第14章「予定外の予定」その12
それは無理なんだ。だって次の座席が最前列のど真ん中にでもなったとしたら、
内職もできない上、授業の進行度合いに興味のない教師に前回の授業でどこまで進んだか聞かれて、ノートを見せなきゃいけなくなる。
ろくにノートを取っていない僕はサボり魔のレッテルを貼られて内申点も下がる。
現状の不満よりこれから起こり得る危険の方がよっぽど怖い、だから残り半年足らずこの席のままいけるなら、
僕としては御の字というわけだ。
窓を開けると、生ぬるいそよ風が流れてきて目に空気がぶつかった。
思わず目をショボショボしていると、右隣の平木が僕を睨んでいることに気づいた。
おそらく今の風で読んでいた本のページがめくれたんだろう。
とりあえず会釈だけして、平木の怒りの間接的な原因となった窓を閉めた。
もう九月も終わりかぁ、文化祭まで後一週間足らずとなった。
ため息をついて、もう夏が終わったことを実感できる。
文化祭の屋台の準備は一軍の男共がしていたので、特に文化祭気分に浸れることもなかった。
平木も体育祭の時とは違って、文化祭には興味はないようだった。
でも当日は平木と回ることになっている。
もちろんそれは楽しみなのだが、心の何処で得体のしれない不安がある。
ただそれがどこにあって何が原因かもわからない、だからこそ怖い。
物思いにふけっていると、昼休みが終わるチャイムが鳴り弁当に手に付けることを忘れたことに気づいた。
五限の間、腹の虫が鳴るのにビクつきながら数式を解いていた。
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