第5章「白紙の手帳」その7


体育のテストが終わった後、僕は保健室に向かった。


なぜかって?


僕は三日にわたる高校生活の中で初めての中間テストをさっき乗り切ったばかりなんだ。


ただでさえ、テスト勉強で睡眠不足による頭痛があったのに。


そんな状態のせいで3kmを走った時に、足がもつれてひざを擦りむいてしまったのだ。


なんだろう、自分でこうもはっきり言うと、ものすごく格好悪いな。


出血しているため、体育教師から必ず行くように無理強いさせられたのだ。



まぁそれは置いておいて、僕はたった今、自分にも他人にも表明したいことがある。


僕は今まで保健室に行ったことがない。


もちろん健康診断などで行ったことはある。


ここで僕は言いたいことは怪我や熱などで、行ったことはないということだ。


別に体がすこぶる健康なわけでもサ〇ヤ人並に頑丈なわけでもない。


年に二、三回は風邪を引くし、学校で体調が悪くなることもざらにある。


しかし、僕は今まで保健室に行ったことがない。


理由は単純、僕は昔から保健室に行くことが嫌なんだ。


ここで勘違いしてほしくないのだが、


決して嫌いなんじゃない、嫌なだけなんだ。


保健室は弱い奴が行くところだと思っている。


いや、こんなことは思っていけない、そんなことは分かっている。


馬鹿な考え方であることも分かっている。


それでも、僕は保健室に行くことがあまり好まない。


特にみんなに見られているところでは。


テスト期間ということもあってか、校舎には人がいなかったので助かった。


保健室には寝ている学生もいるだろうから、


そのドアを初めて赤ん坊をだっこするくらい慎重にそっと開けた。

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