「作られた囲い」その13
受け取ったタロットカードをポケットに入れて屋上から去った。
教室に帰ると、パッとしない三軍の男たちが廊下側の隅っこで携帯ゲームをしていた。
扉を開けた瞬間、僕を凝視したが言葉を発することもなく、すぐに視線を外してまたゲームの話で盛り上がっている。
彼らのような人種はみんなが羨むような個性がないため、学校での肩身は狭いはずなのだが、なぜか高校生活を楽しそうに過ごしている。
僕は彼らを腹の中で見下しているかもしれない。
彼らから見れば、僕に見下されるほど落ちぶれていないと思っているんだろうなぁ。
自分の椅子に座ると、二時間ほど立ちっぱなしだったせいか足の筋肉が硬直していることがわかった。
その瞬間、急に眠気が襲ってきたのでうつ伏せになって寝ることにした。
十七時ごろになると、働いていた一軍たちが帰ってきた。
相当売り上げたらしく楽しそうに今日の思い出を自慢している。
その売り上げは全員に配当されるのか気になったがそもそも僕は何もしていないので貰ったところで、
罪悪感でそのお金を使うことはできないだろうけど。
ホームルームを終えて、女子学級委員の西山が文化祭の打ち上げをすると言いだし、
参加する人は名簿に書かれた自分の名前に丸をつけるように
廊下側の最前列から順に最後は窓際の最高列である僕のところまで回ってきた。
名簿を見ると、丸を付けていたのは一軍やその取り巻きにいる二軍たちでさっきの三軍男子や平木は付けていない。
まさに見せしめだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます